闘病では、「買う理由」と「買わない理由」を追及することが重要である。
「買う理由」を追及すると、意外にも買う理由が弱いことが判明したりすることがあるし、「買わない理由」を追及すると、不要なものであることが改めてハッキリすることがある。そういう時には気が萎えて購入意思が消滅する。これは「Nikon D800」の時がそうだった(参考:
雑文741)。
またその一方で、理由追及が逆効果となって購入意思が強固になることもある。しかしながら、追及のために時間をかけることで自分自身が十分納得し、病気のままに購入したのではないということは確かめられる。
では今回の「DMC-GM1」について、「買う理由」と「買わない理由」は何なのか、それをここでまとめてみたい。これは、我輩自身の心の整理の記録である。
●買う理由(1) 「コンパクトであるから」
ポケットに入るカメラというのは、ふとした時にサッと取り出して撮影が可能である。しかも、コンパクトであることは撮影時に周囲に警戒を与えない(参考:
雑文783)。
そのために「DMC-GF3」や「DMC-GF5」を購入したが、コンパクト性を求めているのであればそれ以上のコンパクトなカメラが出ればそちらに目が行くのは当然のこと。
しかも「GM1」は「PENTAX Q」と同等な大きさだというではないか。実際に「PENTAX Q」を所有している我輩としては、「GFシリーズ」と「PENTAX Q」との違いが予想以上に大きいということを知っている。だから今回、「GM1」を求める気持ちが強いのだ。
結局、「GM1」を買う理由としては強かった・・・。
●買う理由(2) 「画質が良い」
我輩が最初に導入したマイクロフォーサーズカメラはPanasonic製だったが、それはイメージセンサーのサイズなりの画質でしかなかった。だから、マイクロフォーサーズには画質を求めるのではなく、あくまでもコンパクトカメラ的にメモ用途としての導入であった(参考:
雑文700)。
そのような意図で導入したのが「GF1」、「GF3」、「GF5」のラインである。
ところがOLYMPUSからイメージセンサーのサイズを超越した画質(低ノイズ性)のOM-Dが発売され、状況が一変した。
それまでOLYMPUSはPanasonicからイメージセンサーの供給を受けていたが、OM-DでSONY製イメージセンサーに鞍替えしたのである。
OM-Dを実際に比較・検証してみると、低感度に限定すればマイクロフォーサーズでもフルサイズにも匹敵するという結果を得た。
それ以後、我輩はマイクロフォーサーズはOM-D画質を基準とし、「GFシリーズ」の出番はほぼ無くなった。これらはもはやハイビジョンビデオカメラとしての役割しか無い(※)。
(※Panasonicのハイビジョン撮影はAVCHD方式が主体のため、ブルーレイビデオを作成する際に劣化無しの編集が可能である。そのため、ビデオ撮影ではGFシリーズを最上としている。)
一方、PanasonicはOLYMPUSにOM-Dで差をつけられて以降は画質的に見劣りする存在であったが、しばらくして「GH3」、「GX7」で立て続けに高画質なイメージセンサーを搭載したモデルを投入。特に「GX7」では、OM-D画質に匹敵するまでになったと言われる。
そして今回の「GM1」では「GX7」と同じイメージセンサーを搭載しているというではないか。そうなると、画質に関しては我輩基準を満たすことになる。
唯一心配な点は、手ブレ補正機能。
ボディ側ではなく、キットレンズ側に補正機能を搭載しているとのことだが、同じくPanasonic製のパワーズーム14-42mmの手ブレ補正機能がほとんど僅かにしか補正が効かなかったので、今回期待して良いのか分からない。しかし新開発の補正機構らしいので、それなりに効果はあるだろう。試しに量販店のデモ機で試したところ、1/4秒まではブレが出なかった。
結局、「GM1」を買う理由としては強かった・・・。
次に、買わない理由を考えてみた。
●買わない理由(1) 「キットレンズでしかコンパクトさを活かせない」
結局のところ、カメラのコンパクト性というのはレンズも含めた状態のことになる。「GM1」がコンパクトだとは言っても、それは専用に開発されたキットレンズ12-32mmを装着した場合のみで、それ以外のレンズを装着すればコンパクトとは言い難くなる。
確かに、このキットレンズは写りも良いらしいのでレンズ交換する必要は無いかも知れない。だがそうなると、わざわざレンズ交換式カメラを買う必要も無いではないか。
12-32mmは単体売りもされているので、このレンズだけ入手するという手もある。これまでのキットレンズ14-42mmよりも高性能らしいので、単体での導入価値はあろう。
