さて、今年は九州に帰省しようかどうしようかを考えた。
天気予報によると九州には台風が上陸しているとのこと。しかし九州へ行く頃にはもう過ぎ去っているはず。9日に帰ったとしても、その日は移動するだけで終わり、本格的に九州で活動するとなると10日以降となる。
ウーム、帰ることにするか。
ところで写真撮影はどうするか。
今まで帰省する度に色々と写真を撮ったのであるが、その時には「これで全て撮り終わった」と思っても、現像したスリーブをルーペで覗いている時になると「ああ、あそこやあそこも撮っておけば良かったなあ。」と必ず思うのである。
不思議なことに、故郷から離れると撮るべき場所がハッキリ見える。
帰省するたびに少しずつ変わってゆく故郷の風景。
撮れる時に撮っておかないと、故郷が別の街に変貌してしまう。隣町の駅もいつの間にか高架となり、趣(おもむき)が消えてしまった。
だが「遅かった」などと悔やむ前に、とにかく現時点での風景を写真で固定すべきである。高架の駅も、そのうち懐かしい風景になる時が来るだろう。例えばリニアモーターカーでも走るような未来になれば、高架の駅でも趣を感ずるようになるに違いない。
ただしそうなるとしても、写真を撮っておかねばそもそもどうしようもない。
撮ろうと思った時に撮る。遅いと思っても、今の時点の写真を撮る。それが肝要。
さて、今回はどのカメラを使おうか。
35mmかブローニーか。
早く決めてフィルムを用意せねば、9日早朝の出発までに間に合わない。
その時点であと2日の猶予があったが、最近は思わぬことで夜遅くに帰宅することが多く、帰りにヨドバシカメラに寄ろうと思っても閉店時間までに間に合わなかったことが何度もあった。
もしブローニー判で撮影するならば、現地でのフィルム調達が不可能であることが
痛いほど分かっている。あと2日の間にヨドバシカメラに寄ることが出来なければ、撮影は絶望的となろう。
そういうわけで、その日は疲れていたのでまっすぐ帰宅したかったが、上野で下車してフィルムを買いに行った。
だがヨドバシカメラに到着した時点でも、まだ35mmかブローニーかを迷っていた。
撮影ポイントは無数にある。35mmで数多く撮るか。しかしブローニーの大画面が諦めきれない。
フィルム売場を行ったり来たりして考えたが結論が出ない。気分を変えるために暗室用品コーナーや書籍コーナーに行ってみたりした。
一時、ほとんど35mmのほうに傾いてコダクローム64(KR)の10本カートンに手を伸ばした。だが考えてみれば、
別府地獄巡りの撮影では九州で初めてブローニー判を使ったものの、実家近辺の写真は今まで全てを35mmで撮ってきた。
よし、今回はブローニー判で行くか。
我輩は、手にしたコダクロームを置き、いつもの120判EPPを20本(10本カートン2つ)購入した。
これで、フィルムに関する心配事は消えた。
残る問題は、9日早朝起床することのみ・・・。