2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[836] 2014年12月11日(木)
「遅ればせながらのOLYMPUS OM-D E-M1使用雑感」


数年前、自民党政権から民主党政権になった時、我輩は絶望感と同時に無力感を味わった。
「よりにもよって民主党を与党にするとは・・・。」

結局、民主党によって公約反故や売国外交、「2位じゃダメなんですか」の事業仕分けパフォーマンスなど、国内外が大きく荒れただけで終わった。
これだから多数決は困るんだ。こうなることは分かっていたはず。いくら我輩が選挙で民主党以外に投票したとしても、我輩の「民意」は否定されてしまった。多数決であるが故に。

「選挙に行くことが民意を反映させることだ」という言葉はあまりに乱暴過ぎる。選挙に行ったもののその結果として自分の民意は否定されたわけで、それによって苦しめられることになった。選挙に行った我輩の責任か?

確かに、大勢の民意を反映させるには選挙が適しているとは思うが、それによって少数意見は否定されるし、そもそも満足な選択肢は用意されていない。自分の民意を正確に反映させるには、自分が立候補する以外に方法は無いのだ。

だがそうは言ってもその敷居は大変高い。もちろん不可能ではないが、実現は難しい。身近な人間が選挙活動をしていただけに、それは良く分かっている(参考:雑文502)。
たとえ立候補したとしても、大勢の人間に顔を売って認知され、そして自分の意見に賛同してもらわねば決して当選はしない。落選となれば、無職の身分が待っている・・・。

−−−−−−

我輩がハイエンドなマイクロフォーサーズカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1」を導入運用を始めてから、早いもので1年を越えた。
本来ならば購入後1ヶ月くらいで使用感などをまとめようと思っていたが機を逸してしまい、ここにきて今更ながらに使用レポートを書くこととする。

<購入直後の「OLYMPUS OM-D E-M1」>
購入直後の「OLYMPUS OM-D E-M1」

まず最初に、初値10万円以上もする「E-M1」を発売前から早々に予約した理由については、先行して使っていた「E-M5」よりも高性能な位置付けだからである。何しろ「E-M5」は、その導入によってそれまでデジタルのメインとして使っていたフルサイズ一眼レフカメラの稼働率を極端に下げてしまうほど有用だったわけで、その「E-M5」よりも高性能ならば・・・と更なる期待を抱いた。
これは逆に言えば、「E-M5」の運用を通して幾つか不満に思っていた点の解消を狙ったことでもある。
もちろん、全ての不満点が解消されるものではないことは事前に分かっていることだが、しかし少しでも不満点を減らしたいという気持ちから導入に至った。

以下に、「重宝している点」、「要望点」、そして「プロ用カメラとしての特殊機能のアイディア」をまとめてみた。


====<重宝している点>====
「E-M1」を使うことにより重宝している点を以下に挙げるが、「E-M5」の頃から引き続いている点と、「E-M1」になってから新たに改良されている点がある。

●1/320秒高速シンクロスピード (E-M5には無い新機能)
シンクロスピードが1/320秒と速いのは、屋外でのストロボ使用率が高い我輩にとっては大きな利点となる。それ以前の「E-M5」でのシンクロスピードは1/250秒であり、数字上は1/320秒との差は僅かであるかのように思えるかも知れぬが、実際の撮影ではこの小さな差が撮影の可否を分けることが多かった。

●5軸手ブレ補正 (E-M5からの引き続き機能)
我輩がマイクロフォーサーズ機を本気で導入しようと決意させたのは、この5軸手ブレ補正を知ったからに他ならない。動画サイト「YouTube」にて、「E-M5」のイメージセンサーが動く様子を見たのだが、その動きがあまりにも常識を外れていたので、「これはもう、買うしか無いな」と即断させた。

その「E-M5」の5軸手ブレ補正技術を引き継ぐ「E-M1」であるから、その性能には満足している。
5軸の手ブレ補正を行うことから最強の手ブレ補正として撮影の幅を広げてくれるし、何よりレンズを選ばず利用出来る手ブレ補正機能は大変利用価値が高い。
ただし、いくら強力な手ブレ補正機能であっても被写体ブレは防げないという点は忘れてはならない。

ちなみに、同じ5軸手ブレ補正を持つPENシリーズの「E-P5」では、OM-Dシリーズよりも補正効果が劣る。これは、同じシチュエーションで何度も繰り返し比較した結果である(※)。だから、「E-P5」しか使っていない者が5軸手ブレ補正の効果に不満を持つのであれば、OM-Dを使ってみることを勧めたい。
(※言うまでも無いが「低振動モード0秒」の設定としている)

