2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[469] 2004年01月31日(土)
「それでもデジタルカメラ」

その日、我輩は新しいデジタルカメラを購入する資金を捻出するため、ネットオークションに不要カメラやレンズを出品しようとしていた。

まず外観写真をデジタルカメラで撮影。そして雑文195で購入したノートパソコン「メビウスPC-RJ950R」のPCカードスロットを経由してメモりから画像をハードディスク内へコピー開始。だが、データ領域であるDドライブが容量不足とのメッセージ。「仕方無いな、少しディスク内を整理するか。」いつかはやらなければと思っていたことだったが、容量不足となれば今やるしか無い。

とりあえず画像データなどはDVD-RやCD-Rへと移すことにしたが、無秩序に保存された状態をそのままメディアへコピーすると後で探すのが大変なため、ある程度の分類を設けることにした。フォルダを幾つか作り、画像ファイルを移動させる。しかし、Windowsの動きが重い。「しまった、仮想メモリをDドライブに指定してあるから容量不足で身動き取れないのか。」そう思った瞬間、まるで日本庭園でよく見る獅子脅しのような「カッコーン!」という風流な音がした。
「な、何だ?!」

また再び、「カッコーン!」という音。どうもノートパソコンの底部から聞こえてくる。そしてそれは何度も何度も繰り返して鳴りやまなくなった。そこでハッとした。「もしや、ハードディスク・・・か?」

Windows画面は完全に停止してしまい、唯一マウスカーソルのみ動く。このまま放置するとマズイと判断、緊急処置として、強制的に電源を切った。そして落ち着いた頃、再び電源を入れた。だが、電源を入れてすぐに獅子脅しが鳴り始め、Windowsは起動しなかった。
我輩はパソコンの電源を切って、しばらく呆然としていた。「今までのデータは・・・全部飛んだのか?」

2〜3年前、デスクトップ用の新しいハードディスクを増設した時、1週間でイカレたことがあった。前日の夜に電源を落とすまでは認識していたのだが、次の日の朝に電源を入れるとディスクを認識しなかったのである。データ移行を済ませ、これから本格的に使おうという矢先の出来事にショックを受けた。結局それは初期不良扱いで交換されたが、データが戻ることは無かった。

今回、このハードディスクを修理したとしても、データが戻ることはあるまい。第一、ノートパソコン本体には改造を加えてありメーカーに持って行ける状態ではない。
我輩の悪い癖だが、ダメ元でハードディスクのカバーを開けてみることにした。中でどういう動きをしているのか確かめたい。ハードディスクは超精密品でゴミを嫌うことは分かっているが、このような状況であるからそういう心配をしても仕方あるまい。

カバーを留めているネジを取り、カバーを剥がした。そこには鏡面の円盤があり、当然ながらホコリ一つ無い状態だった。そして読取りヘッドを動かすアームが見えた。これがどこかに当たって獅子脅しの音を出すのだろうか。我輩は、このディスクをUSB接続のリムーバブルディスクのケースに入れ、USB経由で認識させてみることにした。

「おっと、ケースは向こうの部屋に置いてあったか・・・。」
我輩はすぐに戻るつもりでその場を離れ、リムーバブルディスク用のケースを取りに行った。ケースを手にして部屋に戻ると、なぜか扉が大きく開いていた。「?・・・誰か入ったのか?」イヤな予感がして部屋の中を覗くと、そこに豚児(とんじ)が立っており、カバーを剥がしたばかりのハードディスクを持ってこちらを振り向きニヤニヤしているではないか。その親指は、しっかりとディスクの鏡面を押さえ付けていた。
「と、豚児っ!」
我輩は豚児からハードディスクを奪い取り、鏡面を調べてみた。やはり、そこにはクッキリと親指の指紋が・・・。豚児は激しく泣きながらナチョコ妻のいる台所へ走って行った。

ハードディスクというのは超精密機械であり、例えばタバコの煙の粒子さえもディスクとヘッドのギャップに引っかかる。ましてや指紋などもってのほか。
だがこのまま捨てるわけにもいかぬ。やるだけやってみなければ気が済まない。


HDDに指紋を付けている豚児(再現)

我輩は指紋をそのままにしてリムーバブルディスク用のケースに格納、そして別のノートパソコンのUSB端子に接続した。すると剥き出しになったディスク面が高速回転し、ヘッドがククッと動きディスク面を舐め始めた。
しかし、すぐにヘッドが勢い良く戻り、獅子脅しの「カッコーン!」という音が響いた。我輩は思わずそのヘッドを指で押さえて止めた。すると、それが影響したのか手を離しても勢い良く戻ることはなくなり、少し安定した。

