アットホームな少人数の撮影会ほど、撮影カット数がかなり増える。恐らく今回もこの程度の出費は覚悟せねばなるまい。
しかしながら改めてこのような数字を算出すると、自分でも驚く。「たった1回の撮影会で8万円もかけるのか」と呆れる者もいよう。
とは言うものの、カメラに10万円以上も注ぎ込むこと自体が一般感覚からかけ離れていることも忘れてはならぬ。その中にあって撮影会に8万円かけようとも、どのみち世間的に理解されぬカメラ趣味の中の話。
さて、費用調達に話を戻すが、手持ちの金が無いため、オークションに出品し物品を金に換えることをまず考える。
だが部屋の中を見渡してみたものの、これといって売る物が無い。売れる物はもはや全て売り払った。あとは小物が残るのみ。
今まで我輩は、オークションには相場2万円以下の物はほとんど出していない。なぜならば、オークションで出品するというのは、それなりに手間が掛かるからだ。
品物の写真を撮り、説明文を考えHTMLを組む。そして注目度を上げるための投入金額を設定し、ウォッチリストの増え具合が悪ければ追加説明・追加写真を掲載する。落札されれば必要事項を落札者に連絡し、入金を確認して品物を梱包し、コンビニで発送伝票を書く。その後伝票番号をメールで伝えるのである。
単価が低いと数をこなさねばならず、手間が大幅に増える。
しかし今はそんなことも言っていられない。
予想相場5,000円くらいの交換レンズやアクセサリーなどを幾つも出品した。撮影会まで一週間であるから、ギリギリのところで5日間設定とした。
画面上にズラリと並んだ出品物。単価が安いのが泣ける。レア物は無いため、落札されても恐らく開始価格のままで終わろう。落札されることすら怪しい。
それにしても、全部落札されたら対応が大変だ。
同じタイミングで多くの出品物が落札されてしまうと、対応に追われて間違いが起き易い。発送も大変である。
以上、オークションについては、とりあえず網を張った。
続いて建築会社に連絡して日程を変更してもらい、撮影会の申し込み開始時間に備えた。
申し込み開始予定時間は、月曜日の22時。いつもならば5分くらいで受付終了してしまう。時間が勝負。
月曜日。
その日は疲労が溜まっていた。自分の部屋は冷えているため、夕食後は食卓でしばらくグッタリとしていた。
「今日は早めに寝るか。今週は忙しいから、撮影会のために疲労を溜めていかないようにしなければな・・・。」
そこで、ふと思った。
「撮影会?そう言えば今日は撮影会申し込み日じゃないか。今の時間は・・・21時40分!」
急いで自室に入り、パソコンを立ち上げ、撮影会運営サイトの画面に入った。
まだ受付前の状態であった。
「危なかった、あと15分ほどで申し込みが始まる・・・。」
我輩は念のため、30秒に1度くらいの頻度でF5キーを押して画面を更新させていた。
21時50分、申し込みボタンがクリッカブルに変わった。
「ん?」
最初、ボーっと見ていたが、申し込み開始だということが分かってすぐに入力作業を開始した。時間10分前とは予想外だった。
例によって、あらかじめ打ち込んでいた情報を入力欄にドラッグペーストするのみ。いちいちコピー&ペーストしている余裕は無い。運営者への一言欄も、事前に考えてある文章をブチ込んだ。抜かりは無い。
それでも入力を開始して送信ボタンを押すまでに15秒ほどかかった。記入内容に間違いないことの確認が必要だった。ここで間違えてしまえば元も子もない。
送信後、入力受付の自動返信メールが来た。ただし、この段階ではまだ参加確定ではない。
しばらく見ていると、入力可能状態は22時15分くらいまでは続いていた。それほど焦る必要は無かったのだろうか。
やがて、主催者からメールが届き、撮影会参加の案内が来た。
しかしながら、T嬢のサイトの掲示板を見ると、22時05分で申し込んだものの落選してしまった者がいたようである。やはり急いだことは無駄ではなかったようだ。
さて、オークションの件はどうなったろうか。
オークション管理画面を見ると、我輩の誠実な文章と商品写真のためか、半数の出品物に入札が入っていた。しかし、撮影会に参加出来る費用には達していない。とりあえず、全体的にウォッチリストの登録がそこそこあるため、恐らく8割くらいの出品物は落札されると予想。
数日後、またもや帰宅してグッタリしているところで、ふと思い出した。
「そういえば、今日はオークション終了日だった。」
急いで自室に入り、パソコンのスイッチを入れてオークション管理画面に入る。すると、出品中の物件が1つも無かった。
「おお、全部落札されたのか!」
一瞬喜んだのだが、よく考えると、自動再出品のオプションを選んでいないため、入札者がいなくとも時間が来ればどのみち終わるのだ。
とっさにメールチェックすると、オークション終了メールがドッと来た。
見ると、ほとんどが「落札されましたメール」で、「落札者無し終了メール」は1件のみだった。喜びたいところだが、この1件はそこそこ高額だっただけに残念ではあった。
まあ、現状でギリギリ何とかなる。
落札物が多いため、なるべく分けて発送しようと思い、その日のうちに連絡が取れた落札者には翌朝出勤前に先送りした。残りも確認取れ次第、順次発送。
撮影会前日の金曜日には、何とかフィルムが買えるくらいに入金があったため、帰りにヨドバシカメラに寄った。
フィルム売り場に行き、「FUJI PROVIA100F(RDP3)」を手に取った。ふと見ると、「FUJI ASTIA100F(RAPF)」が少し安い値段で置かれていた。
「そう言えば、アスティアは世界最高の粒状性を持つフィルムだという話だったなあ・・・。」
色の鮮やかさはプロビアに劣るようだが、横に置かれていたヨドバシカメラのフィルムガイドを見ると、アスティアはポートレートに最適であるとの評価があった。
今回はアスティアにするか?
しかしながら、失敗の許されない(つまり、コストがかかっており失敗すると立ち直れない)撮影で全面的に未体験フィルムを投入するのは恐い。増感特性も確認していない。ならば、数本だけ試しに使ってみるか?
いや、もし結果が良い場合には後悔を残すだろう。「なぜもっと多くアスティアで撮っておかなかったのか」と。
ならば、前半はプロビア、後半をアスティアにするか。
いやいや、それで思い通りの結果が得られないと、後半の写真が台無しになる。以前、撮影会途中で新発売のベルビアに切り替えた失敗が思い浮かんだ(参考:
雑文433「リバーサル至上主義」)。
よし、ならば混ぜて(交互に)使うか。混ぜて使えば、アスティアを選んだことが適切ではなかったとしても、プロビアでカバー出来る。プロビアで撮るカット数は減るものの、撮影ペースを考えると、それぞれの撮影シーンを取りこぼすことは無かろう。
プロビアを2パック、アスティア2パックを購入し、自宅にあるプロビア1パックと合わせて25本の220フィルムを用意した。
カメラはブロニカ一眼レフを使う予定だが、巻き癖が付くと困るのでフィルムセットは撮影直前にやるつもり。
レンズは例の如く、65mm広角、80mm標準、110mm中望遠を持参する。
他に、露出計代わりのデジタルカメラ「Nikon COOLPIX5400」とサンパックストロボ2台、念のための単体露出計、予備のアルカリ電池をカバンに詰め込んだ。
カバンが膨らんで重そうに見えるのだが、普段から重いカバンを持ち歩いているため、それほど苦にならない。
体力的に、今がピークなだけなのかも知れないが・・・。