2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
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カメラ雑文

[475] 2004年02月19日(木)
「スキャンしないスキャナ」

一般向けのワンショットデジタルカメラ(つまり、1回のシャッターでRGGBの撮影が完了するカメラ)では、それなりに高画質化が実現している。確かに銀塩やプロ向けデジタルカメラに比較すればまだまだなのだが、一応、画素数に対するコストパフォーマンスは向上している。いわゆる、「周辺技術の向上」と呼ばれる部分である。

一般向けデジタルカメラでは、屋外で使うことによる制約が色々とある。
小さなバッテリーを細々と使わねばならず、しかも小型化や持ち運ぶために必要な最低限の仕様(例えば耐久性や防塵性)などが必要で、画質が全てに優先するという考え方は元々無い。
撮影条件にしても、いつも光が十分にあるとは限らず、光量不足のため画質が粗れることもある。

しかし、このワンショットデジタルカメラを用いて超高速ドキュメントスキャナを作ったらどうだろう? 我輩の思い付きである。

紙ドキュメントの電子化について、評価基準は「画質」と「スピード」の2つの軸がある。
かつてはモノクロ2階調であったフラットベッドスキャナも現在ではフルカラー化され、写真取り込み用途にも使えるようになった。しかしその読み取りスピードはあまり変わらず、ADF(自動給紙)を用いたとしてもスキャン(走査)という機械的動作が必要となる。
スキャン方式として、紙の方を動かすのか、あるいはCCDのほうを動かすのか。いずれにせよ、いくら高速化を図ろうとしてもスキャン動作が高速化を阻むのだ。細かく刻んでスキャンすれば高画質が得られるが、その分だけスキャン速度が低下し作業効率は下がる。
これは、スキャンをしなければ画像を得られないラインCCDの宿命である。

ならば、デジタルカメラで撮るが如く、平面CCDによって紙ドキュメントを"撮影"すればどうか。そうなれば、機械的スキャン動作は必要無く、それこそ一瞬で紙ドキュメントの電子化が完了する。紙送りさえ高速であれば良い。
この場合、カメラ部とコンタクトガラス部の位置関係が固定され、光源も常に同じ状態に出来、撮影条件として非常に安定している。

もちろん、技術的困難(例えばコンパクト化が難しいなど)はあるに違いないが、それをシロウトが心配しても仕方無い。そういった困難を乗り越えて投資・技術開発するのがメーカーの役割であり、他社に先駆けてこそ自社に利益をもたらす。(参考:雑文258
ユーザーは単純に、「こういうのが出来るのなら、こういうのがあればいいな」と発想する。そういった意見をメーカーが取り込むのは、マーケティングの基本の一つである。

毎秒10コマの連続撮影可能なデジタルカメラが存在する現在、スキャナの紙送り速度を考慮したとしても毎分100枚程度の処理能力は期待出来ようか。そんなドキュメントスキャナが安価に提供されればかなり有用であろう。現時点では、同じ処理能力のドキュメントスキャナは1,000万円と高価で、しかもモノクロ2階調のみ。

まあ、ワンショットでの電子化はスキャン動作を伴わないのであるから、この装置は"スキャナ"とは呼べないかも知れない。
いずれにせよ、そんな機器が10万円以内で現れたら、我が輩は真っ先に導入し、部屋中の本や紙資料を全て電子化して廃棄してしまおう。

・・・そんな日が本当に来れば良いのだが。