2000/04/05
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カメラ雑文

[738] 2012年01月13日(金)
「正月の買い物(購入)」


電器店店頭で「PENTAX Q」を手にした時、操作についてはなかなか良い感触であると思った。
てのひらにスッポリ収まる小柄なボディがズシリとする感触は、メカニズムが凝縮された製品であることを感じさせる。そしてダイヤル部のクリック感が絶妙で、必要無くとも回したくなる。
もし「Q」が気軽に買える値段であったならば、店頭で即座に正月買いしていただろう。元日に営業している電器店を探しあて、ようやく手に持ってみた「Q」であるから、気持ちとしてはそのまま手ブラで店を出るのはつらい。

しかし「Q」は、気軽に買えるような値段ではない。
というのも「Q」は新システムのため、ボディだけでなくレンズも買う必要があり、当然ながらトータル費用としては高くなってしまう。

そもそも「Q」は標準レンズとのセット販売しか設定されておらず、いくらレンズが不要であってもボディのみでは買えないようになっている。
我輩などは、例えば音楽CDが出始めの頃は高価なCDプレーヤーが買えずにCDタイトルだけ先に買ったほどの物好きである。もしボディのみが手持ちの2万3千円(※)で買えたとしたら、レンズ無しであってもとりあえずボディだけは先行して手に入れたはずだ。
(※当初の手持ち金は2万5千円だったが「Q」のムック本を買ったので少なくなっている)

そういうわけで「Q」の購入については、我輩の意思とは関係なく、時間をかけてジックリと検討するという方向になってしまった。 要するに、正月買いではなく冷静な購入となってしまうのである。せっかくの正月休みに新しいカメラで遊べなくて残念。
今はとりあえず、試し撮りで持ち帰った画像データをチェックしてみようかと思う。
試し撮りは、電器店店内をISO200の設定にて撮ったRAWデータ及びカメラ生成JPEGデータである。

カメラ生成JPEGのほうを等倍で見ると、シャープネス処理が強いのかエッジが少々粗い。その上、無地部分ではベタ塗り感があり不自然な感じがする。言うなれば、コンパクトデジタルカメラで撮った印象に近い。

一方、RAWのほうの等倍では、なぜかシャープさが足りずボンヤリとした印象がある。手ブレかと思ったが1/160秒での撮影のためそうとは考えにくい。ならば微妙なピンボケだろうか?とは言ってもイメージセンサーが小さいのでボカすほうが難しいだろう。
もしかしたら、カメラ生成JPEGのシャープネス処理がキツイのはこのボンヤリを補正するためなのかも知れない。つまり、元々こういう描写であるということではないのか。
ボンヤリの原因は分からないが、イメージセンサーが小さ過ぎるせいでレンズの精度が追い付かない・・・?
この辺りは、ミラーレス一眼カメラとしての画質を期待されるツラさがあろう。

しかしRAWは、カメラ生成JPEGと比較すると全体的に不自然さは感じない。イメージセンサーの小ささを考えると大変上出来と言っても良い。
ただ、ボンヤリを補正するためにRAW現像時にシャープネス処理をかけると、カメラ生成JPEGと同様なエッジの粗さも出てしまうので、悪い部分もカメラ生成JPEGに似てしまい意味が無い。
更に、シャープネス処理によって画面全体のノイズも目立ってくるのでノイズ低減処理をかけてみた。今度はそのせいで塗りつぶし感が出てきてしまった。つまり、手を加えれば加えるほど仕上がりがカメラ生成JPEGに近付き、全体の絵柄として不自然になるのである。

(注:下記作例は分かり易いように敢えて2倍拡大で切り出しており、一般的な鑑賞条件とはかけ離れている。)

<「PENTAX Q」で撮影した画像を2倍拡大で切り出したもの (ISO200 1/160sec F2.5)>
「PENTAX Q」で撮影した画像を2倍拡大で切り出したもの
「PENTAX Q」で撮影した画像を2倍拡大で切り出したもの

RAWの自然さを生かすのであれば、画質パラメータをいじらず使うほうが良いかも知れない。無調整の状態で自然な描写なのだから、少々のボンヤリやノイズでも気にせず使うのがこのカメラの正しい運用なのであろう。

