左辺の「N(銀河系内に存在する知的文明の数)」を求めるためには、右辺の各項目に具体的な数値を代入することになる。
まず最初の項目「N
*(銀河系内に存在する恒星の総数)」は、およそ1000憶〜2000憶個と推定される。これは膨大な数であるが、その後に続く様々な条件を確率として加えていくとどんどん数が絞られ、最後に出てくる数は非常に小さな数となる。代入する確率の想定次第では、最終的に
N=0となる場合もある。
知的生命体の存在を、それが存在出来るための条件から推測する。それが、ドレイクの方程式である・・・。
さて、我輩にとって35mmカメラは一つの基準である。
そのため、中判カメラやデジタルカメラについても、35mmシステムと同様な撮影が出来ないと不満に思う。
各フォーマットについて、本来ならば用途に応じてシステムを使い分けるはずである。しかし、単に機材の制約によって35mmカメラを選ばざるを得ないとするならば、本当の意味での「用途に応じた使い分け」が出来ているとは言えぬ。
中判カメラの場合、不満点の一つ「パソコンへの取り込み」は先日やっと実現した(
雑文366)。以降、このたった一つの条件だけでフォーマットが限定されることが無くなった。デジタル化しようがしまいが、35mmカメラと中判カメラを自由に使い分け出来るのである。
ところが不満点はそれ以外にもある。
我輩の中判システムでは、魚眼レンズ(フィッシュアイレンズ)が使えないのだ。
魚眼レンズは180度もの画角をカバーする特殊なレンズである。それはつまり、限られたフィルム面積に180度に広がる映像を凝縮するということでもある。そうなると、35mmフィルムのサイズでは少し厳しい。もしこれが中判用のブローニーフィルムならば、それこそ中判のフィルム面積を利用して凝縮された魚眼映像を詰め込むことが可能だと考えた。中判カメラこそ、魚眼レンズで使う価値がある。
(ちなみにデジタルカメラの場合、CCD面積が小さいため魚眼レンズを使用したとしてもトリミングされてしまい、魚眼の効果は殺される。通常レンズの先端に別売りのフィッシュアイ・コンバータを取り付ければ何とかそれらしい写真も撮れるのだが、インターネット上の作例を見てみると画像周辺部が流れて見苦しい。)
魚眼レンズは確かに特殊なレンズと言える。
元々、気象関係の雲量計測や天体観測等学術用途として開発されたと聞く。像のディフォルメは著しく、一般の写真用途としてはなかなか使いにくい面がある。
だが我輩は、魚眼レンズも
真実を写す一つの手段だと考えている。
また、星夜写真を魚眼レンズで撮ると見事な写真が出来上がる。これをスライドプロジェクターで大きく投影すれば、広大な宇宙に包まれたような感覚になるだろう。
だから、魚眼レンズはどうしても欲しい。何とかして手に入れたい。
我輩の中判メインカメラは「ゼンザブロニカSQ-Ai」である。このシステムには魚眼レンズは1種類あるのだが、これは180度の範囲が円形に写り込む「全周(円周)魚眼」ではなく、対角線の部分でのみ180度となる「対角線魚眼」である。要するに、全周魚眼の映像中央部をトリミングしたのが対角線魚眼だと言える。
本当は全周魚眼が欲しいのだが、仕方が無い。対角線魚眼で我慢することにしよう。
ところが、「マップカメラ」のサイトから通販メニューを参照すると、ゼンザブロニカSQ-Ai用対角線魚眼「PS35mmF3.5」は販売終了となっていた。
バカな、このレンズは発売されてからまだ4年くらいしか経っていないはず。それがもう無いというのか?
慌てて他のカメラ店のオンラインショップを探し回ったが、新品はおろか中古も見付からない。
唯一、「カメラのキタムラ」のサイトにはあったのだが、実際に注文してみると後日担当者から電話があり、この魚眼レンズはメーカーにて生産終了品であり、店頭にも在庫無く、キタムラのサイトに掲載してあったものは更新遅れによるものだと説明された。担当者の方によると、「いろいろと他を当たってみたのですが、恐らく在庫は日本中のどこにも無いと思います。」とのことだった。そこまで言うからには、余程流通していない特殊なレンズなのだろう。
考えてみると当然か。
35mmカメラではなく少数派のブローニーサイズ、その中にて645サイズではなく少数派の66サイズ、その中にてハッセルブラッドではなく少数派のゼンザブロニカ、その中にて通常用途のレンズではなく少数派の魚眼レンズ。
我輩は、フランク・ドレイクの方程式を思い出した。
全体の数は多くとも、その中で我輩が選んだレンズは限りなくゼロに近い存在。
もしかしたら我輩は、幻を追っているのだろうか・・・。