なお、ごく稀な現象として、何でもないような撮影でブレが治まらないことがあるように思う。こういう状態に陥ると、もう何枚撮ろうとまともに撮れない。手ブレ補正をOFFにしたほうがまだマシな結果となる。
ただ、この現象の発生頻度はかなり低く、不具合とまでは言いにくい。

●軽量コンパクト(E-M5からの引き続き機能)
軽量コンパクトなシステムであるマイクロフォーサーズのため、これまでは苦渋の選択で置いて行かざるを得なかった機材も携行可能となった。
そのためどんな撮影でも画質優先のレンズを投入出来る。

また、後述するWi-Fiコントロールを使って一脚に載せたカメラを片手で持ち上げて撮影する際、カメラの重量が軽いと大変助かる。以前、「Nikon D700」を片手で持ち上げた時(※)には一脚を握る手が震えたものだ。
(※単純に持ち上げるだけならば苦労は無いが、一脚の下端を持って高く上げ、迎角調整のために微妙に傾けて保持するには、D700+レンズの重量ではかなりの筋力を要する。)

●グリップ (E-M5には無い新機能)
グリップが無い「E-M5」でも外付けグリップがアクセサリとして用意されているが、本体バッテリー交換の際にはグリップを外す必要があるし、グリップの再装着が案外手間取る。
またボディサイズについても、最初からグリップが付いている「E-M1」のほうがかえって「E-M5」よりコンパクトに収まっている。もちろん、グリップが無い状態の「E-M5」のほうがよりコンパクトであるものの、どのみちカメラにはレンズを装着することになるので、前方向の出っ張りは有ろうが無かろうがコンパクト性に影響があるとは考えられない。そもそもグリップ外付けタイプは、後継カメラを導入する際にはグリップも買い直しとなるので非効率。

<E-M1とE-M5のグリップ比較>
E-M1とE-M5のグリップ比較

ただ、「E-M1」はグリップ付、「E-M5」はグリップ無しとして分けておくのも選択肢としては良いかとも思う。例えば、レンズ付きでズボンのポケットに入れるのは少々苦しいが、レンズとボディに分けて左右のポケットに入れるならば無理は無い。その場合、グリップ無しの「E-M5」が良かろう。

●Wi-Fiコントロール (E-M5には無い新機能)
スマートフォンやタブレットなどのWi-Fi端末からカメラをモニタリングしながら遠隔撮影出来る。
一脚の先に取り付けたカメラを高く伸ばしてハイアングル撮影が手軽に行えるので、撮影の幅が広がる。また、別室からくつろぎながらの撮影も可能(参考:雑文821)。

下の写真は、クルマの下部がどうなっているかを調べるためにカメラを直置きして撮影している様子である。もしこれがカメラのライブビュー撮影であれば、背面の液晶パネルを見るためにパネルを傾けねばならないが、そんなスペース的余裕は無い。そうなると直置きでノーファインダー撮影ということになるが、Wi-Fiでの撮影であれば直置きでもフレーミング確認だけでなくフォーカスポイントの指定も可能で、肝心なところがピンボケするようなことは避けられる。もちろん、シャッターレリーズも手元で可能。

<Wi-Fiで遠隔コントロール>
Wi-Fiで遠隔コントロール

なお、ハイアングル撮影の効果を比べるために下に2パターンの写真を掲載した。両方とも同じレンズを使ったものである。

<通常のアングル>
通常のアングル

<Wi-Fiによる高所リモート撮影 (一脚使用)>
Wi-Fiによる高所リモート撮影(一脚使用)

それから、Wi-Fiでコントロールする「アプリ」と呼ばれるタブレット向けソフトが何度かバージョンアップをしており、それによってズーム操作もタブレットにて遠隔操作可能となった(当然ながら電動ズーム装着時に限る)。これは我輩としても要望したかった点であるが、要望を入れる前に対応してくれた形となった。

●防塵防滴 (E-M5からの引き続き機能)
防塵防滴レンズとの組み合わせにより、雨中撮影に気兼ねが無い。
たとえ雨中撮影の予定が無かったとしても、登山時などに天候急変でカメラを庇うことなく行動出来るのは大きな利点と言える。

