2000/04/05
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カメラ雑文

[270] 2001年05月31日(木)
「貧乏人のための商品撮影(第1段階)」

●背景の工夫

背景が変われば写真全体の雰囲気がガラリと変わる。だから背景は重要であり軽視出来ない。背景の問題は、商品写真では避けて通れない課題である。

背景とは、映画に例えると「撮影セット」のようなものだ。
写真はごく一部分のみの視野を切り取り記録するもの。そのため、写真に写る範囲内だけは、別世界を用意する必要がある。
逆に言うと、いくら部屋が汚く散らかっていようとも、撮影するための撮影セットだけはクールにしておけばいいということだ。極端な話、暑ければパンツ一枚で撮影してもいい。ただ、そのパンツ姿が被写体の光沢面に映り込まぬよう注意してくれ。

下の作例は、散らかった机の上で小さな商品撮影を行ったものである。商品の大きさによって、要求される撮影セットの広さが決まってくる。この場合では、ノートパソコン程度の広さの撮影セットがあれば事足りる。



撮影の様子。わざと机の上を散らかしてみた(わざとじゃねーだろ)。土台はノートパソコンであり、ここに最も金が掛かっている。上部を覆っているのは、ショッピングセンター「ハローマート」の最高級買い物袋。それを端で押さえているのはコンパクトフラッシュアダプタの重要な役割である。これはIBM製が一番いい。下方にはレフ板としてCD-Rのインレイカードの切れ端がある。さすがに反射率は最適化されている。
・・・とまあ、撮影に場所や道具は選ばない。

さて、小さい商品の場合はノートパソコン程度の広さの土台があれば事足りるが、もう少し大きなものになると、やはり撮影用とした土台や背景を用意しておきたい。
我輩は日曜道具店などにある黒や白の化粧板を土台として使ったりしているが、写真用品店で背景紙(プラスチックシートのものもある)を手に入れればまた応用範囲が広がる。値段は数千円くらいであるから、それくらいは買っておいても損はなかろう。グラデーションのかかった背景紙1枚あれば、今までとは全く違う写真を手にすることが出来るのだ。
数万円かけてカメラを買い換えたとしても、写真に劇的な違いは出ない。しかし、背景用に数千円をかけただけで写真が見違える。


では背景の工夫についてだが、これには「地平線あり」か「地平線なし」かの2種類の方法がある。

地平線あり 地平線なし

地平線を使う場合は、画面の真ん中に地平線が来るとウルサく感じる。下の方に地平線を持っていくと安定感が出るので、なるべく低いアングルでの撮影が適しているかも知れない。もちろん、シチュエーションによっては上の方に地平線を持ってくるほうが効果的な場合もあるだろう。

地平線を使わない場合は、単純に上から見下ろすように撮れば必然的に土台しか写らなくなる(地平線がフレームから外れて見えなくなる)。また、大きな背景紙を使えば、土台から背景を連続した1枚にすることも出来る。

これらの選択は、撮影者の好みで選べばよい。商品の性格を掴み、一番それらしい背景を選ぶのもまた楽しい作業となるだろう。


背景の問題は、難しく考えれば難しく、簡単に考えれば簡単だ。
いずれにせよ、写真のフレームは視野を区切る。その区切りの中だけで通用すれば、どんな材料でも背景として使える可能性がある。
以前紹介した写真では、その写真はまるでショーウィンドウを写したように見えるが、あれは実は食器棚を横に倒して使っているだけなのだ。