2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
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6.写真置き場
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カメラ雑文

[090] 2000年 7月19日(水)
「コンタックスN1に見る」

コンタックスのAF新システム、「コンタックスN1」が発表された。
従来のマウントとは互換性の無い「Nマウント」が採用されている。細かいディテールは不明だが、少なくとも、以前「京セラ」ブランドで出したAF機の失敗を繰り返さぬよう、かなり練ったカメラだと推測できる。他社のカメラを研究し尽くし、将来的な展開も考えているに違いない。新マウントへの移行も、現在のスペックということよりも、将来的なスペックを見越した上での決断のはずだ。
AFでありながらMFの操作性も強調していることから、従来のMFは切り捨てるつもりらしい。

コンタックスの社内でどのような決断がなされたのかは知らないが、他社とは毛色の違うカメラを作るメーカーであるため、一つ間違うとユーザー離れを招くことになる。バクチとまでは言わないが、かなりのリスクがあるだろう。もちろん、マーケティングは十分にやったろうが、あくまでマーケティングは傾向を知るための手段に過ぎず、そのデータをどのように解釈すべきかは受け取る人間の立場によって変わってくる。

しかしコンタックスが、このようにマウントを切り替えてまでAFシステムを導入するとは、余程、MFというものが儲からないのだろうか。それを考えると、この新システムが、コンタックスの命運を賭けたものだと想像出来る。もっともその気構えでなければ、コンタックスのAFへの道は険しい。
厳しいAF競争の世界では、後から割り込むのは至難の業となる。AFでコンタックスの新時代を拓(ひら)くのか、あるいはAFと共にコンタックスブランドを過去のものにするのか。まさしく背水の陣を張る覚悟と見た。

さて、コンタックスの将来的なる展望とはいかなるものか。それは、「液晶ビューファインダー」に垣間見ることができると我輩は考える。
この「液晶ビューファインダー」、単にファインダー内の映像をモニタリングできるというものではなく、露出補正の具合を液晶画面の明るさで感覚的に知ることができる。現時点では、カメラの接眼部にCCD受光部を取付け外部液晶モニタに表示させるようになっており、洗練されているとは言い難い。しかし、ゆくゆくはCCDと液晶モニタをカメラに内蔵させるつもりなのは間違いない。これは、我輩が以前ここで書いたことが現実味を帯びてきたことを意味する。

しかし、これを実現させるのはニコンが最初のはずだと思っていたのだが・・・、思わぬ伏兵が潜んでいたというわけか。
ニコンのような、報道を相手にするメーカーならば、このような液晶表示システムは失敗の許されない場面で活躍するだろう。それをコンタックスがやることに意味があるのかは分からぬが、最初の凄みが肝心だという一心で、洗練されないプロトタイプを敢えて出したか(いわゆる「プロパガンダ」として)。

唯一明らかなことは、このようなアイディアは他メーカーによってマネされるのは必至だということだ。その時になって、ユーザーがわざわざコンタックスを選ぶかどうか。それは、これからのカメラ作りに掛かっている。

うまく「コンタックスらしさ」を製品に活かし、独自のニッチを獲得できれば、未来は明るい。しかし、全面的に他社の生態系に割り込もうとするならば、いずれコンタックスというブランドは過去のものとなろう。