昨日の
「デジタル画像の表現幅」についての補足。
最近のレタッチソフトでは、24ビットカラー(1600万色)以上取り扱えるものがいくつか存在する。色数が増えれば、それだけ情報量が増す。しかし、それによって表現力が増すかと言えば、必ずしもそうではない。
確かに、4ビットカラー(16色)から8ビットカラー(256色)へ、そして24ビットカラー(1600万色)へ増すごとに、階調表現は増す。
しかし、それはあくまで左の図のように、不変の明るさの幅(レンジ)を細分化しているに過ぎぬ。細かく細分化すれば階調は滑らかになるだろうが、明るさの幅はそのままである。つまり、いくら色数を増やそうが、「白色」の白さはどれも変わらない。
ちなみに、階調の滑らかさは、24ビットカラー以上になると人間の目では区別がつかない。
次に、ディスプレイの調節によって明るさを上げていくとどうなるか。
確かに、ユーザーサイドでの調節でも、かなり明るく設定できる。しかし、同時に「黒色」も明るくなってしまう。
左の図を見れば分かると思うが、全体的な光量が増加したに過ぎない。そのためにコントラストを調節することになるが、それにも限界がある。
ディスプレイの一般的な調節は、画面に
グレースケールを表示させ、ディスプレイの「明るさ」、「コントラスト」、「色温度」等を調節する。
しかし、このような調節も、「現状の範囲内でいかにキレイに表示させるか」ということであって、根本的な解決にはならない。やはり、ディスプレイの明るさの幅(レンジ)が広くなり、その広さに応じた色数によって階調を細分化しなければ、表示の問題は解決できぬ。
今、我々に出来ることは、現状のディスプレイを最適な状態にし、そのディスプレイで写真の取り込み・調整を行うことだ。現状でニュートラルな取り込みを行っておけば、将来的に明るさの幅が広げられた時に、画像変換による損失は最小限で済むハズだ。