以前書いた
雑文555「共通一次試験」では、現像の上がったリバーサルのスリーブを一コマずつ眺めながら一喜一憂する様を述べた。
採用カットの条件としては、「露出の過不足無し」、「ブレ無し」、「ピンボケ無し」、「シャッターチャンス良し」が必須である。
このうち、ブレについては、動感を感じさせるようなものであれば採用する場合もあるが、基本的にこれらの要素が一つでも欠けると不採用としている。それが二度と撮れない場面だったとしても、「もともとシャッターを切らなかったと思って諦めろ」と自分に言い聞かせるのだ。
(参考:
雑文398「勝つためのこだわり」)
ところで我輩は、デジタル写真の有用性について早くから認識しており、デジタルビデオカメラを使ってキャプチャ画像をパソコンに取り込んでいた。
(参考:
雑文470「次のデジタルカメラ(前編:それまでの遍歴)」)
当時のデジタルカメラのCCDはビデオカメラ用CCDを流用しており、当然ながら両者の画質はほとんど同じと言って良かった。そのため、動画として流して撮れるビデオカメラのほうが、後で好きなタイミングのカットを切り出すことが出来、非常に便利であった。
もちろん、動画(ムービー)と静止画(スチル)では映像の捉え方が違う。例えば、ビデオカメラでは基本的にシャッタースピードは固定である。狭い範囲で調整可能な機種もあるが、動画である限り、原理的にフレーム秒を越えたスローシャッターは切れない。
だが、今でこそシャッタースピードや絞りが自由に設定出来るデジタルカメラが増えたが、当時はそのようなマニュアル設定が可能なデジタルカメラは全く存在しなかった。ビデオカメラの技術から派生したデジタルカメラであるから、当然と言えば当然。
そういうわけで、デジタルビデオの画質=デジカメの画質であったのだ。
我輩は、撮影したビデオをパソコンに繋いで再生し、ここぞという瞬間に一時停止させ、パソコン側でキャプチャボタンを押して画像ファイル化していた。
撮影時も、どうせパソコンで縦横回転出来るのであるからと、スチルカメラのように縦位置で撮影したりもした。
最近では、デジタルカメラの画素数も飛躍的に伸び、起動時間やシャッターのレスポンス、各種調整機能も充実してきた。カメラ内バッファを利用した高速連写可能なカメラもよく見かけるし、本当に動画が撮影可能なカメラも珍しくない(動画撮影の場合は画像サイズが小さくなるが)。
まあ、動画機能は使えないとしても、数多く撮った写真の中から最適なカットを選ぶという意味では、ビデオキャプチャの使い方に近付いたかも知れない。
大容量メモリも安くなり、どんなにシャッターを切っても残量が足りなくなることが無い。ダメ元でシャッターを切るようなことも躊躇(ちゅうちょ)することが無いため、結果的に良いタイミングを得る確率が高くなる。
銀塩カメラでは、豚児写真を撮る際などカメラを構えてジイーッとシャッターチャンスを待つことがある。特にフィルム残量があと1枚で、次のフィルム装填のタイムラグを恐れている場合などでは、シャッターチャンスを待ち過ぎてチャンスを逃してしまうことが多い。
シャッターチャンスとは、よほど決定的なものでない限り、過ぎてしまってから「ああ、あの時が一番のシャッターチャンスだった・・・」と思うものである。
デジタルカメラでは、どんどん撮って、次々に撮って、撮って、撮って、撮りまくって・・・、後でゆっくり選べば良い。
ノーファインダーでもすぐに結果が分かるので、撮りながら微調整可能なのが良い。
まさに、キャプチャ前提のビデオ撮影のようなもの。