現在我輩が使っているデジタルカメラは「OLYMPUS CAMEDIA C-700UZ」と「Canon EOS D-30」の2つである。それぞれに露出計としての用途を担っているわけだが、野外での撮影では外光に左右されず液晶モニタを見ることが出来るファインダー内液晶の「C-700UZ」が有利。
そうでなくとも「EOS D-30」は大柄なため、露出計用途としては野外では使いにくい。
しかしながら、「C-700UZ」には幾つか欠点がある。
まず、起動時間が5〜6秒と非常に遅い。「ウィ〜ン」とゆっくりレンズが繰り出してくるのを見るとイライラさせられる。
また、汎用シンクロコネクタが付いておらず、外部ストロボの使用は不可能。内蔵ストロボによる発光によってスレーブユニットで外部ストロボを発光させてみたが、微妙にタイミングが合っていないのかストロボ光が露光に影響を与えていない。肉眼では確認出来ないストロボの瞬間光こそデジタルカメラを露出計用途として使うメリットとなるはずなのだが、それが出来ないのは残念と言うほか無い。
それでも何とか「C-700UZ」を活用してきた。ストロボさえ使わなければ、かなり精度の良い測光が可能となる。段階露光も必要無く、露出の決め打ちのためには無くてはならぬ存在であった。
だが野外での使用により、身体中キズだらけの痛々しい状態となっている。また、先に挙げた欠点をそろそろ改善したくなってきた。
我輩が次に求める理想的なデジタルカメラの仕様をまとめると以下の項目が挙がる。番号が若い順に要求度が高い。もちろん、全てが満たされるような機種など存在するはずがないので、バランスを考えながら妥協することになろう。
我輩は毎年、「月刊カメラマン」の12月号を買っているのだが、それには現行カメラの総リストが載っているからである。その総リストを何度も見比べながら、とりあえずの機種を選定した。
当然ながら、マニュアル露出が出来なければ意味が無い。そしてその中から、起動時間の早いものとして「MINOLTA Dimage G400」を選んだ。カタログによれば、起動時間は0.7秒。ここまで早ければ、不満は"軽減される"というよりも"解消される"と言える。カバーを開いた時点で、もう撮影可能となっている。
しかもこのカメラは非常にコンパクトながらマニュアル露出が可能で、電池の保ちも良いという。実売価格は約3万円となっている。
我輩は3万円を得るために、使わないカメラ機材をネットオークションに3点出品することにした。
開始価格はそれぞれ1万5千円。全部落札されれば、少なくとも4万5千円を得る。
さて、その間にDimage G400についての詳細を検討した。メーカーホームページから取扱説明書のPDFファイルをダウンロードして読んでみた。すると、このカメラは絞りが2通りしか選択出来ないことが判明。広角側でF2.8とF4.7であり、露出計としては唯一F4.7しか利用出来ない(F2.8の明るい所有レンズは少ないため)。
店頭で実機を手にしてみて、確かに起動は非常に早くボディサイズも小さ過ぎるほどであることを確認したが、肝心のマニュアル露出の操作性が良くないことも知った。十字キーの左・右・下キーの3つのボタンで設定するわけだが、入力モードが上キーで切り替わってしまう。しかもこの十字キーは小さくミスし易い。
そういうことから、シャッタースピードを調整しているつもりがいつの間にかストロボ強制発光にしてしまったりする。
せっかく迅速に起動出来ても、操作に手こずるならば意味は無い。
そこで目を付けたのが「FUJI Fine Pix F700」である。
これはヘアライン処理のメタルボディで、横長のスタイルがカメラらしく好感が持てる。起動も先程の「G400」程ではないが、それなりに迅速で十分と感じた。
しかも設定により、撮影後にその画像を表示させ、それをメモリに書き込むか破棄するかを訊いてくるようにさせられる。露出計用途としてこの機能は有用である。また、マニュアル露出時の絞り設定は10段階くらいある。
ところがこのカメラはISO感度が200以上しか無く、ISO100を多用する我輩には使いにくい。いちいち1絞り分補正せねばならないのは面倒。そのことをつい忘れてしまうことも考えられる。
また、バッテリーのサイズによるためか電池の保ちがあまり良くないというWeb情報・店員情報が多い。
