2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[856] 2015年12月31日(木)
「OLYMPUS退役計画(その3)」


●E-P5の呪縛
我輩はこれまで、ティルト撮影をするために涙ぐましい努力を行い、「根性ティルト」という技まで産み出した(参考:雑文339)。
その後、何とか金を工面し、35mm判、ブローニー判、そしてマイクロフォーサーズにて、ティルト撮影を可能にする機材を購入し使ってきた(参考:雑文341雑文389雑文834)。

現在、我輩の所有するマイクロフォーサーズカメラは幾つもあるが、主力はOLYMPUSの「OM-Dシリーズ」であり、これまで画質を重視する撮影では必ず「OM-Dシリーズ」を使ってきた。
ところが、ことティルト撮影に関しては、頼りの「OM-Dシリーズ」は使えない。なぜならば、ティルトアダプタがペンタ部の出っ張りに物理的に干渉して装着出来ないからだ(参考:雑文836)。

<ペンタ部の前方向の出っ張りがジャマ>
ペンタ部の前方向の出っ張りがジャマ

これは別段、ペンタ部の有り無しの交換条件ではない。ペンタ部があろうとも、前方に余計な出っ張りの無いデザインであれば良いだけのこと。

光学的にペンタ部の形状に制約のあるOVF機ならばデザイン上の制約があるのは仕方無いが、自由にデザイン可能なEVF機でこのような処理は甘いとしか言いようが無い。基本的にマウントに近い部分では、マウント面よりも前に出っ張ってはならない。カメラのマウント規格には、鉄道で言うところの「建築限界」のような規定は無いのかと不思議に思う。

いずれにせよ現状では、ペンタ部の無い「OLYMPUS E-P5」にてティルトアダプタを使ってティルト撮影をしているわけだが、とりあえずはこの「E-P5」であっても、画質として「OM-Dシリーズ」に大きく劣ることは無い。
しかし主力の「OM-Dシリーズ」でティルト撮影出来ないというのは今後のことを考えると問題である。「OM-Dシリーズ」はファームウェア更新頻度も高く、画質向上も見込まれる。それに操作性の面でも、大きなグリップでホールディング性は良いし、最近ではフリーアングル可能な液晶も備えるようになったし、制限機能ながらもハイレゾショットということで4,000万画素の撮影が出来る機種も現れたが、こういった機能をティルト撮影で活かしたいと思っても、「E-P5」に縛られて何も出来ないのである。

<ティルトアダプタはE-P5でしか使えない>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
ティルトアダプタはE-P5でしか使えない

こういった不満に対してOLYMPUS側は、「サードパーティ製のアダプタが着かなくとも知ったことではない」と言うかも知れぬが、もしそうだとすれば、我輩のほうに大きな過失があろう。
我輩の過失とはただ1つ、「OLYMPUSを選んだこと」。

今回、SONYのフルサイズミラーレス機材を幾つか購入したことから、それら機材の写真をティルト撮影することになったが、それを通じて改めてティルト撮影の問題について考えさせられた。
ティルト撮影は、いつまでもマイクロフォーサーズに依存していてはダメだ。早いところフルサイズミラーレスのほうに移行させねばならぬ。

とは言っても、フルサイズ用のティルトレンズは高価である。新品では20万円以上するもの。中古では10万円台。
仕方無い、マイクロフォーサーズ用の高性能望遠ズームレンズ「M.ZUIKO 40-150mm F2.8PRO」を売ってしまおう。性能は良かったが、今考えれば生まれたメーカーが良くなかったな。次に生まれる時はSONY製になって生まれてこい。

早く換金したかったので即決価格でオークション出品した。価格は中古で12万円ほどのようなので、10万円を少し切る9万9千円で出したところ、驚くことに1分もせず落札された(※)。
(※出品処理した画面をすぐさま確認しようと開いてみたら、既に落札済みとなっていた。)

<さらば、40-150mm F2.8PRO>
さらば、40-150mm F2.8PRO


●ティルトレンズの選定
さて、ティルトレンズの選定だが、どのみちSONYからはティルトレンズは出ていないので、マウントアダプタ経由でNikonかCanonかのティルトレンズを選ぶことになる。

焦点距離としては、だいたい24mm・45mm、90mmあたりの3種類が用意されているようで、それに加えてCanonでは超広角レンズのティルトレンズが発売されたようだ。
しかしながら我輩は主にブツ撮りとして使うので、自動的に90mmのものを選ぶことになる。

問題は、NikonかCanonであるが、価格としてはCanonのほうが安い。これはもちろん、中古の値段。
しかしながら、Nikonのほうはマクロレンズでもありレンズ単体で1/2倍の接写が可能とのこと。それに、Canonのほうは以前にも手を出しているので(参考:雑文341)、同じレンズを買い直すのは無駄に思うので、今回はNikon製を選ぶこととする。

こちらはオークションで約10万円で落札。電磁絞りの効くPC-Eタイプではない旧タイプだったので安かった。
なお、フードが欠品ということだったので、フード「HB-22」を通販サイトで新品購入した。これは800円程度+送料で手に入った。

<「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8」を装着したところ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
「PC MICRO Nikkor 85mm F2.8」を装着したところ
「PC MICRO Nikkor 85mm F2.8」を装着したところ

ちなみにこの写真は、マイクロフォーサーズ「E-P5」とティルトアダプタで撮ったものである。恐らくマイクロフォーサーズにて最後のティルト撮影となろう。

なお、このティルトレンズはシフトも可能なのだが、ティルトとシフトの方向が交差した状態で使いにくく、平行させるために改造を施した。改造とは言っても、実は最初から改造可能なように設計されており、単純に座金を90度回転させた状態にネジ止めし直すだけの話。改造はメーカーでも有償で引き受けてくれるが、わざわざ金と時間をかけてまでメーカーに出そうとは思わない。

<改造中の様子>
改造中の様子

取り急ぎ作例として、いつもの「Canon AE-1P」を撮ってみた。ライティングも特に工夫せず、これまたいつもの状態である。
原寸掲載ではないのでマイクロフォーサーズ撮影との違いは分からないだろうが、等倍では肉眼では見えぬホコリが気になるほどの解像感がある。4,000画素の威力は凄まじい。

<「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8」で撮影した作例>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
「PC Micro-Nikkor 85mm F2.8」で撮影した作例
SONY α7RII/PC Micro-Nikkor 85mm F2.8/ISO640/Av=F22/Tv=1/160sec.