しかし我輩としては、これには納得がいかない。
「Q」は小さなシステムカメラとして"使う楽しさ"があることは確かだ。しかし写真を撮った後では、「Q」で撮ったかどうかということはどうでも良い話。これは、我輩が芸術写真を撮らないことに拠(よ)る。記録写真が主のためディスプレイ上での等倍閲覧が基本で、場合によっては4倍拡大まで行う。情報量とクオリティは譲れぬ問題。

そもそも、我輩にとってのデジタルカメラの価値とは、どれだけ微細に解像しているか(イメージセンサーの画素数やレンズ分解能、そして低ノイズ)ということであり、詰まるところ最後に残されたデータそのものに価値を見る。そうでなければ、銀塩カメラから政権を奪ったデジタルカメラの存在意義を見出せない。
デジタルカメラが低解像やノイズを甘受するのであれば、銀塩に置き換わる意味は無かったはずであろう。デジタルカメラが政権を得た今、とことんまで自らのマニフェスト(公約)を貫けと言いたい。

また、画質だけでなく交換レンズの選択肢の少なさが気になった。
現状、実用として使うのであれば3本のTOYレンズは存在しないものとして考えるべきで、そうなると標準単レンズと標準ズームの2本しか残らない。広角が使いたいのであればズームレンズを選ぶしか無く、そしてこれが思いのほか長い。せっかくのコンパクトなカメラの収まりが悪くなってしまう。これならば、別に無理して小さなカメラを買う必要も無いではないか。

<標準ズームを装着した状態の「PENTAX Q」>
標準ズームを装着した状態の「PENTAX Q」

結局のところ、「Q」を手に入れても我輩にとっては運用に困るという結論に至った。
とは言うものの、正月買いしたいという気持ちは継続したまま。どうするか。

そこでふと、考えてみた。
マイクロフォーサーズカメラでも、確かPanasonicの「LUMIX DMC-GF3」はかなり小型だったはず。これならば、我輩所有の「DMC-GF1」とボディを置き換えるだけでレンズは流用出来る。登場から少し経ったので、もしかしたら手持ちの金で正月買いも可能かも知れない。

「GF3」が登場した当時は、電子ダイヤルやボタンなどの操作部材だけでなくホットシューさえ省かれたことで、"レンズ交換が出来るコンパクトカメラ"に成り下がってしまったと嘆いたものだ。それがここにきて突然、購入候補に挙がってきた。そのことに自分でも驚く。同じカメラでも、購入動機のアプローチが違うとこうも見方も変わってくるとは。

一眼カメラのなりをして実はコンパクトカメラだった「Q」から視線を外し、コンパクトカメラのなりをして実はフォーサーズカメラだった「GF3」に今あらためて気付いた。

そういうわけで、急遽「GF3」について調査を始めた。
Webの比較写真を見てみると、「GF3」は「Q」と「GF1」の中間くらいのサイズらしい。良くはないが、悪くもない。
しかも、これに手持ちの広角レンズを装着することを考えると、ズームレンズを装着した「Q」よりも、パンケーキ広角レンズを装着した「GF3」のほうが全体としてはコンパクトになろう。

そもそも、マイクロフォーサーズである「GF3」は「Q」よりも遥かにイメージセンサー面積が大きく、画質に有利なはず。少なくとも「GF1」では低感度での不満は無かった。
それに、動画撮影に最適化された高倍率14-140mmズームも手元にあるので(参考:雑文713)、フルハイビジョン撮影可能なこの「GF3」は大きく可能性を広げてくれるだろう。
(※ちなみにGF1の動画撮影機能はフルハイビジョンではなく、ランク下のLiteハイビジョンしか撮れない。)

「GF3」も発売から数ヶ月経ち、価格もこなれてきた。ボディのみ2万円前後で手に入るようだ。これならば、手持ちの金で"正月買い"が出来る。
ただ唯一、ホットシューが省かれているのが大きなマイナス点。これが無いと外部ストロボが使えず、いくら画質が良くとも業務では使えぬ。経験上、スレーブユニットも使えまい(プレ発光機能が邪魔するため)。
しかし今回はサブカメラというアプローチではなく、ミニカメラとしてのアプローチなので、ホットシューはスッパリ諦めよう。

早速、「価格.com」で最安値を調べてみた。
すぐに手に入れて正月休みの間に使ってみたいので、時間のかかる通販は避け、関東エリアの店を探して店頭で買いたい。
しかし関東エリアの店はどこも高く、ボディのみでも2万5千円ほど。くそ、「Q」のムック本を買わなければ足りたのだが。

