2000/04/05
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カメラ雑文

[754] 2012年04月11日(水)
「OM-D E-M5の感度別ノイズ感」


我輩にとってのデジタルカメラの画質基準は、フルサイズデジタル一眼レフカメラ「Nikon D700」である。
このカメラを入手するまでは、総合的な画質はどうあれ「デジタルカメラは画素数こそ全て」と考えていた。そうでなくば、銀塩35mmカメラを絶滅の淵へ追いやった意義を見出せないからだ。画素数に妥協するのであれば、デジタルカメラなどこの世に存在する価値は無い。

しかしながら、「D700」を使い始めてノイズレスな高画質が当たり前になってくると、ノイズの乗ったデジタル画はどうにも我慢出来ぬようになってしまった。
当然、メモ用途として普段携帯しているコンパクトデジタルカメラの低画質が混在すると非常に見苦しく感じ、全ての画質を揃えるべく、一時はAPSサイズデジタル一眼レフ「PENTAX K-x」を通勤カバンに入れていたりもした。APSサイズであっても、ISO400以下に限定すればフルサイズカメラ「D700」に遜色無いからだ。

ここ最近は、マイクロフォーサーズカメラであっても最低感度に限ればフルサイズ機と同列に扱えるノイズ感であることが分かってきて、普段の通勤カバンにはマイクロフォーサーズ機「LUMIX DMC-GF3」を入れている。
ただその場合、露出調整はかなり厳密に行わねばならない。露出不足であればRAW現像時に明るさを持ち上げることになり、結果的にISO感度を上げて撮影したのと同じになってしまう。もちろん露出オーバーならばハイライトが飛ぶので論外。

結局、いくらマイクロフォーサーズ機のポテンシャル(秘めたる能力)が高いとは言っても、そのポテンシャルを引き出すにはかなりの苦労が伴う。
低感度ゆえに手ブレが頻発し、少々の露出過不足があるとノイズで粗れる。あと1段、ISO400での画質がフルサイズ機と同列になればISO200での撮影が楽になるのだが・・・。

そんな時に導入した新型のマイクロフォーサーズ機「OLYMPUS OM-D E-M5」。
我輩がこのカメラに期待するのは「高感度特性」と「5軸手ブレ補正」、そして「EVF」である。

高感度特性が優れていれば、単純にISO感度を上げて撮影が出来るし、低感度撮影でもRAW現像時の露出調整の幅が広く取れる。
そして5軸手ブレ補正は前評判が高く、低感度撮影でもブレを抑えられる範囲が広がるだろう。
EVFについては、構え方が安定してブレ抑制に貢献する。
これらの優れた機能により、フルサイズ機と同等なノイズレス画質を得る確率が高くなることを期待するのである。その結果として、フルサイズ機でなければならない撮影の幾つかをダウンサイジングすることに繋がれば嬉しい。

そこで今回、「OLYMPUS OM-D E-M5」のノイズ特性を確認するためテスト撮影を行い、画質基準となる「Nikon D700」との比較を行った。この結果を基に、今後の「OM-D E-M5」の運用範囲を決めたい。
また参考として、「LUMIX DMC-GF3」とも比較した。

本テスト撮影に於いては、各カメラでRAW形式にて撮影し、RAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 4.0」を使ってJPEG化した。
色味や明るさなど各機種のバラつきを揃えるような調整を施してはいるものの、画質に関わる「ノイズリダクション」や「シャープネス」等のパラメータは無調整(デフォルト設定)のままとした。

注意点として、ISO200辺りでは僅かなブレによってシャープさが欠けるものがある。しかしここでは、ノイズの分かり易いアウトフォーカス部分にのみ着目することにしたい。
また、絞り値は3機種ともF8で揃えてはいるが、装着レンズの焦点距離が異なるため撮影距離はマイクロフォーサーズ機とフルサイズ機とでは同じにすることが出来なかった。
それから雑文方針にも書いていることだが、ベースとなる画像の上に次々と貼り込んで画像ファイルを作っているため、Exif情報は全画像が同一内容になっているはず(要するに、ここでのExif情報は当てにならない)。

<共通撮影対象>
OM-D E-M5 ISO1600

ここでは、あえて主役の「OM-D E-M5」は最後に出すこととし、始めは比較カメラとしてのフルサイズデジタル一眼レフカメラ「Nikon D700」と、マイクロフォーサーズ一眼カメラ「LUMIX DMC-GF3」の感度別画像を掲載する。

1つ目は、「D700」の撮影画像を示す。
それぞれの画像をクリックすると、横2,000ドットの全体画像が別ウィンドウで表示される。

<「Nikon D700」のISO感度別等倍画像>
(※画像クリックで横2000ドットの全体画像が別ウィンドウで開く)
D700
D700 ISO200
D700 ISO400
D700 ISO800
D700 ISO1600