<予期せぬ雨による洗礼>
予期せぬ雨による洗礼


●ダストフリー (E-M5からの引き続き機能)
フォーサーズ/マイクロフォーサーズの利点として、イメージセンサーのゴミが目立たないということが挙げられる。
これは強力なダストリダクション機能のおかげでもあるし、またイメージセンサーが付着したゴミから少し離れているということらしい。もしかしたらゴミの付着しにくい表面処理が施されているのかも知れない。

こういったことは派手な機能ではないのであまり気にしたことは無いのだが、確かにフルサイズカメラを使っていた時はゴミにはかなり悩まされたものである。しかし今、ゴミに対して全く意識していない。まるでそういう問題がこの世に存在しないかのように。

だから、マイクロフォーサーズカメラは常にイメージセンサーがマウント内で露出しているにも関わらず、これまでほとんどブロアーで吹いたことも無い。もちろんこれは極端な取り扱いであろう。しかしこんなに雑に扱っても大丈夫であることに改めて驚かされる。

<常に露出状態のマイクロフォーサーズのイメージセンサー>
常に露出状態のマイクロフォーサーズのイメージセンサー

●ボディデザイン (E-M5からの引き続き機能)
ボディデザインについては、もちろんカッコ良いに越したことは無いが、どういうものがカッコ良いかという議論の前に、少なくとも、デザインを優先させて使いづらくなったとか、あるいは機能が削られたなどということがあれば論外。
そういった機能上の妥協点が無いという前提で言うならば、「E-M1」は「E-M5」のデザインを引き継ぎながらも重厚さを少し増しており、なかなか良いと思う。少なくとも、一眼レフ的なシルエットがあるので、小型カメラながらも集合写真などではかろうじて面目が立つ。雑文762でも書いたが、こちらがメインカメラマンでありながら、他の立派なカメラのほうに目線を奪われることは避けたい。


====<要望点>====
使っているうちに不便に感じた点がやはり幾つかあり、それを改善するための要望事項をここで挙げる。

●メインスイッチの位置 (非常に強い要求)
メインスイッチが片手で操作不可能な左側にあるのが理解出来ない。どうしてこうなったのか、設計者の思考回路を疑う。開発者は実際にカメラを使ってみないのだろうか? これは本当に、本当に残念でならない。何かの罰ゲームなのか?

<大変残念なメインスイッチの位置>
大変残念なメインスイッチの位置

この点は、レリーズボタン近傍にメインスイッチを設けているNikonやPENTAXやSONYを見習うべきであろう。明らかにこちらの方式のほうが使い易い。片手に持ったカメラを構えようと意識しただけでスイッチを入れられるし、シャッターを切ったその指でスイッチが切れる。誰が何と言おうとも、このほうが良いに決まっている。個性で済ませられる問題ではない。

<メインスイッチは絶対こうあるべき (PENTAXの例)>
メインスイッチは絶対こうあるべき(PENTAXの例)

もっとも、Canonでは左側や下側にスイッチがあったりするが、それはスイッチON状態で放置しても電池を消耗しないレフレックス機であるため問題が大きくならない(それでも神経を疑う)。しかし「E-M1」は電源をこまめに切らねばすぐにバッテリーが干上がるライブビューカメラであることから、スイッチの操作し易さは死活問題となる。

ちなみに、銀塩カメラの「OM-4Ti」にはメインスイッチは存在せず、「E-M1」のメインスイッチと似た位置にオート切り替えスイッチがある。そこは煩雑に操作するスイッチではないので「OM-4Ti」では操作しにくさは全く気にならない。

●電波時計内蔵 (やや強い要求)
今年9月27日に起こった御嶽山噴火災害での生存者の手記を読んでいたら、次のような記述を見付けた。
「デジカメの時計は10分ほど進んでいたのでその分を差し引くとその時刻になります。(山と渓谷社編「ドキュメント御嶽山大噴火」より)」

もしそのデジタルカメラが正しい時計を持っていれば、このように曖昧な時間記録とはならなかったろう。この部分はさらりと流されているが、これは小さな問題ではない。今回は多くの登山者による写真が集まっているが(撮影者が死亡しているものもある)、それぞれの時刻が間違っていると噴火の状況が前後してしまい、火山学上だけでなく今後の災害対策としても支障があろう。
今回使われたカメラにOLYMPUS製が含まれていたかは知らないが、もしOLYMPUSという企業が正確な記録を是とするカメラメーカーならば、使命感を以てこの問題に取り組み、他のカメラメーカーの範たらねばならぬ。

