以前、蔵王のお釜へ行く前に、地形図や写真などで周辺地形を推測した。(参考:
雑文444/
雑文445/
雑文447)
お釜は比較的小さな地形であるため、1/25,000縮尺の地形図では細かいところが分からない。また写真では、撮影された角度によって全く違って見える。そのため、詳細な地形は現地へ行って初めて知った。
山の写真では大きさを測る対象物が乏しいため距離感が無くなる。そこに写っている岩は小石なのかそれとも巨岩なのか。
また、地形の凹凸(デコボコ)をというのはなかなか判断が難しく、写真からでは分からないことが多い。例えば火星のクレーターなどの写真を見ると、意識の具合によってクレーターのヘコみが一瞬ドーム状に盛り上がって見えることがある。脳内の凸凹判別が反転してしまうのだ。
人間は、物を立体的に見えない場合は、色の濃淡によってその形状を知ろうとする。その機能が岩石の色に惑わされ錯覚を生む。
山のシロウトが写真から地形を読み取るのはななかな難しい。
だからこそ、我輩が初めて蔵王のお釜を目の当たりにした時には、その大きさに驚いたのだ。「写真ではこれほど大きいとは思わなかった・・・」と。
ところが最近、地形の凸凹が手に取るように分かるステレオ写真が手に入るようになった。
国土情報ウェブマッピングシステム(国土交通省)から詳細な航空写真が得られるのだが、この写真は飛行機が航路を一直線上を飛びながら撮影されたものである。そして隣り合った写真は、互いにオーバーラップする部分が多く含まれている。
我輩はこの写真を使ってステレオ視することに挑戦してみた。つまり、2枚の写真は飛行機が移動して撮られたものであるから、その距離分の視差によってステレオ視は可能であるはず。
(※この方法は、航空写真の利用として良く使われるようである。)
上記写真は、ダウンロードした元画像を縮小して掲載したものである。これを平行法によって観ることによって立体視が可能となる。
以前、
雑文068「ステレオ写真」、
雑文131「ステレオ写真2」及び
雑文305「ステレオマクロ」にてステレオ写真について書いたため、立体視の方法についての詳しい説明は省く。
本当はもっと大きな画像で掲載したかったが、あまり大きいとサーバ容量を圧迫することや、さらに平行法として観るには左右の距離に限界があるため控え目にしてある。そのため地形の詳細があまりよく見えないが、大まかな地形の高低は手に取るように分かる。
(我輩自身は平行法の能力が高いため、少々大きな画像でも立体視は可能である。)
交差法による掲載であれば大きめな画像を掲載しても立体視は容易であろうが、左右の視点を交差させると脳が近い場所を観ていることを認知してしまい画像が小さく見えてしまうのが欠点である。我輩としては平行法にこだわりたい。
なお、飛行機による連続写真のため、視差がかなり大きくなっている。その結果、ステレオ視すると凸凹が極端に強調されて見える。我輩が実際に降りた斜面など、ほとんど垂直な崖のようだ。もしこの写真を蔵王のお釜へ行く前に観たとしたら、果たしてお釜のほうへ降りようなどと思ったろうか・・・。
いや、Web上で得られる蔵王のお釜の写真を見ることによってその強調は補正することは出来ただろう。
この航空写真、日本全国の全てをカバーしているというわけではないのだが、もし今後、初めて出掛ける土地で適用出来るならば、ステレオ視によって地形を事前に把握しておきたい。パーソナルGPSと併用することにより、より計画的行動を可能とし、ハプニングを最小限に抑えることが出来るだろう。