なお、このレンズはティルト専用レンズだけあって絞り機構に工夫が施されている。

一般的に、ティルトやシフト、そしてベローズを使った接写などでは、カメラ側とレンズ側の機械的なリンク機構が分断されてしまう。そのため、何の工夫も無ければ開放測光が出来ずに絞り込み測光となる。
絞り込み測光とは、単に測光方式の問題ではなく、実際に設定値まで絞った状態(実絞り)でファインダーを覗くことになる。つまり、絞った分だけファインダーが暗くなってしまうのだ。

もちろん、デジタルカメラのEVFならばブースト表示によって常に明るい状態でファインダーを確認することも出来なくはないが、AFならばいざ知らず、絞った状態でMFするのはピントの山がハッキリしないので困難である。

そのため、ピント合わせ時には開放とし、撮影直前に設定値まで絞り込むという使い方になる。
だがここで問題が発生する。
設定値まで絞り込むには、絞り環を回さねばならないが、回しきってしまうと最小絞りになってしまう。だから設定値まで何クリック回すのかということをカウントせねばならない。カウントを忘れると、いちいちファインダーから目を離して絞り環を見なければならなくなる。

そこでこのレンズには、ボタンを押しさえすれば設定値まで一気に絞ってくれる「絞り込みボタン」が付いている。これならば、通常は開放絞りのままフレーミングやピント合わせ出来る。

<絞り込みボタン>
絞り込みボタン

これは、自動絞りが実現される以前(1960年代?)の昔のカメラにあった「プリセット絞り」を思い出させる。
「プリセット絞り」とは、絞り値の設定用リングと実際に絞り込むためのリングの2列があるもので、1列目を操作しても開放のままだが2列目を操作すると絞り込まれる仕組みとなっている。

<昔のプリセット絞り>
昔のプリセット絞り

ここで重要なことは、1列目のリングは2列目のストッパーとなっており、2列目を盲目的に動かしても必ず1列目の設定値で止まるようになっている。だから、ファインダーを覗いたまま、目的の絞り値まで一気に絞ることが出来るということになる。

だがこれは、いくら便利とは言っても現代のカメラ技術から言うと、時代遅れでしかない。便利なものは、より便利なものへ置き換わっていくものであり、またそうあるべきである(参考:雑文008)。
今はもう機械的なリンクは少なくなり、絞り機構も電磁的なものに置き換わりつつある。保守的だったNikonも、最近は電磁絞り形式の「PC-E」という新型ティルトレンズが現行モデルとなり、何も考えずにシャッターを押すだけで、当たり前のように自動絞りが働くようになった。

だが現状、我輩のカメラボディはSONYであり、電子的リンクはおろか機械的リンクもNikon用レンズとは繋がらない。
だからこそ、今回の「絞り込みボタン」には大きな便利さを感ずる次第である。

●結局のところ
結局のところ、雑文854「OLYMPUS退役計画(その1)」で表にしてまとめた「α7R」導入時の問題点について、「金さえあれば解決」の部分は全て潰したことになる。これは我輩自身も驚く結果であった。
もうここまで来たら、「Panasonic GM1」のような極限のコンパクト性を活かした撮影以外ではマイクロフォーサーズに頼ることはほとんど無かろう。少なくとも、OLYMPUSへの後戻りは有り得ぬ。

まさかの3,000万画素機が現れぬ限り・・・。



(2015/12/31追記)
SONYの弱点がもう1つあった。
それはWi-Fi接続でのリモート撮影機能である。

まず比較としてOLYMPUSのものは、Wi-Fi接続したタブレットの画面上でAFポイントを指定することが出来、撮影モード選択や、露出補正、そして電動ズームがあればズーミングも離れた位置からリモート操作が可能だ。もちろん、シャッターレリーズも可能。

ところがSONYのほうで可能なのは、シャッターレリーズと露出補正のみ。AFポイントの移動が出来ないだけでなく、AFを動作させることすら出来ないのだ。
何のためにWi-Fi機能を付けたのか疑問に思うレベル。
何のため?

(2015/12/31追記)
作例として撮影した「Canon AE-1P」、縦横比がこれまでのマイクロフォーサーズより縦長になるため間延びしており気になっていた。
そこで、空いているスペースに広告モドキの文字を入れてみたところ、なかなかサマになったではないか。

<広告モドキ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
広告モドキ

なお、左上にある斜めの白いものは、撮影時に写り込んだディフューズ用のアクリル板なのだが、入っていても悪くないと思い、トリミングせずそののままとした。

(2016/01/04追記)
SONYの弱点について、さらに1つ。
イメージセンサーのゴミが画面に現れるようになった。これはかつてデジタル一眼レフを使っていた頃の問題が再浮上したと言える。
マイクロフォーサーズでは1度も問題化したことが無かったので、ミラーレスカメラでは存在しない問題かと錯覚していたのだが、あくまでもマイクロフォーサーズだったからこそダストフリーでいられたのだ。
この問題、ブツ撮りなど最小絞りに近いところで撮影するとかなり目立つが、風景撮影などでも空の部分で目立つことがある。