我輩はこれまで、「いつかはマイクロフォーサーズも3,000万画素クラスが出てくるのではないか?」と期待していた。何しろ、8Kビデオ時代になれば3,000万画素は必須となるのだから、少なくともビデオ撮影機能に力を入れるPanasonicはそこまで達成させたいはず。
もちろん画素密度が高くなると画質低下が起きるだろうが、それは新たな技術開発でクリア出来よう。
しかしそうは言っても、フルサイズのハイエンド機のほうは着実に画素数を増やしていると言うのに、マイクロフォーサーズのほうは「もうこれで一息ついた」と言わんばかりの停滞状態。次の時代がようやく2,000万画素なので、今後それが3〜4年は続くだろう。
だとすれば、さすがにそこまでは待てぬ。
確かに、「E-M5 Mark2」のハイレゾ撮影機能によってマイクロフォーサーズでも4,000万画素が達成され、その画質には目を見張った。
ところが実際に使ってみると、あまりに撮影時の制限が多過ぎ、結局は最初のテスト撮影以降は全くハイレゾ撮影機能は使わなくなった。正直なところ、そんな機能があるということさえ忘れるほど。
何しろこのハイレゾ撮影機能を使う場合、三脚が必須で、風が少しでも吹いて木々が微妙に揺れると風景さえ撮れない。しかもストロボ撮影に難がある・・・などと、実際に使えるシーンがまず無いのだ。
逆に言うと、こうまでしないとマイクロフォーサーズで高画素撮影は無理なのかと思い知らされた。
高画素数の要求については、いつの時代にも「A3印刷程度なら不要」とか「等倍鑑賞派ではないから不要」という反対意見が必ず上がる。そして、画素数を抑えたまま高感度特性を上げろと言う。
もちろん、高感度特性が向上するに越したことは無いが、果たして画素数追及はもう終わりにすべきなのだろうか?
先週、カメラのキタムラ店頭で、4Kビデオをデモ表示させた4Kテレビ画面を見た。その4Kテレビは我輩の自宅にあるテレビと同じくらいの大きさなのに、圧倒的な緻密さに目を奪われた。
いずれそのうち、4Kだけでなく8Kの時代も否応無くやってくる(参考:
雑文811、
雑文815)。
もしそうなれば、写真の鑑賞もテレビ画面(PC画面)が普通となろう。「大画面テレビなど一般家庭には入らない」という意見があるが、テレビが大きさではなく緻密感が増す方向にあるというのは、我輩が前に指摘した通り。
テレビが8K化されれば、一般家庭に8Kが漏れなく普及する。なぜならば、今現在NTSC画質のブラウン管テレビが手に入らないのと同様、8Kテレビ時代になれば8Kテレビしか手に入らなくなるからだ。
そしてそれは、遠い未来の話ではない。
そうなれば、写真をテレビ画面で鑑賞することも普通になる。それが、どこでも観られる手段なので苦労が無い。
特別な用途が無い限り、わざわざ見栄えの劣る紙に印刷する必要などどこにあろう。
それから、これは先日の話だが、我輩が撮った写真が某所で使われることになった(それは後日紹介する)。しかしデータを要求元に渡したにも関わらず、それが閲覧用であると誤解され、「もっと大きな画像は後で送って欲しい」と言われて戸惑った。
我輩としては、ベイヤー機のデジタルカメラは縦横1/2(面積比1/4)程度に縮小させてピクセルを締めないと他人には見せたくない。そのため今回もそのように縮小処理したデータを渡したわけだが、それでは小さいというのだ。
仕方無く縮小前の元データを渡すことになったのだが、「撮影時、もう少し大きな画像で撮れていたらなあ」と悔やまれた。
結局のところ、こういう問題を前もって認識するには、未来のことが現実に起こりうると実感出来るかどうかにかかっている。
もっとも、「今使える写真ならばそれで良い、先のことはその時になってから考える。」こういう考えもあるが、それはそれで良かろう。問題にぶつかったその時になってから、避ける方法を考えようということだ。
だが我輩は、問題にぶつかる前にそれを避けたい。
もちろん、数十年も先のことは我輩にも分からぬ。しかし、これまでの経験(失敗)から、さすがに数年程度先のことならば今からでも問題が見える。
その問題の1つが、8Kレベルの画素数なのだ。
以上長々と書いたが、カメラのメインスイッチ位置の問題と、そして将来ぶつかることになる画素数の問題により、我輩はOLYMPUSのカメラから足を洗うことを考え、高画素カメラの導入を検討することとした。
もちろん、完全にマイクロフォーサーズから移行することは難しいだろうが、少なくともスイッチの位置が厳しいOLYMPUSのカメラは追い出したい。
●次期カメラの選定
マイクロフォーサーズに取って代わるカメラとは何か。
これまで、同じ問いかけを何度やったことだろう。そのたびに浮かんでくるのが、「画質」・「コンパクト性」・「強力な5軸手ブレ補正」という、マイクロフォーサーズのメリット。このメリットを満たすカメラなど、これまで無かった。
ところが最近、これらマイクロフォーサーズのメリットに近付く製品が現れた。
それが、「SONY α7RII」である。
「α7RII」について、それぞれ「画質」・「コンパクト性」・「強力な5軸手ブレ補正」の項目を見ていくと、「画質」については4,000万画素、「コンパクト性」についてはフルサイズだがミラーレスであるがゆえに比較的コンパクト、そして「強力な5軸手ブレ補正」についてはまさしくそれが載っている。
それに加え、メインスイッチがシャッターレリーズボタンの同軸に設置され、右片手で操作可能と無敵仕様。
しかもこのカメラはミラーレスだからフランジバックが短く、マウントアダプタをかませば我輩所有のNikonレンズが使える。そうなれば、手元に残してあるNikonフルサイズ用の超広角ズーム「SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM」が活用出来、マイクロフォーサーズを越えた画角をマイクロフォーサーズを越えた画素数で捉えることが可能となるのだ。
ところがこのカメラ、値段を見て驚いた。なんと40万円を軽く超えるではないか。さすがにこの値段では、買おうという発想すら出てこない。単に「いいなあ」で終わってしまう。いや、「見るカメラを間違えた」とWeb画面を閉じるレベル。中古すら、出たばかりの機種なので出物も無く、もし仮にあったとしても42万円が40万円になる程度であろう。
そこで、同じく5軸手ブレ補正機能を搭載した「α7II」はどうかと考えた。2,400万画素と少々目減りするが、それでも15万円程度と努力すれば何とか買えそうにも思う。
だが1,600万画素から2,400万画素になってもあまり変化を感じなかったのは「Nikon D600」を購入した時に既に経験済み。わざわざ乗り換えるメリットが無い。やはり3,000万画素台でなければと思う。
ならば中古の「SONY α7R」はどうか。検索してみると最安値で10万円弱の出物がある。
このモデルは手ブレ補正機能も無く、情報によればAFも非力らしいのだが、10万円弱で3,600万画素が手に入るというのは大きな魅力。丁寧に撮りさえすれば最新型の「α7RII」と画像的な違いはあるまい。
もちろんこのカメラではマイクロフォーサーズの万能性を越えられないので完全交代とするわけにもいかないが、本当に高画素が必要な場面に直面した時に努力さえすれば対応出来るのは心強い。