我輩がF3の存在を初めて知ったのは、雑誌のメカニック紹介記事だった。雑誌の名前は「ニュートン(1981年11月号)」。今でも続く、息の長い科学雑誌だ。そこに「スーパーメカニズム」というコーナーがあり、毎回、様々なマシンの図解が載っていた。
最近はニュートンにお目に掛かる機会も少なくなり、現在の様子は分からないが、当時からイラストレーションがウリで、毎号、分かりやすい図解が素晴らしかった。
現在ならば、「アドビ・イラストレータ」や「マクロメディア・フリーハンド」などで作り込むような図解なのだろうが、そのF3のイラストは手描きである。記事中の2枚目のイラストでは、シャッターボタンの辺りのデッサンが多少狂っているのがご愛敬だが、一眼レフの構造が手に取るように解る
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[Newton 1981年11月号]
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我輩はこれを見た瞬間、「こんなカメラがあれば、何でも撮れそうだ」と感じた。
細かいスペックの記述については、当時はあまり理解できなかったが、それでも、我輩は直感的にこのカメラの優秀さを見抜いた。
「緊急作動レバー」などという、凄そうな装置も付いている。まるで、軍用機が墜落する前に座席が射出するような雰囲気だ。黄色と黒のストライプが付いていてもおかしくない。そういうところに、このカメラが大人の道具であることを感じた。
もし、雑誌「ニュートン」の記事を読むことがなければ、F3の第一印象は変わっていたに違いない。いやそれよりも、写真やカメラについての興味が途中で消えていたかも知れぬ。
そう思うと、F3の先進性を科学雑誌の立場で紹介した「ニュートン」に感謝したい気持ちになる。