今まで「D700」の常用感度はISO800までとしていたが、この等倍画像を見るとISO400が無難であることが分かる(横2,000ドットの縮小画像では違いが分からないとは思うが)。
もちろん、実質的にはISO800での撮影でも問題になることは無かろうが、最高の画質を追求したいと思った時にどこまでが安全範囲かということを予め知っておく必要はある。 。
今後、「D700」での常用感度はISO400とし、撮影条件によってはISO800までを拡張使用としたい。

次に、「LUMIX DMC-GF3」で撮影した画像を示す。

<「LUMIX DMC-GF3」のISO感度別等倍画像>
(※画像クリックで横2000ドットの全体画像が別ウィンドウで開く)
LUMIX DMC-GF3
DMC-GF3 ISO200
DMC-GF3 ISO400
DMC-GF3 ISO800
DMC-GF3 ISO1600

等倍画像を見ると、ISO400は少々悩むところだがギリギリ常用範囲に入るかも知れない(こちらも横2,000ドットの縮小画像では違いが分からないとは思うが)。しかしそれは、露出の過不足が無い理想的な条件でのみ成立する話。そういうケースは稀である。
イメージセンサーがフルサイズに比べて小さいせいかあまりレタッチ耐性が高いとは言えず、ISO400のような余裕の無いギリギリの条件で撮影するとなれば、露出過不足にならぬよう神経を使うことになる。やはり、特別な事情が無い限りはISO200を常用とするべき。

そして最後に、「OLYMPUS OM-D E-M5」で撮影した画像を示す。

<「OLYMPUS OM-D E-M5」のISO感度別等倍画像>
(※画像クリックで横2000ドットの全体画像が別ウィンドウで開く)
OM-D E-M5
OM-D E-M5 ISO200
OM-D E-M5 ISO400
OM-D E-M5 ISO800
OM-D E-M5 ISO1600

等倍画像を見ると、意外にも「OM-D E-M5」の最高画質はISO200までというのが分かる(こちらも横2,000ドットの縮小画像では違いが分からないとは思うが)。
ISO400くらいまでは最高画質を保ってくれることを期待していたのだが、ISO400でのノイズ感はほぼ「GF3」と同等。

この2機種の違いが出るのはISO800を越えてからで、「OM-D E-M5」ではそれほど劇的なノイズ増大は無いが、「GF3」ではISO800になると急激にノイズが増大する。
これは同時に、「OM-D E-M5」のレタッチ耐性が高いことも意味する。

しかしいずれにせよ、「OM-D E-M5」の常用感度はISO200までとしておいたほうが無難であろう。
5軸ブレ補正効果やEVFによる安定保持効果もあるので、スローシャッターの条件となった場合でも「GF3」よりは格段に成功カットを得られる確率は高くなるはず。そういう意味では、低照度での撮影可能範囲は広がったと言える。
ただし、被写体ブレだけはどうしようもないので、撮影時にはスローシャッターを選ぶか感度を上げるかの見極めは必要となる。


<まとめ>
「Nikon D700」、「LUMIX DMC-GF3」、「OLYMPUS OM-D E-M5」の3機種とも、各々の最高画質だけを比較した場合ではノイズ感に違いは見られない。この点では、マイクロフォーサーズカメラはフルサイズカメラと同等な画質であると言える。

しかし、ISO400を越える感度ではフルサイズ機「D700」に敵うものは無く、そしてISO800を越える感度では「GF3」は「OM-D E-M5」の画質について来れなくなる。
そしてこれは、レタッチ耐性でも同じ傾向があるということだ。

ここから言えることは、「撮影条件に余裕があるならば機材はどれでも良いが、撮影条件が厳しければ高性能カメラを使うことが望ましい」という結論になる(ここで言う撮影条件とは、光が足りない、失敗が許されない、シャッターチャンスが1度しか無い・・・等の制約を指す)。
撮影条件が厳しい場合に高性能カメラを用いるのは当然であるが、撮影条件に余裕がある場合ではコンパクトなカメラを使ってもフルサイズ機と同等な画質が得られることがミソ。

デジタルカメラの場合、撮影機材のダウンサイジングをする時には、ある程度の画質低下は覚悟するものと思う。しかしダウンサイジング機材であっても撮影条件によってフルサイズカメラに匹敵する画質が得られるとすれば、より積極的で前向きなダウンサイジングが可能であろう。
今回導入した「OLYMPUS OM-D E-M5」では、ダウンサイジングの選択肢を大いに広げるという点で存在感は大きいと感ずる。


(注意)
今回RAW現像で使用したソフト「SILKYPIX Developer Studio 4.0」は現時点で「OM-D E-M5」に対応しておらず、バイナリエディタを用いてRAWデータ内にあるカメラ情報を書き換えて無理矢理処理させている。そのため、正式対応した場合の画質とは異なる可能性もある。