オリンパスの「CAMEDIA X-2」も小型でマニュアル露出可能という意味では良かった。しかしISO感度が80/160/320と中途半端なのが致命的。
ソニーの「DSC-V1」はダイヤル操作でホットシュー装備なのが良かった。しかもシャッターを切ってそのままシャッターボタンを押していると撮影画像が液晶モニタにずっと表示されているのが便利。
しかし起動時間が3秒と長めで、何よりソニー製品は長く使えないイメージが強い。しかも「メモリースティック」など自分勝手に立ち上げた規格のメモリが気に入らぬ。
ニコンの「COOLPIX 5400」も、ダイヤル操作でホットシュー装備なのが良い。しかもグリップの形状のためホールドし易い。メモリはコンパクトフラッシュであるから、ポケットPCなどにも使えるのが便利。
しかし起動時間はやはり3秒程度と長めで、買い換えの動機を満たさない。
「困ったな、これでは買うモノが無い・・・。」
我輩はこのような思考を1ヶ月程繰り返し、また最初に戻ってきた。
「割り切ってDimage G400にするか。」
そして最終確認としてヨドバシカメラ店頭で実機を手に取った。
「相変わらず起動は早いな。小型軽量でしかもバッテリーも保つのだから、これにするか。しかし設定がやりづらいのが心配だ・・・。」
そこに店員が話しかけてきた。
「G400、良いですよ。」
「はあ。」
「起動が早くて簡単操作、400万画素でこのサイズです。」
「・・・露出計用途としてマニュアル露出の出来るカメラとしてG400の購入を考えているんですけど、実際に手に取るとどうも萎えて。」
「露出計用途ですか、そういう方、結構いますね。」
「そうなんですか?」
デジタルカメラを露出計代わりに使う者など我輩以外にいるとは思わなかっただけに、この言葉は意外だった。
店員は熱心に説明してくれるため、我輩も色々と質問して情報を得た。そしてその情報を整理するため、この日はまたもや購入を見送った(最初からヨドバシカメラで買うつもりは無いが)。
一つを妥協すると別の機種も候補となり、選択に迷う。かといって少し条件を付けると該当機種が無くなる。少しずつ少しずつ妥協していくと、最初のコンセプトとは全く違う機種を考慮してしまってハッと我に返る。金策のためのネットオークションの入札額が合計10万円を越えたため、どんどん目線が上がっていくのも原因。
インターネットショップでG400を注文しようと注文ボタンを押す直前まで行ったこともあったが、結局やめた。
どうせ買うならば、やはりホットシュー付きのものにしよう。
そうなると起動時間の遅いソニーの「DSC-V1」かニコンの「COOLPIX 5400」しか無いが、ソニーは今まで修理しないで済んだ機器が少なかった経験上(MD、ビデオデッキ、VAIO等)、ニコンを選ぶことになった。
念のためにヨドバシカメラの価格をWeb上で見たが、\89,800と話にならない。
価格.comから最安値の店の値段を見ると\64,000となっている。それらの店の中には初期不良対応の店が無かったため、もう少し値段の高い店を見てみると「
PCボンバー」が\64.200で初期不良対応で出していた。この店は御徒町駅から3分程のため、我輩にとっては非常にアクセスが良い。タイミングさえ良ければ30分程で行ける。
週末、我輩はその店に出向き、「COOLPIX 5400」と予備バッテリーを購入。価格はなぜか最安値店と同じ\64,000円となっていた。バッテリーは純正品ではないが、安いケンコー製の互換バッテリーを2つ購入した。リチウムイオン充電池は追加充電によるメモリー効果は無いものの、結局は充電回数によって劣化することは避けられない。そのための予備として確保しておく必要がある。必要無ければそれに越したことは無い。
残念ながらACアダプターは在庫が無かった。
どうせメディアプリントの現像受け取りのためにヨドバシカメラへ行くのだからと、ACアダプタはそこで購入することにした。ヨドバシの店員にACアダプタを要求し、レジにて精算。店員が「そちらのお荷物も袋に入れましょうか?」と訊いたので入れてもらうことにした。
PCボンバーのビニール袋は厚手の白色だが密着すると若干透けて見える。ヨドバシ店員はそれを見たようで我輩に質問した。
「PCボンバーさんのクールピクス、おいくらでした?」
「6万4千円。」
「そ、そうですか・・・(苦笑)。」
「全然値段が違うね。」
いくらヨドバシのポイントが付いても、2.5万円の価格差は埋められまい。
