[686] 2010年03月11日(木)
「手ブレの原因と対策についてのヒント」
昨日、NHKの「ためしてガッテン」という番組にて、手の震えについての話題を取り上げていた。もしかしたら写真撮影時の手ブレ軽減に役立つかも知れないと考え、ここで紹介することにした。
その番組によれば、普通の人間でも、手を空中で静止させておくだけで震えが起きるという。
手を上げようとする筋肉と、下げようとする筋肉、この2つの力のバランスが微小な上下動を起こしているというのだ。
ただ我輩は、このことは以前から知っていた。
というのも、ロボット工学の分野でよく言われていたことだからだ。
人間と従来のロボットには、静かに立っている時の姿勢保持に大きな違いがあった。
従来のロボットでは、静かに立っている時というのは、スイッチを切ったようにどこも動かさないで静止した状態であった。
しかし人間の場合、立っているだけでも様々な筋肉を細かく調整してバランスを取っている。だから、ピタリとは静止することは出来ずに、細かく見ると身体は揺れているのである。
もし人間の身体が立ったまま硬直してしまったら、バランスが取れずにそのままバターンと倒れてしまうだろう。
一見、常にバランスを取り続けなければならない人間のほうが不安定でメリットが無さそうに見えるが、俊敏な動きを実現するには不安定なほうが良いようだ。従来のロボットのように一歩一歩重心を中心に置きながら歩くのでは動作が緩慢過ぎる。
そこで最近では、ロボットもバランス感覚を取り入れ、人間のように走ったりジャンプしたり出来るものも現れてきた。
(当然ながら電源が落ちれば人間のように転倒するわけだが)
だから我輩は、手を空中に静止させようとしても筋肉の力のバランス調整のために震えていることについて改めて驚かない。
ところが番組によると、この震えは、自分が震えているということを意識するとさらに震えが大きくなるというのだ。
この理由は、震えに気付いて「これは異常だ」と意識してしまうと、自律神経が緊急事態に備えて筋肉の活動を活発化させてしまい、結果として震えが増大するとのこと。
我輩にも経験があるが、歯科医でCTスキャンを撮ってもらう際、装置が頭の周りを回っている間は動かさないようにしないといけない場面で、意識すればするほど頭が動いてしまうものだ。
まさに、手ブレもそうではないか。
三脚無しでスローシャッターを切る時、ファインダーを覗いたままブレが少なくなる頃合を見計らってシャッターを切ったものの、実際にシャッターを切る時に大きくブレていたりするものだ。
原因が判ったからと言って、解決策がすぐに出るわけではないが、例えばブレていることを意識しないよう努力したり、あるいは敢えて静止させようとせず一方方向にゆっくり動かすなど試してみる価値はあるかも知れない。
ちなみに、ゆっくり動かしながら撮る手ブレ対策は、以前から経験的に知られていたことである。
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