2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[741] 2012年02月12日(日)
「D700からD800への乗り換えについて」


今現在所有し使用している「Nikon D700」は、以前にも書いたとおり、「D700」後継機が待ちきれず当面の間に合わせで購入したものであった(参考:雑文698)。

<我輩所有のD700>
我輩所有のD700

フルサイズ機を初めて導入しようとした時、Nikonでの選択肢は1,200万画素の「D700」しか無く、当時使っていたAPSサイズ1,000万画素の「Nikon D200」から見ると微増でしかなかった。そこでやむなくメーカーを変え、2,000万画素の「Canon EOS-5D Mark2」を選んだ。

<Canon EOS-5D Mark2>
Canon EOS-5D Mark2

しかしながら2,000万画素の情報量は満足出来るとはいうものの、メーカー違いによる使いにくさがどうしても慣れず、結局のところ改めて「D700」に買い換えることになってしまった。画素数が後戻りしたことになるが、次期高画素機「D800」が発売されるまでは「D700」で耐え凌ぐしか無い。

そういうわけで、我輩の中では「D800」購入はもう何年も前から決定事項だったことになる。問題は、いつ発売されるかだ。

「D800」の発売時期と仕様についての噂は、「D700」が登場した直後から数年に渡り色々と情報が飛び交った。
だがどういう噂があろうとも、画素数が増えるということについては言われなくとも分かっていた。それほど「D700」の1,200万画素は少ないのである。

画素数増加については、「イメージセンサーの限られた面積の中で画素数を増やすことは、1画素あたりの受光面積を狭めることとなり高感度特性を損ねる」という意見がある。
理屈は分かるが、まさか従来の技術のままで高画素化が行われるはずも無かろう。

確かに短いスパンで見れば、高画素によるノイズ増加や階調低下などの弊害が見られることは事実である。高画素化によって画質が低下して評判を落とした機種も実際にあるのだ。しかし、ハイアマチュア向け主力製品となるはずの「D800」では、その点はかなり慎重であるはず。

実際、「D700」は登場時でも少なく感じた1,200万画素に抑えていた。そして、「D800」はなかなか登場しない。これは、高画素化に伴う画質低下に対する対策に時間がかかっているからだと思わせた。
技術的ブレークスルーによって問題が改善されることは期待しても良い。

しかしそれにしても、「D800」は本当に発表が遅かった。「そろそろ出る」、「もうすぐ出る」という話が何度もあり、我輩も噂には翻弄された。
それに加え、ここ数ヶ月はタイの水害による工場被災でさらに遅れるという話が出たりした。
「やはりまだ先か」そう思った矢先、「Nikon D4」が発表された。
「D4」は非常に大きく高価なため、メインカメラと位置付けるのでなければとても購入対象となるカメラではない(我輩のメインカメラは66判一眼レフ)。だから、「D4」については全く眼中に無かったのだ。

しかし「D4」が出るということは、タイの水害の影響も一段落したのかとも思え、ならば「D800」も出てくるだろうと想像させた。
噂については相変わらず色々と出ており、半ばオオカミ少年のようにも感じられるのだが、ここにきて急に気になってきた。

噂の共通点を挙げると、「3,600万画素」、「ノーマルの他にローパスフィルターレスの2種類用意される」、「フルハイビジョン撮影可能」という点であった。
我輩としては、画素数が2,000万画素くらいだろうと思っていたが、ここまで多いというのは予想外。こんなに増やしてノイズの問題は大丈夫なのか?
しかし満を持して製品化するのであるから、それなりに対策はしてあるだろう。

「Canon EOS-5D Mark2」の2,000万画素を大きく超える情報量。画像の端から端まで丹念に眺めたい。そして、1,000万画素クラスでは気付かなかったような発見をしてみたい。

<これまで使ってきたデジタルカメラとD800の画像サイズ比較>
これまで使ってきたデジタルカメラとD800の画像サイズ比較

ちなみに噂によれば、「D800」の発表は2012年2月9日から開催される「カメラ・写真映像ショー(CP+)」の直前に行われる可能性が大きいという。そしてその予想通り、2月7日に「D800」が発表された。待ちに待った末の、ようやくの公式発表であった。
仕様はほぼ噂通りだったが、ローパスレスモデルというのは正確にはローパスの効果を低減したものだということで、こちらには「D800E」という名前が与えられていた。

<ようやく登場したNikon D800>
ようやく登場したNikon D800
ようやく登場したNikon D800
カメラ写真映像ショー(CP+)にて撮影 [Nikon D700/50mm] 2012/02/10

