2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[554] 2005年10月22日(土)
「過去の概念による呪縛」

先日、ヘナチョコ妻が豚児の七五三衣装をレンタルするため試着にでかけたそうだ。
そこで何パターンかの試着をしてみたわけだが、その時に店員から「携帯をお持ちならどうぞ写真を撮ってください。」と声をかけられたとのこと。

以前、雑文423「行く末」でも書いたが、もはや携帯電話にカメラ機能が付いているのは当たり前。日常会話に於いて、「写真を撮る」と言えばそれはすなわち「銀塩カメラでもなくデジタルカメラでもなく、携帯電話で写真を撮る」という意味である。カメラを使って写真を撮るのはマニア以外には無い。
(※携帯電話もデジタルカメラの一つの形態とも言えるのかも知れないが、携帯電話を主としそこから派生したものであるから別物として扱うほうが自然。例えば携帯電話をウォッチ代わりに使う者がいるが、それによって携帯電話がウォッチのカテゴリに入るわけではないのと同じ理屈。)

ところで、デジタルカメラと言えばここ数年でラインナップも充実してきた。
少し前なら一眼レフ形式のデジタルカメラは高嶺の花だったが、今では新品でも10万円を切るものもある。いよいよフルサイズC-MOS/CCDも一般向けに登場してきた。

しかしよく考えると、一眼レフカメラの利点の1つに「ファインダーで見たものがそのまま写る」ということがあるが、デジタルカメラであればコンパクトカメラ形式でもモニタ画面で見たものがそのまま写る。
銀塩カメラの場合だと、コンパクトカメラであればファインダーと撮影レンズは視差(パララックス)があり、見たままが写るわけではない。

そういう意味で言えば、デジタルカメラは総じて「一眼カメラ("レフ"が無いだけ)」と言って良い。
ではなぜ、そんなデジタルカメラに一眼レフ形式のカメラが必要なのか。

種々の交換レンズが使えるからか?
別に一眼レフで無くとも、コンパクトタイプのボディをレンズ交換式にすれば良かろう。ミラーボックスが必要無いため、コンパクトになる。いや、そもそもレンズを交換する必要性はあまり無いはず。

では、システム拡張性があるからか?
そんなもの、一眼レフタイプであってもほとんど拡張性や互換性が無いことを考えると、何の意味も無い。
現代の一眼レフカメラは全ての機能を内包することによって外付けシステムを排除してきた。ただし内包することの出来る機能はあまり上等なものではないため、本格的な要求には応えられないこともある。また、無用な機能により肝心な基本操作が邪魔されることも少なくない。

ならば、レスポンスや画像性能(参考:雑文471「次のデジタルカメラ(後編:今回購入した経緯)」)など、基本性能が違うからか?
しかしそれはコストの問題であって一眼レフタイプの本質的利点ではない。コンパクトタイプに性能アップして出来る問題。

このように考えると、一眼レフタイプに存在意義があるかどうかは甚だ疑問。
オリンパスのフォーサーズシステムなどはその点に気付いたようにも見えるが、まだミラーが残っており一眼レフから派生したというのは明らか。
まだまだ過去の呪縛に囚われている。

ここで一つ、携帯電話から一眼レフデジタルカメラを駆逐するようなカメラ機能が出てこないだろうかと期待する。ミノルタが薄型ボディに高倍率ズームレンズの光学系を縦に折り曲げたように巧くまとめるように出来ないか。
もちろん、被写界深度が深くなるなどの影響もあるが、元々デジタルカメラを使う者は深い被写界深度を気にする者は少ないので、それはクリア出来る。

常に身につけた空気のような存在である携帯電話に高精細受光素子・高倍率ズームが搭載され、大容量データを簡単にパソコンに転送出来るようになれば、わざわざ他のデジタルカメラを持って使おうとする者は居なくなる。

「携帯電話というものがあるのに、わざわざデジタルカメラを持ち出して写真を撮る。そういう面倒臭さが趣味というものだよなぁ。」
こういうことを言う時代はいずれ来るだろう。

今はまだ、デジタルカメラは銀塩時代の過去の概念による呪縛に囚われているが、そのうちもっとあるべき姿に形を変えてこの世から消え去る。
まさに、恐竜が鳥に進化して表面上絶滅したように。

参考:雑文393「昔の敵は今日の友(2)」