ちなみに我輩の所有するカメラのうち、同じOLYMPUS機であっても機種によって時計の進み方が異なる。これは是非とも電波時計を採用して欲しい。時刻ズレを直しを忘れて機種を混ぜて使うと、同じフォルダに画像ファイルをまとめた時に時間の順列が狂い、ファイル整理の際に頭が痛い。
まあ、芸術写真家にはこういう悩みは理解出来んだろうがな。

今の時代、5千円以下の電波式腕時計がいくつもある。10万円のカメラにコスト上の問題で付けられない理由など無かろう(※)。もし電波時計ではなく今流行りのGPS機能を付ける予定があるならば、そこから正確な時刻データを引っ張ってくれば済む話。
(※もちろん、調達数量によって仕入価格が異なることは、資材発注業務を本業としている我輩は理解しているが、10万円のカメラに収められないとは考えにくい。)

<売価4千円の時計の電波部分の原価は・・・?>
売価4千円の時計の電波部分の原価は・・・?

●マルチスポット測光機能の搭載 (やや強い要求)
OLYMPUSのカメラ、特にOMの名を冠すならば、マルチスポット測光機能を付けてもらいたい。
ニーズが少ないなどという理由もあるかも知れないが、OLYMPUSらしさを出すにはこれほど最適な機能は無いではないか。しかもファームウェアのアップグレードで済みそうな機能のように思う。

ちなみにマルチスポット測光とは、いわゆる「手動の多分割測光」であり、少々の面倒臭さはあるが、使い方さえマスターすれば自分のイメージ通りの安定した仕上がりを求めることが出来る(参考:雑文238)。
一応は写真機なのだから、下手なアートフィルターを増やすよりもこういった地味でマジメな機能をまず組み込んでもらえないかと思う。

●バリアブルアングル背面液晶モニタ (やや強い要求)
我輩はデジタル撮影ではほとんどの場合、背面液晶によるライブビューで撮影している。
我輩は身長が高いためにアイレベルで撮影すると見下ろすアングルになりがちで、アイレベル式の一眼レフカメラを構える時はいつも腰を曲げたりして苦労が伴っていた。だから66中判のウェストレベルファインダーは撮り易く感じた。
そしてミラーレスデジタルカメラを使うようになり、可動液晶によって中判カメラと同様な撮影スタイルがライブビューにより可能となり、かなり重宝している。

またウェストレベル撮影とは逆に、人垣を越えて撮影する場合などは、まさに頭上ライブビュー撮影しか方法が無い。

<人垣のある場面では頭上ライブビューでしか撮れない>
人垣のある場面では頭上ライブビューでしか撮れない

<頭上ライブビューで撮影したカット>
頭上ライブビューで撮影したカット

しかし現状、「E-M1」では背面液晶が上下に角度を変えることは可能だが左右には動かせず、縦位置撮影では役に立たない。66中判の場合、ウェストレベル撮影であっても画面の縦横区別が無いので支障は無かったのだが、縦横区別のあるデジタルカメラではかなり不便に思う。ライブビュー撮影が有用なだけに、縦位置では活用出来ないのが本当に残念。

この点は他のユーザーも指摘する声があり、撮影範囲を広げるためにも次期機種ではバリアブルに動かせるよう対応してもらいたい。そのせいで少々ボディサイズが拡大しようとも、まさか「Panasonic GH4」ほどに膨らむことはあるまい。

●ペンタ部の前方向の出っ張りを減らす (やや強い要求)
ペンタ部が上方向に出ていることは理解出来るが、前方向に少し出ているのが困る。
ティルト系のマウントアダプタでは、ペンタ部出っ張りが物理的に干渉して装着出来ない。そういう撮影にはOM-Dは使えずPENを使うしか無いのが現状。
機能上、どうしても前方向への出っ張りが必要ということならば仕方無いが、本当にそうなのか?

