以前、
ステレオ写真について書いた。
この夏、実家に帰った時に、興味深い写真を見つけた。それは、学研の「5年の科学」に付いていた教材だった。立体写真による理科資料を集めたもので、付属の立体スコープで覗くと、写真が立体的に浮かび上がるというものである。
さて、その中に月を写したものがある。
「月が立体?!」
確かに月は球体であるため、視差さえあれば立体に見えるはずだ。しかし、その視差はいったい何キロメートル必要だろう?人間の目からは、ほとんど1点から見ているのと変わらない。そのため、肉眼で月を立体的に見ることなど出来ない。
それどころか、ちょっとくらい移動したくらいでも、ほとんど無駄な努力に終わる。そうなると、どのようにしても立体的に写すことは不可能に思える。
しかし、月はいつも地球に同じ面を見せているようで、実は多少の揺れがある。それを利用し、時間差を与えて写真を撮るのだ。そうすれば、月が左右に揺れたことによって擬似的な視差を作ることが出来る。これが、月の立体写真の正体である。
似たような原理で、移動している乗り物から連続写真を撮ると、ステレオ写真を得ることが出来る。これも遠景のものをステレオ化するのに都合が良い。
5年前、東京ディズニーランドでゴンドラに乗り、そこから移動中の写真を撮った。残念ながら天候が最悪で、しかも露出不足ということもあり、発色は良くない。しかしまあ、移動中の連続写真によるステレオ効果は出ていると思う。
この原理を利用すれば、ビデオカメラで撮影した画像からもステレオ写真を起こすことができる。そんな都合良く撮影された映像は無いかも知れないが、もしあれば出来るのだ。
ステレオ写真として撮った映像でなくても、工夫次第でステレオ化出来るというのは面白い。
下の写真は、「平行法」と呼ばれる方法で見る。右目で右の画像を、左目で左の画像をそれぞれ見つめると、2つの画像が融合され立体画像として浮き上がる。平行法なので、決して寄り目にしてはならない。遠くを見るような感覚で見ると良い。
「月」の写真は著作権の問題あるかも知れないが、興味深い資料であるため出典を明らかにして載せた。問題がある場合、掲載をやめる場合がある。
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学研「5年の科学」教材より
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左目
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右目
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5年前にディズニーランドでゴンドラから撮影
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左目
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右目
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さて、立体スコープなどの道具を使わずに2枚の写真から立体画像を見ることができる者はどれくらいいるのだろう?
我輩の身近では、おおよそ半々である。もしよければ、諸君も立体視が出来たかをお教え願いたいのだが。
立体視出来ない者がほとんどならば意味が無いので、以降、ステレオ写真は扱うのをやめておく。
出来る(30人)−出来ない(3人)
[2000年09月04日〜2001年09月25日集計]