2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[461] 2003年12月31日(水)
「タムロンには気を付けろ」

我輩の一生アイテムとして、Nikon F3は不動の位置にある。
雑文083「F3の第一印象」にも書いたことだが、写真の知識のほとんど無い時に、Nikon F3を解説した雑誌記事を見て、このカメラの真の性能を直感した。

当時としては最先端の技術を採り入れたスーパーカメラであったが、20数年を経た現在に至っても、その印象が崩れることが無い。いや寧ろ、コスト削減のため精度を落として電子的につじつまを合わせるような玩具カメラ(Canon EOSはその代表)の中では、より一層その存在感を高めている。
恐らく、もう二度とこのような贅沢な造りのカメラは現れまい。

我輩はこのNikon F3を、新品で手に入るうちにストックしておこうと考え、雑文152「7年目」で書いたようにコツコツと買い集めてきた。安い買い物ではないため7年もの歳月が必要だったが、F3のロングセラーに助けられ何とか目的を達した。


ところが今年10月、何の前触れもなく66判のBRONICA SQ-Aiが生産終了となった。
それ以前にも67判のBRONICA GS-1が生産終了になっており、BRONICAの一眼レフは645判のETRSiしか残っていない。これもいずれは消えよう。そうなるとレンジファインダー機RF645だけでは支えきれずBRONICAは歴史から消え失せるのだ。

しかしそれでは我輩が困る。
35mm判では予備のNikon F3を確保したものの、66判一眼レフはBRONICA SQ-Aiが1台しか無い(ロシア製一眼レフKievもあるが信頼性はゼロ。)。
以前、雑文408雑文412雑文418雑文419でも書いたとおり、ボディが1台だけでは修理やオーバーホールに出した時に戦力が無くなる。そのためにも少なくともボディは2台以上必要である。

我輩は、BRONICA SQ-Aiが生産終了になる前に新品ボディをもう1台確保し備えようと考えた。ただしこのカメラはシャッター制御にアナログ回路を用いているため、シャッター制御用コンデンサが劣化するとシャッタースピードが遅くなってくる。この現象にはBRONICA SQにて長年悩まされてきた。
もし2台目を購入するならば生産終了直後の最終品を手に入れるべき。

そして、その時がやってきた。
2003年10月、BRONICA SQ-Aiは生産終了となった。何の前触れもなく、突然終わった。その時の我輩には手持ち金がほとんど無く、手に入れることは出来なかった。「まずいな」とは思ったが、カメラボディ10万円、レンズ10万円、その他アクセサリ諸々10万円の買い物はすぐには不可能。そのまま萎えて諦めてしまった。

その後、中判対応フィルムスキャナや大撮影会などに金を使ったが、そのことが逆に中判カメラの重要性を再認識させる結果となり、SQ-Aiの金策について悩むようになった。
その時、既に12月。
インターネット上では、そこそこ在庫は有る様子。しかし生産終了から2ヶ月、これ以上時間を置くと本当に新品で手に入らなくなる恐れがある。

躊躇している場合ではない。我輩は、ヘナチョコ妻に借金要請をした。高額なフィルムスキャナをねだったばかりであったため、却下されるのは目に見えているが、他にあてが無い。
ところが意外にも、ヘナチョコはOKを出した。生産終了品であり今手に入れねばチャンスは無いということは事前に説明してあったのだが、まさかOKが出るとは思わなかった。
返すあては今のところ無いが、とりあえずヘナチョコの気が変わらぬうちに手配しよう。

半年くらい前にヨドバシカメラでSQ-Aiボディの売値を訊いた時には9万数千円とのことだった。インターネット上で他の店の値段も調べてみたが、だいたいそんなところだった。7割価格というところか。しかし予備のレンズやアクセサリも欲しいので、なるべく安い店で買いたい。
我輩は、以前マクロレンズを5割引で購入した時のカメラ店を思い出した。大阪・国立カメラである。今回はどれくらい安くなるだろう。とりあえず見積りをとった。
依頼内容は以下のとおり。

製品名 定価
●SQ-Ai メインボディ ¥131,000
●ウェストレベルファインダー ¥10,000
●ウェストレベルファインダー用視度補正レンズ-3.5 ¥4,000
●モータードライブ ¥50,000
●ゼンザノン PS 40mm F4 ¥132,000
●スピードグリップ ¥18,000
(合計) ¥345,000

ウェストレベルファインダーは、撮影中の汗がよく垂れるため、錆が浮いてくる。そのための予備である。
モータードライブは自動巻上げ機能というよりも、単3電池供給源という意味合いで予備を持つ。これがあればメインボディに電池は必要無い。そもそも現有しているモータードライブは電池室液漏れ事故(参考:雑文251)のため、いずれにせよ予備を必要とする。
40mmレンズは現在の稼働率が9割にもなるため、予備としてもう1本備える価値は大きい。