<ペンタ部の前方向の出っ張りがジャマ>
ペンタ部の前方向の出っ張りがジャマ

●ダイヤルのゴム当て (要求)
モードダイヤルを含めた3つのダイヤルのフチのギザギザが金属そのもので指に痛い。撮影時にはそれほど頻繁に回すことはないとは思うが、画像閲覧時などで延々と回すことがあるのでその時は大変苦痛。ここがゴム当てとなっていれば指にも優しいだろうに。
もしかしたら金属製の外見にこだわったせいかも知れない。そう言えば、最近のPROレンズシリーズも同じ設計思想のようで、ローレットのギザギザが金属製で指に痛いし、冬には冷たい。

<指に痛い3つの金属製ダイヤル>
指に痛い3つの金属製ダイヤル

確かに金属製はデザイン上は美しいかも知れないが、プロ向けを標榜するならば、外見がどうのと言う前に操作性が優先されるべきであろう。この辺りがまだプロ機に徹しきれないOLYMPUSの弱さ(※)と言える。
外見重視のニーズが多くて無視出来ないのであれば、せめて有償にてゴム当て付きのダイヤルと交換出来るサービスがあればと思う。

(※OLYMPUSの弱さ=見掛けを損なってまで実用を優先させるとユーザーにそっぽを向かれるという弱い立場。もしプロに一定の支持があればプロ仕様として押し通せるはずだがそれが出来ない。)

ちなみにCanon EOSシリーズの多くは電子ダイヤルの指当たりの部分はゴム当て付きとなっており、さすがに分かっているなと感心する。多くのプロを相手にする、良くも悪くも実用性に徹したCanonのそつの無さ。押さえるところはきちんと押さえている。
元々我輩はCanonデジタルカメラのデザインはチャラチャラした感じであまり好みではないのだが、こういう点はCanonのほうが実はマジメなのだ。仕事のデキるチャラ男くんといったところか。

<指に優しいEOS-5D Mark2のゴム当て付きダイヤル>
指に優しいEOS-5D Mark2のゴム製ダイヤル

●汎用USBコネクタの採用 (要求)
カメラのUSBコネクタが独自仕様なので、汎用USBコネクタにしてもらいたい。
普段はUSB接続をする機会は全く無いが、唯一、ファームウェアアップデートには必要となる。その際、専用USBケーブルを探すのが手間。同じようなケーブルが多い中、目的のケーブルを探すのは一苦労であるし、もしそのケーブルを紛失してしまったらファームウェアのアップデートは不可能となるではないか。
それが出来ないならば、せめてファームウェアのアップデートはSDカード経由でも可能にしてもらいたい。そうすれば、USBは使わなくとも済む。

<OLYMPUS独自仕様のUSBコネクタ>
OLYMPUS独自仕様のUSBコネクタ

●軍艦部の液晶パネル搭載 (要求)
カメラ右肩の軍艦部に反射式モノクロ液晶パネルを搭載し、シャッタースピードや絞り値、その他カメラの状態を表示させてもらいたい。
背面液晶パネルでも表示出来るわけだが、ライブビュー表示で画面の隅に表示されて見づらく、そもそもスイッチを切るとカメラの設定状態が見えなくなる。

<一眼レフでよくある反射式モノクロ液晶パネル>
一眼レフでよくある反射式モノクロ液晶パネル

反射式液晶ならば電力消費はほとんど無いので、ここにはメインスイッチを切っていても表示されるようにしておき、モード切替やシャッタースピードなど基本的な設定が切り替えられると便利(不用意に変わらぬよう対策も必要だが)。わざわざ設定を確認したり変更するだけのために、撮影可能状態にまでカメラを目覚めさせなくとも良かろう。ライブビュー機ならばそれくらいの節電対策があってしかるべき。

もちろん、現状では電子ダイヤルが場所を取っているので液晶パネルを設置するスペースは無いが、電子ダイヤルなどは縁に指が当たれば良いだけなので、ボディに埋め込めば済む話。わざわざダイヤル丸ごと頭を出しておく必要など無い。

●カスタム設定のパソコン上編集 (要求)
カスタムメニューでは様々な項目を設定出来るが、数が多くメニュー階層に隠れているものもあるので、カメラ操作でちまちまと設定するのは大変疲れる。
しかもカメラのファームウェアを更新すると、それらの設定がリセットされることもあるので、その時はまた最初から設定のやり直しとなるし、恐らく完全に復元し切れていない。

こういったことは、出来ればパソコンの大きな画面でテキパキと項目設定したい。設定値のバックアップも取れれば嬉しい。もちろんファームウェアの更新によって設定項目が増えたり変更するなどもあろうが、基本的な設定だけ引き継げるバックアップも可能ではないかと想像する。