その日はNikonのウェブサイトはかなり混雑しており、「D800」に対する期待の大きさが感じられた。
我輩としてはすぐにでも手に入れたいところだが、発売は3月22日だという。「価格.com」で見ると、もう既に数店舗が購入予約を受け付けており、最安値は27万円となっていた。
ちなみに「D700」の場合、初値は29万5千円であった。それを考えると、「D800」の値段はかなり安い。

とは言うものの、安いのは比較としての話であって、我輩の購入能力を遙かに超えるという意味では高価である。この高価なカメラを買うにはどうすれば良いだろう?
そこで自然と「D700」の売却について考えが至った。

「D800」を購入するタイミングの話に戻ると、初値は最安値で27万円とかなり高い。
「D700」の時は、発売23日後には最安値が30万円近くから27万円にまで下がった。そして半年後には23万円まで下がり、「Canon EOS-5D Mark2」の発表が行われるとさらに3万円のキャッシュバックが行われた。
もし同じような値下がりが「D800」で起こるとするならば、4月中旬以降で25万5千円、9月まで待つと20万5千円にまで下がる計算になる。さすがに9月まで待つと、撮影シーズンの春夏には使えないということになるため、現実的には4月中旬に買うことになろうか。

もし今「D700」を売却するならば、2ヶ月間はフルサイズ機が手元から消えることになる。かと言って「D700」の売却が遅くなれば、我輩と同じく「D700」から乗り換える者が「D700」を手放そうとするため、「D700」の中古相場が一気に下がることになろう。そうなる前に、1日でも早く「D700」を売らねばならぬ。

まあ、「D700」が無くとも「LUMIX GF3」はあるし、「PENTAX K-x」もある。ISO800常用が出来ないことを我慢すれば、1ヶ月くらいの空白は何とかなろう。

早速、ネットオークションに「D700」を出品。あまり状態が良くないので、スタート値で9万5千円、即決13万円としておいた。
驚いたことに、出品直後からアクセス数が増え始めた(出品直後の確認で既に3アクセスあった)。特に注目させるためのオプションを付けておらず、通常ならば出品した直後はオークション終了時間がまだ先ということもあり、検索ヒットも後ろのほうになる。それでもアクセス数があるというのは、よほど「D700」を探している者が多いということを意味する。この具合ならば売れそうだ。

さて「D800」のほうだが、最初から「D800」購入が決定されていたことだとしても、画質が今さらながらに気になる。
しかし、作例があまり無いので参考にならない。特に、我輩が常用しているISO800以上の作例が1つも無いのだ。これは色々な意味で気になる。まさか、高感度での作例が見せられないほど酷いのか?

まず、一番多いISO100の作例サンプルをダウンロードした。JPEGながらも1つ20MBもあるので、ダウンロードも一苦労。
画像を開いて等倍で見てみたが、ノイズはほとんど確認出来ない。とても3,600万画素もあるイメージセンサーの画像とは思えぬ素晴らしいものである。
ISO200のほうも見てみたが、その印象は変わらなかった。

今度は、掲載されている作例サンプルのうち、最も高いISO640と中感度のISO320のものをダウンロードしてみた。
ここでは、ISO320で撮影された写真のアウトフォーカス部分を等倍で切り出してみた。アウトフォーカス部はノイズが分かり易いからだ。

<D800作例 ISO320でのアウトフォーカス部等倍切り出し>
D800作例 ISO320でのアウトフォーカス部等倍切り出し

これを見ると、どうもザラザラ感が気になる。これが本当にISO320の画像なのか?
EXIF情報を確認したところ、確かにISO320となっている。
比較のため、「D700」で撮影したISO800の画像を下に掲載した。ノイズは暗部で目立つものなので、暗部同士を比べてみたい。

<D700作例 ISO800でのアウトフォーカス部等倍切り出し>
D700作例 ISO800でのアウトフォーカス部等倍切り出し

見比べると、「D700」のほうはかなり滑らかに感ずる。「D800」のほうは高画素だからという理由もあるが、ISO感度が低い分、同じくらいの滑らかさを期待するのだが・・・。

次に、「D800」のISO640画像のアウトフォーカス部の等倍切り出しを載せてみた。

<D800作例 ISO640でのアウトフォーカス部等倍切り出し>
D800作例 ISO640でのアウトフォーカス部等倍切り出し

これを見ると、ノイズは先ほどのISO320と同程度か、あるいはわずかに目立たないように感ずる。

もしかしたら、ISO320のほうは露出不足のものを明るく補正したのかも知れない。その場合、暗部のノイズが持ち上がり、ISO640よりもノイズが目立ってしまう可能性がある。あるいはシャープネスをかけ過ぎたか。
だが、多くの者が「D800」の画質をチェックするための作例サンプルであるのに、わざわざこのような写真を載せるだろうか?