しかしながら「GM1」の価値がコンパクトなキットレンズ12-32mmでしか活きないと言うことは、逆に言うと12-32mmのコンパクトさを活かすには「GM1」しかないということでもある。我輩所有の既存ボディでレンズだけコンパクトにしても何の意味があろうか。そのレンズが少々性能が良いとは言っても、更に高性能なレンズ(12-35mmF2.8や12-40mmF2.8)を持っているのでそれを使えば良い話。サイズが大幅に大きくなるものの、それが画質を最優先する場面ならば問題にはなるまい。そんな場面でわざわざ12-32mmを使う意味など無いのである。
やはり、12-32mmがあってこその「GM1」、そして「GM1」があってこその12-32mm。実質的にレンズ一体式と変わらないとは言え、この組合せには必然性があるのだ。
やろうと思えばレンズ交換出来る。そういう将来性があるだけでいいじゃないか。
結局、「GM1」を買わない理由としては弱かった・・・。
●買わない理由(2) 「ホットシューが無い」
スペース的に無理だという説があるが、同じ大きさの「PENTAX Q」にはホットシューがあるので言い訳にもならない。そもそもホットシューというのは単純なアクセサリシューにストロボ短絡用の電気接点を付けたに過ぎない。だから、内部的にはほとんどスペースを必要としない。強いて言えば、取り付けネジくらいのもの。スペース的な排他関係など全く無いのである。こういうことはカメラを分解したことのある者ならば理解している話だ。
我輩が想像するに、搭載されたシャッターでは物理的にX接点を叩くことが出来ないためではないか。仕様によれば、「GM1」はCMOSセンサーシャッター(俗に「電子シャッター」と呼ばれるがこれは誤解を生む-参考:
雑文798)も利用可能である。センサーシャッターは物理的なシャッターではないため、当然ながらX接点は叩けない。だから、X接点の短絡を利用する汎用ストロボは使用出来ず、デジタル制御の内蔵ストロボを光らせることしか出来ないのであろう。
「PENTAX Q」の場合、これは基本的にレンズシャッター式だが、物理的なシャッターの無いレンズを装着した時にはセンサーシャッターに切り替わり、ホットシューでのストロボ発光は出来ない。だがPanasonicはそのような動作例外を好まず、常に機能するホットシューでなければ装備したくなかったのではないかと思うのだ。だから、敢えて物理シャッターのほうにもX接点を叩くメカニズムは取り入れなかったに違いない。
ホットシューが無ければ、バウンスや斜光照射など自由なストロボ撮影が不可能となる。カメラにとってライティングは命でもあるから、この問題は致命的と言わざるを得ない。
ところが、これまで買った「DMC-GF3」と「DMC-GF5」では同じようにホットシューが無いではないか。
これは、コンパクト性を重視して割り切った購入であり、もし必要ならばスレーブユニットを使って外部ストロボを使うということだった。だとすれば、「GM1」も同じように考えれば良いことになる。
結局、「GM1」を買わない理由としては弱かった・・・。
●買わない理由(3) 「価格が高い」
「GM1」は、初期の価格が8万円とかなり高い。
高い安いの感覚は個人の感じ方にもよるのだが、理屈で考えると、イメージセンサーは最上位機種と同等であることや、レンズも金属外装で手ブレ補正機能を備えた高画質タイプであることから、8万円でも安いと言うべきだろう。
しかしながら現実としては、我輩の購買力を完全に越えている。何しろ、つい先日「OM-D E-M1(13万円)」と「12-40mmF2.8(7万円)」を家庭内借金で購入したばかり。
それに、コンパクトカメラにも似た外見からすると、8万円というのはどうしても抵抗がある。せめて6万円くらいであれば抵抗が弱まるのだが。
ところが発売直前から「GM1」は値下がりを続け、「価格コム」の最安値を調べると、数分ごとに値が下がるのが確認出来る。おおよそ1日平均で600円は下がっているようだ。
ちなみに「GM1」はカラーバリエーションが4色あり、色によって最安値が異なるが、悩んだ末に我輩はホワイトをターゲットと決めた(色を決めた経緯は後日記すこととする)。
発売開始から15日後の時点では、ホワイトの最安値は6万7千円。恐らくあと2週間も待てば6万円になろう。下落に勢いがあるようであれば、5万円まで待つのも手。
結局、「GM1」を買わない理由としては弱かった・・・。
全てのベクトルが購入の方向を向いていることが確認出来た。やはり、「GM1」は買うのは間違いない。
唯一の問題は価格の下落について。
当面の目標を5万5千円として考えた場合、我輩の頭脳による計算によれば、12月28日にこの値段に達する見込みである。しかし27日から九州帰省を考えているので、そこまで待つと帰省には間に合わなくなる。帰省に間に合わせようとすれば、少なくとも、24日までには注文に踏み切る必要がある。そうなると、その時点での予想価格は5万8千円となるか・・・。
あくまで自己判定だが、12月24日まで我慢出来ればギリギリ病気は改善したとしておこう。もし待てずにこれより早く注文することがあれば、それは闘病生活に敗れたということである。