<カメラ背面液晶に表示されたカスタム設定画面>
カメラ背面液晶に表示されたカスタム設定画面

●ホットシューの塗装廃止 (要求)
ホットシューは天頂部にあることに加え、ストロボの脱着作業でスレる部分でもある。そのため角の部分からの塗装剥げが早い。これは「E-M5」も同様だったので、このような部分に剥げに弱い通常の塗装は止めてもらいたい。

<ホットシューの塗装剥げ>
ホットシューの塗装剥げ

想像してみろ、レンズの脱着でスレが起こるマウント部分に塗装をするだろうか?
それを考えれば、シュー部分に塗装をすることの無意味さが分かるはず。

●ストロボの内蔵 (希望)
内蔵ストロボはちょっとした時に大変重宝する。この点は、ストロボを内蔵した「E-P5」のほうが利用範囲が広いと実感する。
内蔵ストロボがあると防塵防滴に不利だとか、デザインやコンパクト性を損なうという意見もあるようだが、もし本当に防塵防滴に影響があるならば残念ながらストロボ内蔵は諦めるしか無い。しかしデザインの問題ならばそれで機能が削られるのは本末転倒であるし、コンパクト性についても「E-M10」のように何とかなりそうにも思う。

●AF対応力の向上 (希望)
通常時のAFはかなり速い。一昔前のコントラスト式とは比べものにならぬ。
しかしながら、条件によってはまだ苦手な部分もあるように思う。

特に、望遠時などではいったんピントが外れると途方もなく行ったり来たりする。恐らく、望遠はピントが外れるとボケが大きくなり過ぎて、ちょっとやそっとのピント前後動ではコントラストに変化が現れず、ピント方向が分からないせいか。

それから、フォーカスエリアに光の反射や点光源が入るとボケた状態で合焦OKとなりシャッターが切れてしまう。例えばモーターショーでツヤピカのクルマを撮った時、照明がボディに映り込んでいる状態ではピンボケが多発。
夜のイルミネーションなども、かなりの頻度でピンボケ状態でも合焦OKとなる。ただ単にピンボケのためシャッターが切れないというのであれば測距し直せば良い話だが、ピンボケなのにシャッターが切れてしまうところが厄介なところ。液晶画面では特に問題無く写っているように見えるのだが、家に帰ってパソコンでピントチェックすると卒倒する。

この点は「強い要求」としたいところだが、これはコントラスト式AFの限界なのかという気もするので、とりあえず「希望」ということにしておく。

●像面位相差式の展開 (希望)
像面位相差式AFに対応したイメージセンサーを搭載しながらも、マイクロフォーサーズ用レンズを使うとコンティニュアスモードでしか機能しないのはもったいない。せめて新たに発売されるPROシリーズのレンズには常に像面位相差式AFが可能であればと思う。

現在、コントラスト式AFの性能が向上したと言っても、位相差式AFとは異なり、前ピン後ピンの判断がつかないので(※)、フォーカスエリアの枠内に遠近が混在する場合にはコントラストの高いほうにピントが合ってしまう。フォーカスエリアを狭くすることである程度は改善するが、いくらフォーカスエリアが狭くともダメな時はどうしてもうまくいかない。
これが位相差式AFの場合、対象物の遠近が判別出来るので、「近いほうにピントを合わせる」という古来からのアルゴリズムが活きる。

(※銀塩時代に存在したコントラスト式AFでは、センサー位置が前後にズレたものを使用しており、前ピン後ピンを判断出来ていたが、イメージセンサーを兼ねる現在のコントラスト式AFでは同一平面上でコントラストを見るため、前ピン後ピンが判断出来なくなった。)

ただ我輩自身、像面位相差式AFを体験したことが無く、それが従来の位相差式AFと同様に使えるレベルなのかは知らない。ウワサでは、そこまで期待出来るものではないという話もある。

●連写時のブラックアウト軽減 (希望)
航空祭にて飛行中の航空機を高速連写で追った際、連写中のブラックアウトが長く感じられ、追っていくのが大変苦労した。ブラックアウトから復帰するとそこにはもう航空機の姿が見えないのだ。
ただ、これはイメージセンサーからのデータ読み込みに時間が必要なせいかと思うので、改善しようにも難しい部分があろう。だからこの点も、「強い要求」としたいところを「希望」ということに留めた。

●画素数向上と高感度耐性向上 (希望)
画素数が1,600万画素はというのは、今となってはさすがに小さい。勤務先の事務用安物DELL製パソコンでさえフルハイビジョンパネル(1,920x1,080ドットTNパネル)が最低ラインなので、もし画像処理用のパソコンならば更に大きく、そしてデュアルディスプレイも珍しくない。

