2000/04/05
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表紙

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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[553] 2005年09月28日(水)
「少数派の苦労」

以前、雑文393「昔の敵は今日の友(2)」にも書いたことだが、最近は携帯電話(通称"ケータイ")を時計代わりにしている者が多く、腕時計を身に着けない人間も珍しくないようだ。

我輩の場合、携帯電話はヘナチョコ妻と共用しているため、ヘナチョコが携帯電話が必要な日には我輩は持たない。 当然ながら、時計機能を携帯電話に頼るわけにはいかない。

そういうこともあり、我輩にとって腕時計は必須のものである。就寝時にも軽量の腕時計をつけることもある。夜中に起きた時に時刻が分かると便利だからだ。

ところで我輩は、雑文545「液晶へのこだわり」にも書いたようにアナログ式時計はあまり好きではない。と言うのも、アナログ式の針の指す位置が曖昧(あいまい)で我輩の性に合わないのである。

1分経ってもあまり変化が無いその表示形態。前後を入れると2〜3分の違いに気付かない。その結果、時間にルーズになってしまった。
しかしデジタルは何時何分というのがハッキリと提示され誤魔化しが無い。何より、駅の時刻表示板との比較がデジタル同士で楽になった。

元々我輩は、最先端技術を好む(参考:雑文488「最先端カメラ志向(前編)」雑文489「最先端カメラ志向(後編)」)。
そういう意味では、デジタル式時計というのはハイテクな印象で我輩の好みに合う。金属ケース&バンドで液晶式であれば尚更(デジタル時計には液晶式の他にLED式、機械式がある)。

しかしながら、日本では単一の価値観が世の中を支配する傾向が強い。
もちろん現在の日本は、共通の価値観の下で発展してきたという実績があるため一概にそれを否定する気は無いが、それでも物には限度というものがある。

現在、腕時計にはデジタル式の選択肢がほとんど無い。
一時期、カシオからG-SHOCKシリーズの腕時計がデジタル式ながらも大ヒットし、デジタルが巻き返すことになるかと思ったのだが、それ以降はかえって全てのデジタル式腕時計はG-SHOCKを追随して肉厚樹脂製時計ばかりとなってしまった。かつてオーソドックスであった金属製のビジネスマン用デジタル腕時計はほとんど姿を消してしまった。

この時、我輩はまさに自分が少数派の側にいることを思い知らされた。
(参考:雑文369「ドレイクの方程式」)

我輩はここ数年、オーソドックスなデザインのデジタル腕時計を探して購入しているのだが、それらは種類が極めて少なく、あったとしてもどれも5,000円前後の安物ばかり。ちょっと着用すると、金属色のクロームメッキが剥がれて樹脂が見えてしまう。また、風防はどれもこれもプラスチック製で傷が付き易い。
(プラスチック風防を好む者もいるが、デジタル式の場合は単純にコストの問題であり、似合う似合わないの問題でプラスチックを用いているわけではない。)

アナログ針式腕時計の場合であれば、安物から高級品まで幅広い選択肢がある。金さえ積めば素晴らしい造りの腕時計が手に入る。
ところがデジタル式の場合は高級なものは皆無であり、安物のみで選択肢が全く無い。単純に、無機ガラス製風防の時計を探すだけでも大変な苦労を強いられる。

インターネットで検索していると、いつの間にか1970〜1980年代のデッドストックを探していたりする。こんなものに手を出しても、プレミアが付いている分高価で、しかも単機能、動作保証無しのリスクのおまけ付き。
確かにデザインは奇をてらったところが無くスマートなのだが・・・。

そんな中、最近やっと我輩の求める時計が見付かった。
金属製デジタルで無機ガラス風防。デザイン的にも落ち着いた感じである。シチズンの廉価ブランド「FREEWAY」。


CITIZEN FREEWAY (AA92-3712C)

これはネットオークションで偶然見付けたものであった。
時計本体はベルトも含めて金属製、そして風防は無機ガラス製である。液晶も視認性が良く、セグメントのバランスも良い。また青色のEL照明も内蔵されている。2パターンアラームと時報が搭載され、5気圧防水仕様。デザインは少し丸みを帯びているものの、まあ許せる範囲。
この時計ならば1万円出しても高いとは感じないのだが、価格は定価5,000円で落札価格は3,000円だった。

我輩は今まで、幾つもデジタル式腕時計を使い潰してきた。安物はすぐにボロボロ錆だらけになるためライフタイムが短いこともあるが、愛着が浅く飽き易いことも原因である。
それに対し今回手に入れたものは、同じ物を何個も使い継ぎながら長く使おうと思わせる。ストックは2〜3個は必要か・・・?

ところが残念なことに、この時計はオークションで手に入れた一品モノ。インターネットの検索や町の時計屋を巡ってみたが、どこにも在庫は無かった。話によれば、これは2年前に生産終了したモデルであるとのこと。

そんなバカな、現行品のFREEWAYのラインナップには、同じムーブメントを使ったG-SHOCKもどきの樹脂製ケース・ビニールバンドの腕時計が何種類かあるのだ。 なぜに金属製ケースの時計だけが生産終了・・・?

恐らく、需要が極端に少ないためだろう。
シチズンではその経験を踏まえ、今後二度とこのような時計を造らないに違いない。
少数派の我輩のニーズは、市場では全く相手にされないのである。

この先、我輩はこの時計を失うことを恐れて日常で使うことは無いだろう。
せっかく手に入れた理想に近い時計であるのに、クッション入りのケースに仕舞って時々撮影に使うのみ。

カメラについてもそうなのだが、我輩はいつも、少数派の側で苦労を強いられている・・・。


(2005.10.05追記)
探し求めている「AA92-3712C」と同じムーブメントを使ったプラケース&ナイロンバンドの「AA92-4121C」を購入して代用しようと考えたが、届いてみると風防が球面でプラスチック製だった。アウトドアタイプは衝撃に耐えるよう粘りのある素材としてプラスチックを採用しているようだ。同じムーブメントだからと安心していたのが裏目に出た。
しかし中古で「AA92-3712C」が見つかったため、少し使い込まれているもののこちらを常用することにした。プラ製「AA92-4121C」のほうは軽くソフトなため就寝用とする。