2000/04/05
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表紙

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2.用語集
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[341] 2002年03月10日(日)
「Canon TS-E 90mm F2.8」

先日、根性によって克服したはずのティルト撮影であったが、皮肉なことにそれによってティルト撮影の有用性を実感し、アオリレンズの購入を考えるようになってしまった。

アオリレンズとは、「ティルト動作」と「シフト動作」を行うことの出来るレンズのことを指す。
「ティルト」はピント面を傾けて奥行きのある被写体を撮影するのに用い、「シフト」は遠近感による”すぼまり”を補正することが出来る。

それらの機能のため、シフトレンズには独特のメカニズムが必要である。
ティルト動作のためにはレンズが首振りし、シフト動作のためにはレンズが上下にスライドせねばならない。そのような構造のため、カメラからの機械的連動制御をレンズ側に届かせることは不可能である。故に、一般的なアオリレンズというのは自動絞りではなくプリセット絞りとなっており、撮影直前にプリセットした値まで手動で絞り込まねばならない。

ところがキヤノンEFレンズの場合、カメラとレンズの接続に機械的連動が一切無く完全に電子化されている。機械的リンクが不可能であるアオリレンズでも電子的リンクならば比較的簡単である(導電されていれば良い)ため、自動絞りも実現される。その気になれば、実用性は無いが構造的にはAFさえ組み込める。
キヤノンは、思い付き戦略のニコンとは違い、先を読んだシステム作りをしているのである。

当然ながら、我輩のアオリレンズ購入計画としては、キヤノンの「TS-Eシリーズ」しか眼中に無い。だが、やはりこの手のレンズは特殊な位置付けであるため、価格も実売\150,000前後と非常に高価。しばらく貯金をしなければ購入は難しい。
そんな時、ヤフーのオークションにて「Canon TS-E 90mm F2.8」が\80,000で出品されていたのを発見した。いつもならば定番の広角系アオリレンズしか見掛けなかったのだが、その日に限って90mmという中望遠のアオリレンズが出品されていたのだ。もし誰とも競うことが無く\80,000で落札出来れば、新品で買うよりも\70,000の節約となる。これならば現在の貯金の範囲内に収まる。

広角系レンズのアオリレンズの出品を見ると、入札件数が結構多い。一般的用途ではないアオリレンズながら、供給が少ないので需要が集中するのだろうか。もしこの90mmの場合も入札者が複数現れれば、我輩の予算を簡単に越えてしまうだろう。
だが、その心配は無用であった。結局、誰とも競うこと無く、\80,000にて我輩が落札。やはり、アオリ撮影は風景で使うことが多いらしく90mmレンズは不人気のようだ。


<Canon TS-E 90mm F2.8>

ティルト動作の様子。
ピント面を傾けることにより、絞り値に関わらず奥行きのある被写体にピントを合わせることが出来る。移動量が目盛りで確認出来るようになっており、定位置に固定させるためのストッパーが備えられている。
シフト動作の様子。
遠近感による”すぼまり”を補正することが出来る。こちらも移動量が目盛りで確認出来るようになっており、定位置に固定させるためのストッパーが備えられている。
ただ90mmレンズでは、元々遠近感を感じにくいため、あまりシフトによる有り難みは感じないかも知れない。


レボルビング機構により、アオリの方向を変えることが可能。

<通常撮影> (1/180sec. F11)
銃口部分の拡大
<ティルト撮影> (1/180sec. F11)
銃口部分の拡大


あまりにアッサリと入手してしまった「Canon TS-E 90mm F2.8」。もっと時間を掛けて購入すべきだったかも知れぬが・・・、オークションというものはタイミングがすべて。しかも値段が魅力的であった。それ故つい、手を出してしまった。

今後は自らを戒め、欲望に喰われぬよう気を付けることにしよう。

アオリ撮影は大判カメラを使うのが一般的。だが、35mmカメラでアオリ撮影出来るならば可能性が広がるのは間違いない。一方、中判カメラの場合、我輩所有のゼンザブロニカにはアオリレンズが用意されておらず、考える余地すら無い。