我輩の場合、今の段階ではまだ1,600万画素は大丈夫だが、「次に高解像度のディスプレイを買ったら等倍表示でギリギリになるだろうな」という気はしている。もちろん、8Kディスプレイになればもう完全アウト。
やはり写真を撮る以上、出来る限り迫力ある鑑賞方法で観たいので、8Kディスプレイに足らぬ解像度の写真は残念に思う。つまり、3千万画素台が最低ライン。ベイヤー機ならば少し縮小して目を詰めたいので、出来れば5,000万画素あれば良いと思う。

高解像イメージセンサーは開発中(外注)であろうとは思うし、ノイズ対策をしたうえで画素数の多いイメージセンサーを搭載するには技術的なブレイクスルーが必要であろう。OLYMPUS側もやれるならばやっているだろうから、ここではあまり強く要求はしないこととする。

●Wi-Fiの反応 (希望)
Wi-Fiの仕様上の問題か、あるいは我輩のタブレット端末の問題なのかも知れないが、コントロールの反応が遅く、しかも通信が途切れて再接続に時間がかかる。どうにかして安定して使えないものか。

●更なるシンクロスピードの高速化 (希望)
技術的に可能かどうかは分からず無理な相談なのかも知れないが、X=1/500秒くらいあれば中判BRONICAなどのレンズシャッター式一眼レフと同等な使い方が出来るので嬉しい。


====<プロ用カメラとしての特殊機能のアイディア>====
ここで言う「プロ」というのは、グラビア雑誌やスポーツ写真等で活躍するいわゆる業界人ではなく、我輩のような一般会社での業務上の撮影を行う者としての立場のことを指す。
我輩が所属する協会主催の大会撮影を行う場合、機関誌に写真を使う関係上、失敗が許されない。最近は誰でも携帯電話やタブレット端末で写真が撮れる時代なので、そんな中で「撮れませんでした」とはとても言えない。仮にそんなことになれば、「携帯電話で撮ったほうがマシだったな」と思われ、自分がカメラマンである存在理由を失う。

なお、ここで言う「失敗」と言うのは、「決定的タイミングを逃す」というような高尚なレベルではなく、例えば「物忘れ」や「思い違い」などのポカミスに由来するものを主に想定している。
高尚な失敗のほうは、カメラの性能を上げるなどの対策が必要で、小手先で何とかなるものではあるまい。

●夜光ダイヤル
以前「Nikon D600」で星野写真を撮ろうとしたことがあったが(参考:雑文795)、撮影モードを変えようとしても真っ暗でモードダイヤルが見えずに苦労した。カメラ右肩の液晶表示でLEDイルミネーションを点灯させればモードの状況は見えるのだが、それでもダイヤルの回転方向に迷って不便であった。ダイヤルの採用は暗い場面を想定して欲しい。
「E-M1」の場合、右肩液晶表示は無く、ディスプレイで確認するしか無く、そうなると暗闇では眩しくて仕方無い。

<D600にて天体撮影>
D600にて天体撮影

星夜撮影は頻度が低いので我慢するとしても、他にも業務にて大ホールで大会の撮影をする際、観客席の照明が落とされるとダイヤルが見づらくて仕方ない。
この点について、昔の「PENTAX MZ-7」のようなダイヤル文字が発光するものがあると有難い。

そこまでのメカニズムは凝り過ぎてコストや故障率が上昇してしまうのであれば、せめてダイヤル文字を刻印とし、プロ向け改造で夜光塗料を塗り込むサービスがあっても良い。過去にNikonのプロ向けサービスではプレス(報道)向けカメラ「Nikon F3P」のシャッターダイヤルに夜光塗料を塗り込む改造があった。これをオリンパスサービスセンターでも採り入れてはどうか。

●メモリカード入れ忘れ防止
銀塩カメラの場合、裏ブタにフィルム確認窓が付いているものがある。そこを見れば、カメラの電源が入っていなくともフィルム装填の有無が一目で判る。
ところがデジタルカメラの場合、メモリカードが未挿入であることが一目で判らなくなった。意識的に確認しようとすればメモリスロットカバーを開けて見れば分かるが、カバーを透明パーツにしておけばパッと見て有り無しが分かり、ポカミスを防ぐことが出来る。
見た目が良くないので市販カメラとして採用するのは不可能だが、見た目よりも確実性を重んずる業務用途としては是非欲しい。
参考情報として、銃器の分野では、マガジン(弾倉)が透明樹脂製で弾数を確認出来るものが幾つかある。

