[771] 2012年09月19日(水)
「デジタルカメラ4機種のノイズ比較(現実条件での画質)」
前回雑文では、「LUMIX DMC-GF5」の購入を機に、デジタルカメラ4機種にてテスト撮影したRAWデータをそれぞれ無調整で画像化し比較した。そして、これまで使っていたデジタルカメラが意外にも高いポテンシャルを持っていることに気付かされた。
厳密に言えば、RAWから画像化したこと自体が調整に当たるので"無調整"とは言えないわけだが、少なくとも画質を損なうことを最低限とした状態、つまり「RAW現像ソフトでのデフォルト設定にて現像した」という意味での"無調整"である。
無調整を可能にしたのは、他でも無く撮影時の配慮による。
もし野外でテスト撮影などすれば、ハイライトからシャドウまでのレンジが幅広くなり、とても無調整では済むまい。
しかしながら、いくら理想的な条件でのカメラのポテンシャルを知ったところで、実際の撮影に即していなければ参考とするにも片手落ち。
たとえ室内限定で使うとしても、カメラがシーンを適切に把握して完璧な露光量に調節出来ているとは限らないし、そもそも後調整を前提にハイライトを飛ばさぬようカメラが意図的に露光を抑えている場合もある。そのことは前回雑文でも指摘した。
そこで今回は、わざとアンダー露光でテスト撮影し、RAW現像時に明るさを持ち上げてノイズがどう現れるのかを確かめてみた。具体的には、-1.5EVにて撮影し、+1.5EVで現像補正して、最終的にプラスマイナス0とした。
まず共通撮影エリアについて、前回と同様であるが一応下に掲載したとおりである。
<共通撮影対象> |
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「GF3」と「GF5」を比較する目的のため、同感度で比較し易いよう横に並べた。前回雑文を別ウィンドウで開き、本雑文と並べて見るとその違いが分かり易い。
これを見て、我輩もようやく納得した。これこそが、普段感ずるノイズ感。現実に即した本来の画質見本と言える。
この場合、残念ながらISO200でもそれなりにノイズが浮き上がるようだ。しかも、前回雑文でも同じ傾向だったが「GF3」のほうがノイズが目立たない。
しかしながら、ISO400になると「GF3」と「GF5」共にノイズが大きくなるものの、比較的「GF5」のほうがマシである。
そして、ISO800以上になるとノイズが酷くなり、料理撮影には使えない。
さて次に、同じ撮影条件にて「OLYMPUS OM-D E-M5」及び「Nikon D700」でテスト撮影したものを以下に載せる。
参考:<OM-D E-M5>
ISO200 |
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参考:<D700>
ISO200 |
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ISO400 |
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ISO400 |
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ISO800 |
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ISO800 |
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ISO1600 |
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ISO1600 |
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ISO3200 |
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ISO3200 |
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ISO6400 |
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ISO6400 |
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こちらも、前回雑文の適正露出撮影の時と比べるとノイズが乗っており、それなりに見慣れた画質であると納得した。
以上の画像を見た結論として、ISO200しか使わないと決めている条件では「GF3」を使うほうが良いが、ISO400での使用も視野に入れているならば「GF5」を使う意味も多少はあるとも言える。
ただしその場合でもノイズの差はごく僅かで、「GF3」を所有しているのであればわざわざ「GF5」を無理して購入する意味は無かった。
「GF5」の購入が意味を持つのは、ISO800以上で撮影する場合である。高感度域ではそれなりにノイズの差がある。
ただし料理撮影ではISO800以上は厳しいことに変わり無い。
今回、我輩の常用感度でのノイズ特性では「GF5」は期待ハズレだったわけだが、購入してしまったものは仕方無い。
ノイズ特性以外で我輩なりに「GF5」のメリットを探すとすれば、AVCHDハイビジョン撮影がステレオ音声対応となったことと、ボディ色が我輩好みになったことであろうか。
逆に言うと、最安値のほうにつられてこのボディ色を選ばなかったならば、愛着が薄くなり後悔が大きかったろうと思う。3千円の差だったが危ないところだった。
それにしても、今回のアンダー露出テスト撮影でここまで画質が悪くなるのは予想外であった。見慣れた画質と言いながらも、思っていたより悪かった。
撮影時に-1.5EVとし、RAW現像時に明るく戻したのであるから、単純に感度を+1.5EVしたのと同等のノイズ量になるかと思っていたが、実際はそれ以上であるように思う。特に「OLYMPUS OM-D E-M5」と「Nikon D700」は、元々の画像が優秀なだけにノイズ画像との落差が大きく見える。
確かに、RAWデータはJPEG画像よりもレタッチ耐性が高いだろう。しかしいくらRAWデータとは言っても、所詮はデジタルカメラのワンショットで得られたRAWデータである。フィルムスキャナのようにマルチスキャンで得られるRAWではないので、調子に乗って無理な補正をしてしまうと、途端に画質を落としてしまう。
アンダー露出ではなくとも、暗く落ち込んだ陰の部分を起こそうとしてトーンカーブを持ち上げたりすれば、局所的に増感したことになりノイズが浮き上がることになるのだ。
それを考えると、撮影時の露出条件は画質に関して大変重要なパラメータであるということになる。つまり、我輩の料理撮影では基本的にAE任せとしているので、カメラのAEがハイライトを極端に嫌うアルゴリズムであったり、あるいは全体的な適正露出を目指して多少の白飛びを容認しているかによって画質が左右されることになるわけだ。
もし、「GF3」と「GF5」でAEのアルゴリズムが少し違っているとすれば(イメージセンサーが違うのだから、その特性に合わせてAEのアルゴリズムをチューニングしている可能性はある)、そういうことも含めて画質評価をすべきかも知れない。そうでなければ、現実に即した画質とは言えない可能性もある。
そこで次回の雑文では、今までのテスト撮影結果を踏まえながら、実際の使用を想定して「GF3」及び「GF5」それぞれのAEに任せてテスト撮影し、最終的な評価としたい。
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