帰宅して箱を開封すると、新品の輝きを持った姿が現れた。外装はマグネシウム合金だそうで、これくらいコンパクトなカメラにマグネシウム合金を使うと剛性が向上するだろうと感ずる。
雑文374で書いたように、重量級の大柄なカメラが外装として使うには問題有りだが。
さて、起動時間についてだが、実際に使ってみると、起動時間3秒というのはそれほど長く感じられない。スイッチの入れ易さも関係しているのかも知れない。少なくとも、今まで使っていたC-700UZが5〜6秒だったことに比べれば早い。
ところで画像については、「何だこれは?」というレベルであった。
500万画素だけあって確かに画像サイズは大きいのだが、その描写は粗くザラザラして全くダメ。無圧縮のTIFF画像で撮影しても変わらない(JPEGの圧縮ノイズというレベルではないので当然)。輪郭強調設定をOFFにしてみたが、ザラザラの画像が単にボケただけであった。それでもまだザラザラが見える。
Nikonはよくもこんな画像での商品化を許したものだと感心する。よく、「カメラメーカーのデジタルカメラというのはひと味違う」という話を聞くことがあるが、それは先入観によるものである。そのような者は、実際の画像を見れば沈黙してしまうに違いない。
やはり、コストが圧縮されるこのクラスのデジタルカメラの画像など、本気で使えるような代物ではない。それなりのコスト投入が許される一眼レフタイプのデジタルカメラでなければ、高画質な描写は得られない。事実、我輩の「Canon EOS D-30」は300万画素程度の前世代のものだが、500万画素の「COOLPIX 5400」でも足下にも及ばない高画質を得ることが出来る。本当に、画が全く違うのである。
画素数優位主義を謳う者は、恐らくデジタルカメラを使ったことが無い者あるいは使いこなしていない者であろう。
このようなコンパクトタイプのデジタルカメラの画像は、少なくとも1/2くらいにリサイズしてピクセルの目を詰めねば、クオリティを重視する趣味用途としては全く使えない。まあ、我輩の露出計用途としてはどうでも良いことだが。
それから驚くことに、ISO感度が銀塩と対応しておらず、我輩の見たところ、このデジタルカメラではISO50の設定でISO100相当になる。ただし、このことさえ気を付ければ露出計用途としての精度はそれなりにあると言える。
しかしやはりストロボ撮影が可能というのは大きい。今までは一眼レフタイプデジタルカメラのD-30を使わざるを得なかったが、これでその悩みも解決する。
外部液晶モニタの表示は、今まで使っていたC-700UZよりもメリハリが無く頼りないが、とりあえず適正露出を読み取ることには不都合が無く、そこは目をつぶって新旧交代させることにした。
このカメラは色々と設定が可能で、撮影情報をテキストファイルに落とすことも出来る。
もちろん、画像データ自身にもExif情報として持っている情報ではあるが、特定のソフトでしか扱えない不便さがある。これがテキストファイルならば、ポケットPCにメモリカードを刺して即座に利用可能。
ところで、このカメラはレンズキャップが必要で着け外しが面倒。最近のデジタルカメラの多くはレンズバリアによって自動的にレンズ面を覆うようになっているものだが。これは紛失しそうだな・・・。
と思っていると、早速レンズキャップを紛失してしまった。もしかしたら豚児が隠し持っているのかも知れないが、まあ、そのうち出てくるだろう。
・・・というわけで、新しく導入した「COOLPIX 5400」。
現段階ではまだこのカメラの有用性を実証出来ていないが、近いうちに露出計用途として実写を行い、クセを掴みながら使いこなして行こうと思う。
(2004.02.03追記)
「COOLPIX 5400」について、電子ダイヤル(コマンドダイヤル)はゆっくり回さないと表示がワンテンポ遅れる。その操作に慣れないと、設定値を行き過ぎてしまうことがある。
また、高速タイプ(16倍速)のコンパクトフラッシュを使用しているにも関わらず、撮影後の待ち時間が少しある。書込み速度の問題か、画像処理速度の問題か、バッファの問題か、あるいはゴマカし方がヘタなのかは不明。
(2004.02.26追記)
紛失したレンズキャップの件、やはり豚児がイタズラしていたようで、空気清浄機の上部吸気口の奧のほうに落ち込んでいた。それにしても、最近小物が無くなることが多い。