なお余談だが、我輩はメモリカード戻し忘れのポカミスを防ぐため、メモリカードを抜いてパソコン側に挿している間はカメラ側のカバーを開けたままにしておく。そうしておけば、カメラを持ち出そうとする際に必ず気付く。
ただしこの方法は不注意によるカバー破損の危険をはらむ。

<カードを抜いたらカバーは開放のままとする>
カードを抜いたらカバーは開放のままとする

●メモリカードホルダー
一部のデジタル一眼レフカメラでは、2枚のメモリカードが刺せるダブルスロット式のものがある。しかしマイクロフォーサーズカメラではコストやスペースの問題でダブルスロット式は難しいと思うので、せめてどこかの空きスペースに予備メモリカードを挿せる単純なポケットがあっても良い。ボディ側にスペースが無いならば、縦位置グリップのバッテリーの横などに設けてはどうか。
例えば、予定外に大量撮影してカードが足りなくなった時、あるいは単純にカードを忘れた時など、予備カードが刺さっていればそれで命が繋がる。今では小容量で使いようがない昔の512MBカードなどが活用出来るだろう。

あるいは他の方法として、内蔵メモリはどうか。
もう本当に最後の救済として、ほんの数枚でも撮りたいがメモリカードが足りない時などにお守り代わりに入っていると安心であろう。それを使うような状況はあってはならないのだが、もしもの時に仏の慈悲にすがりたい。

●単三電池対応
以前、撮影前にバッテリー残量が無く慌てたことがある。その日、「現地で充電すれば済む」と軽く考えてバッテリー残量を確認せず出掛けたわけだが、実は充電器が別のデジタルカメラのものだった。何とかならぬものかと色々考えたりしたが、結局どうにもならず、現地で200万画素程度のポンコツカメラを借り受け、何とかその場を乗り切った。しかし画質は最低で悔やまれる・・・。

専用バッテリーしか使えぬカメラというのは、ドジを踏んだ時には本当にどうにもならない。単三電池用の外部バッテリーさえあれば、コンビニエンスストアまで走れば済んだはず。
もちろん、そんな外部バッテリーがあったとしてもそれさえも忘れればどうしようも無いが、単なる電池ホルダーゆえに普段は充電等のメンテナンスも無くカバンの底に突っ込んだまま存在を忘れていれば良い。あるいは現地に常備しておくのも1つの方法。

ちなみに、携帯電話のほうでは緊急用として単三電池ホルダーはいつも持ち歩いている。先の東日本大震災で必要性を痛感したからだ(参考:雑文724)カメラでそれが出来ないというのは緊急時に困る。カメラは携帯電話より優先度は高いはずだが(冗談半分)。

単三電池ホルダーだと大きくなり過ぎるというのならば、単四ではどうか。もう本当に急場しのぎのためのアクセサリなので、100枚も撮れなくとも良い。たとえ10枚しか撮れないとしても、単四電池を数十本買ってくれば良い。金で何とかなるという選択肢があれば、地獄を見ずとも済む。


以上が、我輩からの意見である。
このカメラは、発売・入手から1年経った現時点でも我輩のデジタルカメラ中のメインカメラという位置付けは変わらない。
それゆえに、ここで挙げた不満点は我輩にとっての深刻な困り事そのものであり、単なる悪口というものではない。

もちろん、こんなところに要望点などを書いてもOLYMPUSのほうには伝わらないわけだが、このカメラの購入者には後日アンケートフォームの案内メールが来ており、書ける範囲で記入してある。その時は1年に満たない感想であったが、少なくともメインスイッチの位置についての意見は上がっているはず。

しかしそれも多数決で決まるのであれば、我輩の要望は否定されることになろう。これは選挙と同じ。いくら投票しても、我輩の民意は少数派なのだ。

もし自分の民意を反映させたいのであれば、自分が立候補する以外に方法は無い。それはつまり、自分がカメラメーカーを創業し、自分の思う理想のカメラを作ることであろう。だがそんなことは不可能に近い。もちろんやる気があれば不可能は無かろうが、しかし仮に様々な障害を乗り越えて我輩理想のカメラを作ったとしても、メーカーとして大勢に認知され、そしてカメラ自体が賛同を受けねば売れず、そうなれば倒産するしか無い。