それにしても合計34万円・・・。数年かけて揃えれば無理なく揃えられたろうが、今回はまとめて購入せねばならないのが痛い。7割で計算すると24万円くらいである。

夜中に出した見積り依頼だったが、結果は翌日午前中に返信されてきた。

製品名 定価 特価
●SQ-Ai メインボディ ¥131,000 ¥78,000
●ウェストレベルファインダー ¥10,000 ¥6,000
●ウェストレベルファインダー用視度補正レンズ-3.5 ¥4,000 ¥2,800
●モータードライブ ¥50,000 ¥29,800
●ゼンザノン PS 40mm F4 ¥132,000 ¥76,800
●スピードグリップ ¥18,000 ¥9,800
(合計) ¥345,000 ¥203,200

これは安い。6割の値段か。
我輩は早速この内容で注文し、12月24日(水)に代金を振込んだ。そして品物は、12月26(金)に届いた。
箱を開け、早速それぞれの点検した。

レンズは、スナップ式の新しいレンズキャップが装着されており、今までのスクリュー式のレンズキャップよりも使い勝手が向上している。なかなか良い。
スピードグリップも、カメラ底部が接する部分が改良されていた。頼もしい。
モータードライブも当然ながら電池室はキレイで気持ちが良い。これならば安心して使える。

ところが肝心のメインボディに問題があった。
まず、保証書請求ハガキを見て愕然とした。そこには41円切手が貼付されていた。一体、いつの時代の製品だ・・・?!
ボディを取り出すと、新品の輝きを放つ姿が現れた。しかし、どこか古くさい。よく見るとレンズ着脱指標の赤色が妙に薄い。現有のボディと比べるとより一層違いが目立つ。まるで色褪せたかのようだった。
それにしても、付属のボタン電池の有効期限が2004年というのは不自然。電池だけ新品に入れ替えたかのようだ。

参考までにと、現有カメラのボディナンバーと比較してみた。
●現有ボディ(10年前に購入):1508975
●新規ボディ(今回新品購入):1506811

「・・・。」
一瞬、言葉を失った。新規に購入したボディが、10年前に購入した現有ボディよりも旧いナンバーとは・・・。
これは恐らく、1990年発売開始当初のボディに違いない。そうなると13年も前のカメラということになる。もしそうならば、SQ-Aiは電子式カメラゆえに、オーバーホール無しに使うことは出来まい。

「くそっ、わざわざ生産終了直後の新しいロットの製品を狙ったのに、よりによって生産初期の製品に当たるとは!」
我輩はハッとして、まだ点検していないウェストレベルファインダーを調べてみた。見ると、確かに新品ではあるのだが「BRONICA」のロゴが妙に黄色っぽい。これも恐らく生産初期の製品だろう。現有のウェストレベルファインダーと比べると、その黄色っぽさがやけに目に付いて悲しくなる。

まあ、ウェストレベルファインダーは電子製品ではないから何とか我慢出来る。しかし問題はカメラボディのほう。これはどうしても容認出来ぬ。電池を新品に入れ替えてあるということは、恐らく確信犯(確信犯−間違った意味での用法だが適当な言葉が無いので敢えて使わせてもらう)に違いない。
我輩は国立カメラに、返品か交換を要求する内容を穏便に書いてメールを送った。さて、どう出るか。

翌日12月27日の昼前、三笠公園(参考:雑文259)に行く前にメールをチェックしたが、まだ国立カメラからの回答は来ていない。少し心配になった。
午後、帰宅してメールをチェックすると、メールが届いていた。
そこには、今回のカメラはタムロンから最新に入荷したカメラをそのまま発送したもので、国立カメラとしては旧いボディとは認識していなかったが、確かに在庫受払い簿をチェックすると旧いボディナンバーであったと書かれていた。恐らく、メーカーが在庫を整理して出てきたものだろうとのこと。そして、タムロンの営業の者にクレームして即取り替えるとの約束を取り付けたという。新しいボディのナンバーは「1525490」とのこと。国立カメラの中でも最も新しいボディであるらしい。

我輩は早速、旧いボディナンバーの製品を梱包して発送した。送料は千円ほどかかったが、国立カメラの手間も考えてこちらで負担することにしよう。悪いのは、タムロンの営業である。
国立カメラには12月29日に届いたようだが、そこで確認後すぐに新しいボディが発送され、12月30日朝にはもう手元に届いた。素晴らしく迅速であった。これがヤフーオークションであれば、我輩は国立カメラに「非常に良い」という評価を付けるところだ。

それにしても、タムロンのやり方は汚い。在庫払い時に出てきた10数年前のカメラなど、新たに金を払おうとする客に売るものではない。元手をかけずに金を得ようとする考えが見え見えで気分が悪い。
確かに、「何年以上のものが旧いと言えるか」というハッキリした線引きは難しいが、常識的に考えて今回のような商売方法はモラルを疑う。このようなやり方の裏には、もはやタムロンはブロニカのカメラを全廃するつもりでいるような気がしてならない。どうせ潰すブランドであるから評判が悪くなろうとも気にしないということか。
だが、ブロニカは消えても、我輩はこのやり方がタムロンの性格として認識し続ける。

今回の雑文は、「所有SQ-Aiのシステム紹介」とするつもりだったが、タムロンのおかげでそれがブチ壊しとなった。まあ、それは来年の元旦にやったほうがお目出度いかも知れぬ。

それにしても、タムロンには十分気を付けたほうが良い。気を許すと、何をされるか分からんぞ。