やはり「GF3」でも正月買いは出来ぬか・・・と思いながら最安値ランキングページの更新ボタンを押したところ、先ほどは無かった最安値1万9千円のショップが浮上した。見ると、「カメラのチャンプ」であった。ホワイトボディ限定ではあったが、新品でこの値段ならば"買い"である。安ければ色はどうでも良い。

確かに「チャンプ」は2006年にも正月買いした店。しかしあの時は外出先からだったため比較的近かったが、今から行くとなれば少々遠い。行くだけで最低2時間はかかる。クルマならその倍だ。
ならば通販か。関東圏内ならば、発送翌日に届くかも知れない。代金引換便なら、決済手順も省けて最速であろう。その分送料が高く合計2万1千円くらいになるが、それくらいは正月買いということで目をつぶろう。

注文は3日の午前中に行い、発送完了メールはその日の夕方来た。「これなら明日の夕方までには届くだろう」と思っていたら、4日の午前9時には届いてしまった。まさに嬉しい誤算。
早速、手持ちのパンケーキレンズ「ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」を装着してみた。

<届いたPanasonic LUMIX DMC-GF3>
届いたPanasonic LUMIX DMC-GF3

このカメラとこのレンズ、両者ともたまたま同じ色合いで外見的にも良いマッチングであった。
手に持った感じもスッポリと収まるので、長いズームレンズを付けた「PENTAX Q」よりは良さそうに思う。

次に、10倍高倍率ズーム「14-140mm」を装着してみた。
コンパクトなカメラにこのレンズは、予想通りレンズにカメラがくっついたような状態となった。このアンバランスさは「SONY NEXシリーズ」を思わせるほど。

<届いたPanasonic LUMIX DMC-GF3>
届いたPanasonic LUMIX DMC-GF3

この高倍率ズームレンズについては雑文713でも紹介したが、このレンズはスチル撮影以上にビデオ撮影で威力を発揮する。
ビデオ撮影では、いくらカメラ本体側が高品位なビデオ撮影が可能であったとしても、レンズがビデオに対応していなければ満足な結果が得られない。というのも、撮影中のAFは無音でゆっくり滑らかでなければ不自然極まりない画となる。絞り動作もしかり。

もしビデオ非対応のレンズしか無いのであれば、ビデオの撮影では基本的に固定撮影したカット割りで構成することになろう。当然ながらMF・MEとする。もちろん、本格的に撮るには敢えてそうやるほうが良いのかも知れないが、そうなると面倒で手間がかかる。事前準備も必要で、目の前の光景をパッと思い付きで撮るわけにはいかない。だから、普通のビデオカメラ感覚で撮るにはビデオ対応レンズが必須となる。
我輩はこのことを、「Canon EOS-5D Mk2」(参考:雑文659)で思い知らされた。

今回の「GF3」では、「GF1」では撮れなかったフルハイビジョン(1920×1080 60i)の撮影が可能である。
ようやくこのレンズを活用出来るようになったということになる。そういう意味では、スチル撮影よりもビデオ撮影のほうが楽しみに思う。

ちなみに、「GF1」との比較写真を撮ってみた。
この写真からは大きさの違いがあまり分からないかも知れないが、手に持った感触としては「GF3」は「GF1」よりもひとまわり小さい。

<GF3とGF1の比較 (レンズは同じ個体を画像合成した)>
GF3とGF1の比較

元々、「GF1」も小さいとされていたのだが、「GF3」との間にはボーダーラインとでも言うか、境界線があるように感ずる。つまり、難無く携帯出来るカメラとしては、「GF3」はボーダーラインの中に入っているが、「GF1」は少々ボーダーラインから出てしまっている・・・と。
それを考えると、両方ともボーダーラインに入っている「PENTAX Q」と「GF3」との差は小さいと言える。

さて次に、「GF1」購入時にもやったことだが「D700」との比較写真も撮ってみた。
さすがにこの大きさの対比は目を引く。最低感度という限定条件ながらも、この2つのカメラが同じくらいの画質を持つというのは、大きな可能性を与えてくれる。撮影シーンによってカメラを使い分け、そして得られた画像を混在させても問題が無い。

<GF3とD700の比較>
GF3とD700の比較

次回雑文では、早速「GF3」を試用して問題点や注意点などを洗い出し、引き続いて実戦投入したいと思う。