[032] 2000年 5月16日(火)
「ハイブリッドカメラ」
デジタルカメラを使っていつも思うことは、「銀塩カメラにもCCDが内蔵されていたらなあ」ということだ。
もしそうなれば、露出決定に役に立つだろうと予想する。
今までのカメラなら、露出は露出計の指標を見て決める。数字を読み取り、そこから補正するとどれくらいの明るさに写るかということを頭の中で想像している。
しかし、CCDを搭載していれば、ファインダーは液晶画面に表示できる。そして、液晶画面に表示された映像の明るさを見ることによって、露出が合っているかどうかというのが一目で判ることになる。
ただ、液晶の画像の明るさがフィルムの仕上がりと一致していないとダメなのだが、それでも目安くらいにはなろう。
既にニコンF5などでは、露出決定にCCDを使っている。それを映像化に使っていないというだけだ。そう考えると、F5はデジタルカメラの気持ちが分かるに違いない。
「別に銀塩にこだわらなくても、デジタルカメラの性能が上がっていけば銀塩は廃れるさ。」
こういう意見もあるかも知れないが、やはりデジタルカメラには、以下に挙げるような問題がある。
- ・画質が決定的に良くない。
- 画質を決定するのは、それを再生する機器の性能による。例えば、パソコンモニター画面で画像を表示させる場合、ブラウン管のドットピッチを超える緻密さは得られない。いくらデジタルカメラの画素が増えようが、画面の外にハミ出るだけ。「見えないところにこだわる」などと言ったところで、ハミ出たところは本当に見えないぞ。
- ・大量の撮影が不可能。
- フィルムなら100本くらい買えるが、メモリーは100枚買うのは難しい。例え金がいくらあろうと、店に在庫が無い。
- ・電源が絶対に必要。
- 電気を使わないデジタルカメラなど、聞いたことが無い。しかも専用充電池ばかりで、どこでも調達できる乾電池が使えないことが多い。
- ・レスポンスが異常に遅い。
- スイッチを入れても起動に時間が必要。記録にも時間が掛かる。記録速度がアップしてもCCDの画素が増えていくので相殺される。
- ・チャンスに弱い
- 大抵の機種では節電のためなのか、ある一定時間経つとスイッチが切れてしまう。レスポンスの遅さをカバーするためにスイッチを入れっぱなしにしようと思ってもダメなのだ。
- ・パソコンが必要。
- パソコンの操作(ハードウェアはもちろん、OSやアプリケーションソフト)や電子画像の基礎知識も求められる。
- ・コストが掛かる。
- 画像のファイル容量が大きいと、パソコンの性能を拡張せざるを得ない。また、1つのデジタルカメラを何十年も使っていられない。本体の買い換えはもちろん、周辺機器などは全て買い直しとなってしまう。また、デジタル画像を写真にする場合、取扱店が都会にしか無く、交通費や時間が掛かる。これではデジタルカメラにした意味がない。また、プリンターによって自家製プリントに挑戦しようにも、画質や耐久性が悪すぎ、投入したコストに見合う結果が得られない。
これだけの問題がデジタルカメラにありながら、銀塩カメラが絶滅するというのは考えにくい。
この際、「デジタルカメラVS銀塩カメラ」という図式を見直し、互いの良いところを組み合わせてハイブリッド化したらどうかと思う。
しかし、なんだかんだ言ったところで、時代の流れは消費者が決めてゆく。いくらメーカーが銀塩を存続させたくても、売れなければ意味が無い。そう考えると、もっともっとウルサイ趣味人たちが増えていかねばならぬ。
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