ちなみに、「異なる画素数での等倍比較はフェアでは無い」という気持ちもあったため、「D800」の画像を縮小処理して「D700」と同サイズに揃えて比較してみた。しかしISO320の画像ではノイズが完全には消えず、「D700」の画質を超えることが出来なかった。
これは比較するならば、マイクロフォーサーズの「GF3」と同程度ではないかと思う。もしそうならば、「GF3」の場合はISO200を常用としているが、「D800」もそうなるということか・・・?
いずれにせよ、3年半もの時代差がありながらほとんど高感度特性が改良されていないように見えるのは残念としか言いようが無い。

だがノンキにしている場合ではない。なぜならば、現在「D700」のネットオークションが進行中なのだ。もし「D800」の画質に満足出来ないのであれば、「D700」に戻るしか無い。そうなるとオークション出品を取り下げねばならないが、入札者がいればそれが出来なくなる(やろうと思えば出来るだろうがトラブルの元)。

急いでオークション画面を確認してみると、幸いなことに入札者はまだいなかった。しかし出品2時間ほどで閲覧数が60にもなり、ウォッチリストも5件登録されていた。
「D800」にするか、「D700」のままとするか。「D800」の作例サンプルが少ないため判断に迷う。
D800の作例は他にも無いだろうか? 特に、D700で常用しているISO800の画像が見たい。

少々焦りながらも色々とウェブ上を探していると、ロシアのサイトで「D800」の作例が載っているところを見付けた。「なぜにロシア?」という気持ちもあったが、とりあえずダウンロードする。その中にはISO800のものが1枚あった。
念のためにEXIF情報を見てみたが、確かに「D800」で撮影したものらしい。もちろん、EXIF情報は偽ることは簡単だが、ここは信じるしか無い。

<D800作例 ISO800でのアウトフォーカス部等倍切り出し>
D800作例 ISO800でのアウトフォーカス部等倍切り出し

これを見ると、やはりノイズは少々目立つ。ただ、ISO320からそれほど変わったようでもない。
少ないサンプルからの想像でしかないが、ISO200とISO300の間に大きな段差があり、そこを超えるとノイズが大きく目立つが、そこから少々感度を上げてもしばらくは変化が無いように思える。

さて比較として、マイクロフォーサーズ「LUMIX GF-3」でのISO800のアウトフォーカス等倍切り出し画像を掲載する。

<GF-3作例 ISO800でのアウトフォーカス部等倍切り出し>
GF-3作例 ISO800でのアウトフォーカス部等倍切り出し

これを見ると、やはりISO800の条件では「D800」のノイズ感は「GF-3」と同程度であることが判る。となれば、もし「D800」を導入した場合、運用基準は「GF-3」と同様にISO200を上限としなければならないことになろう。さすがこれはにツライ。

この時点で、我輩の「D800」に対する気持ちは冷めてしまった。
それと同時に、ネットオークションの出品取り下げを決断し、再びオークション画面を見た。まだ入札は無い。直ちにオークション管理画面から出品取り下げを行い、「D700」の売却を中止した。危なかった・・・

しかしそれにしても、自分はいつからデジタルカメラのノイズに対して許容出来なくなったのだろう?
改めて過去のデジタルカメラ画像を見返してみると、特にコンパクトデジタルカメラのノイズの酷さに驚く。「RICOH GR-D」などはノイズまみれであった。よくこんな画像で納得していたものだ。

やはりこの原因は、これまで使ってきたデジタル一眼レフカメラのノイズレスな画像にあったかと思う。
特に「EOS-5D Mark2」と「D700」のノイズの少なさは、今考えると特筆に値する。しかし今までそのことに気付かなかった。それが当たり前、つまり「画質基準」となってしまったせいであろう。

その画質基準のせいで、コンパクトタイプのデジタルカメラのほうもノイズレスを追求するようになり、マイクロフォーサーズに行き着くことになった。
もっとも、このこだわりによって、デジタルカメラ画像を加工・利用する際にはあまり苦労も無く快適になったことも事実。ノイズが少なければ切り抜き作業もはかどるし、それほど縮小せずともキレイに仕上がる。

今回、「D800」への切り替えは無くなったが、金策を考えなくても良くなったのが最大の効用かも知れぬ。
一番苦しいのは、買いたくとも買えぬという状況。「D800」については、4年もそういう状態であったのだ。そういう意味で、買いたいという気が萎えてようやく心が落ち着いたように思う。