[008] 2000年 4月17日(月)
「便利ということについて」
ライカ3型(「3」はローマ数字)は、高速シャッター部と低速シャッター部に操作系が分かれている奇妙な構造だ。
では、なぜこのような構造になったのか。
それ以前のライカでは、1/25秒以下の低速シャッターは無かった。なぜなら、フォーカルプレーンシャッターの先幕が後幕の係止爪を蹴る構造ゆえ、先幕の運動時間の1/25秒以上は間を持たせることができなかったのだ。
しかし、当時のベスト判レンズシャッターカメラには1秒までの低速シャッターが備わっており、当然ライカに対する低速シャッターへの要望は大きくなっていった。
そこで、ライカは従来のシャッターダイヤルとは別に低速用シャッターダイヤルをカメラ前面に設け、シャッターの低速化を実現させた。まったく別のメカニズムを付加したのである。
当然、低速が使えるようになったということで、これは大いに歓迎された。
ところが、これが現代の目から見ると、かなり抵抗感がある。紛らわしくて煩わしい。それは我々が、「シャッターダイヤルは1つしかない」という便利さを知っているからだ。
このように考えると、便利だということを感じるのは、それよりも更に便利なものが出るまでの間でしかないということになる。
では、液晶表示カメラはどうか。
液晶表示カメラが出てから、我々はそれまでのダイヤル式カメラが不便だと思えるようになったか。いや、とてもそうとは思えない。
ということは、つまり、液晶表示カメラが次世代のものであるということは、とてもじゃないが認められることではないのだ。
|