エクスプローラ上では一応新しいディスクが認識された。その中を開くと、ハードディスクのアームが動き始め、1分ほど行ったり来たりした後、フォルダ構造が表示された。
試しにフォルダの1つを開いてみた。
すると、先程と同様に1分くらい経ってその中にあるファイルが表示された。
「もしかして、時間は掛かるものの復旧は出来るのか・・・?」

我輩は、剥き出しのハードディスクをチラリと見て、試しにデジタルカメラで撮影した画像をそのフォルダごとコピーしてみた。
再びハードディスクのアームが動き、1分後にコピーが始まった。
その画像はデジタル画像のJPEGファイルをBMPファイルに変換したもので、かなりの容量があった。そして、数分かけて20個ほどコピーしたあたりでパソコンの応答が無くなった。

パソコンをリセットして再起動。剥き出しのハードディスク表面は、読み取りヘッドによって指紋が拭き取られたようで滑らかな鏡面を輝かせていた。
まず、とりあえず先程コピーしたファイルを点検してみた。するとそれらは正常にコピーされており、剥き出しのハードディスクはそれなりに機能していたことが判った。素晴らしい。
ところがそのハードディスクは次からはもう認識すらされず、そのうちパソコン本体の動きも怪しくなってきたので、それ以上無理をすることは出来ず、結局はデータ復旧は諦めざるを得なかった。

それにしても、撮り貯めてきたデジタルカメラの画像が失われてしまった。特に、最近の豚児のデジカメ画像を失ったのは痛い。
デジタルカメラのデータというのは、どうしてもPCMCIAカードスロットやUSB端子、IEEE1394端子などが充実した最近のノートパソコンへ移すことが多い(つまり特定のパソコンに集中して保存されるということ)。しかもJPEGデータの小さな容量では、CD-RやDVD-Rに格納するにはかなり貯め込む必要がある。特にDVD-Rでは追記しようとすると、リードイン・リードアウトのデータが付加されてそのたびに数百MBもの容量が無駄に減ってしまう。貧乏性の我輩が追記をするなどあり得ぬこと。
いつかはバックアップを取らねばならぬとは思いながらも、日常に追われ先延ばしになっていた。そして結局、データを貯め込むだけ貯め込んで、そのハードディスクは逝ってしまった。

もちろん、我輩はデジタルカメラは露出計代わりにしか使っておらず、大事な写真は失われることは無い。
しかしデジタルカメラの画像には撮影時間や露出情報などが記録されており、しかも大量に撮影するために本番撮影前の舞台裏的撮影が多く面白い。二度と撮り直せないだけに、それらは貴重である。
そのため、いくら露出計代わりとはいえ、消えても良いということではないのだ。

我輩は今回のようなデータ消失を二度と起こさぬよう、ヘナチョコに事情を話し、一時的データ保存用としてDVD-RAMドライブを購入するよう説得した。現在のDVD-RAMならば、片面4.7GBものデータを保管出来る。しかも、ある程度までデータを貯めなくとも、その都度バックアップを取れば良い。そしてそのDVD-RAMが一杯になれば、同容量のDVD-Rへ本番書きすれば完璧。

DVD-RAMドライブ4万円、両面9.4GBのDVD-RAMメディア十数枚1万円分、代替ハードディスク2万円、計7万円の出費。もはや冬のボーナスは残っていない。しかしデジタルカメラのデータは貯まる一方であるから、選択の余地は無い。

もちろん、デジタルカメラの画像をその時その場で使い捨てず保存しておこうとした我輩が悪い。
第一、このような大がかりなバックアップがデジタルカメラ使用者に必要であるとすれば、こんな不便なことはなかろう。まさか、写真を趣味とせず気軽にデジカメ写真や携帯写真を撮る者がそのようなバックアップ装置を自宅に隠し持っているとでも?

デジタルカメラの画像は、すぐに見ることが出来、すぐにWeb上に乗せることが出来、すぐにメモリ上から消し去ることが出来る。未練がましく画像の保存など考えず、メモリ内のデータが貯まれば消去し次の撮影に向けば良い。それがデジタルカメラの利点である。
そういう意味で、我輩にはデジタルカメラを使う資格は無い。

それでも我輩は、6〜7台目となる次のデジタルカメラの購入を考えている。各メーカーのカタログを集め、新橋のキムラヤや上野のヨドバシカメラに通い詰め実機の感触を色々と確かめている。
もやはデジタルカメラは我輩にとって無くてはならぬアイテムである。
不満の数だけ買い換えるつもりだったが、次の製品で以前の満足が不満に戻ることがあり、とても不満の数だけの買い換えでは足りない。

今まで色々と悩まされ貢がされてきたデジタルカメラではあるが、今後はバックアップ体制を整え、更に活用するつもりである。