2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[662] 2009年05月05日(火)
「北海道ドライブ(2日目)」


<4月27日(月)>

早朝4時、フェリーの船内アナウンスが流れた。
「1時間後の午前5時、本船は定刻より30分遅れで小樽港に接岸致します。」

船の窓から外を見ると、雪に覆われた景色が薄暗い中で見えた。
「な、なんだこの冬景色は・・・?!」
我輩は自分の目を疑った。もしかして、北海道はまだ本格的な冬真っ最中とでも言うのだろうか。もしそうならば、火山地形の巡検はほぼアウトであろう。雪に覆われた地形の観察は不可能であるばかりでなく、ノーマルタイヤを履いた我輩のクルマでの雪道走行は危険を覚悟せねばならぬ。
せっかくはるばる北海道までやってきたというのに、何も目的を果たせず都市部の観光で終わることになるのか?

<雪景色の小樽>
雪景色の小樽
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 04:35

何はともあれ、第一目的地である羊蹄山(ようていざん)周辺の湧き水のポイントまで移動しようと思う。実際に道を走り、積雪具合を確かめたい。

クルマでフェリーから降りて、北海道の道を走り始める。路面は濡れているが雪は無い。間欠ワイパーを動かす程度の雨が降っていた。
さすがに北海道だけあって、いきなり片側3車線の広い道路に出た。早朝のせいで他にクルマが少なく速度調節が難しい。聞くところによれば、北海道の平均速度は本土よりも速いらしい。まあ、クルマが増えてくればその流れに乗れば良かろう。

道路は車線が消えかかっている区間が多く、しかも路側帯がかなり広いせいもあり、レーンを維持するのに神経を遣う。気付くと路側帯にハミ出していたりするのだ。濡れた路面の微妙なタイヤ跡を見ながら、それをトレースするしかない。
しかしそのうち速いトラックが前を走ったためそれを先導とした。さすがに北海道だけあって高速道路並の速度になることもあった。

それにしても、どうも後ろを走るクルマが気になって仕方が無い。車間距離が短く、どうも煽られているような気になる。
対向車線側を見ると、2〜3台のクルマがキャラバンのようにまとまって走っていることが多い。これらも先頭車両が煽られているのか?
我輩はそういうのが気になる性格のため、なるべく先頭車両にならないように気を付けた。しかしそれでも後ろのクルマが詰めてくるのでイライラする。いつもは停止時以外の速度調整にはエンジンブレーキを多用しているのだが、これだけ車間距離が短いと少しばかり危険を感ずるため、ギアダウン時にはいつもよりエンジンを吹かし気味にした。

しばらく走っていると、後方2台目のクルマが右ウィンカーを出して対向車線にハミ出してきた。
「何だ?」と思っていると、右ウィンカーのまま対向車線をずーっと走っていくではないか。「右折が待ちきれないのか?」と思っていると、我々の横をゆっくりとすり抜け、はるか前方のほうで左ウィンカーに切り替わり車列に入った。我輩はその時ようやく理解した。
「これは・・・追い越しか。しかも5台ゴボウ抜きとは。」

<対向車線から5台ゴボウ抜き>
対向車線から5台ゴボウ抜き
[SONY製車載ビデオカメラ] 2009/04/27 05:43

我輩が九州にいた子供の頃は、追い越しは見たことがあったが、それでも1台追い越す程度である。今回のように対向車線をずーっと走り抜けて5台をゴボウ抜きする追い越しは初めて見た。
そもそも、我輩が運転するようになってから追い越しなど見たことが無い。

あまりの異質な風景に驚かされたが、同じように大型トラックでさえもこのような追い越しをしているのを見てさらに驚いた。何しろ、大型トラックが対向車線に出る時は急激なハンドル操作で車体が大きく揺れているし、しかも加速が悪いためか追い越し始めるまでしばらく併走しているような状況となる。そしてゆっくりと加速しながら前に出るのだ。
「すごいな・・・高速道路と間違えてないか・・・?」

さて、そうこうしているうちに峠にさしかかったのだが、そこでは道路にも雪が積もっており、轍(わだち)からズレないよう慎重に運転することを強いられた。周囲も完全なる雪景色。もしこの先、全面的に雪に覆われている区間があれば、我輩のクルマでは大変なことになる・・・。

<道路にも雪が・・・>
道路にも雪が・・・
[SONY製車載ビデオカメラ] 2009/04/27 05:58

一応、タイヤチェーンは積んであるものの、装着できる場所が無ければどうしようもない。
しかしそれ以上に雪が積もっている区間は無く、峠を越えると雪も見えなくなりホッと胸をなで下ろした。

6時半頃、まずは第一ポイントである「羊蹄山ふきだし公園」に到着。
駐車場には何台かクルマが停まっており、その中には明らかに車中泊しているようなバンやワンボックスカーもあった。ただ少し早い時間のためか、人の気配があまり無い。外も寒いため、少し仮眠してから活動を開始しようと思い、後部座席に移って目隠しカーテンを吊り、布団の中に潜って寝た。

9時頃、セットした目覚まし時計が鳴って目を覚ました。
見ると、向かい側に観光バスが何台か停まっており、ツアー客たちで賑わっていた。我輩もそろそろ活動を開始する。

<仮眠から目を覚ました>
仮眠から目を覚ました
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 09:04

外に出るととても寒い。雪も所々に残っている。
見ると、中国語らしき言葉をしゃべる団体が50人ほどいたのだが、しばらく待っているとツアーの集合時間になったためか全員引き上げて行った。

<ふきだし公園>
ふきだし公園
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 09:38

あっと言う間に1人になってしまったわけだが、ここで66判撮影と「EOS 5D Mark2」によるハイビジョン撮影を行った。特にハイビジョン撮影では外付けステレオマイクを使い、水の流れる透明感のある音の収録を狙った。

次は、羊蹄山を挟んで反対側の別の湧き水も見に行った。
こちらは観光地というよりも本当にただの取水用の場所という感じで、我輩も空いたペットボトルに水を汲んでおいた。

<羊蹄山の湧き水>
羊蹄山の湧き水
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 10:32

それにしても、どうも車内に妙なニオイが充満している。何のニオイだ? 汗のニオイか・・・?
原因は分からないが、これから車中泊をすることになるのだから多少は気になる。

さて、その後しばらく羊蹄山の周りを行ったり来たりして撮影ポイントを探し、羊蹄山の写真などを撮ったりした。
こうして見ると、富士山によく似ている。

<羊蹄山>
羊蹄山
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 11:24

昼近くになり、コンビニエンスストアで買った弁当を道の駅「真狩フラワーセンター」の駐車場で食べて小休止。
ついでにクルマにもガソリンを給油しておいた。

午後はさらに南下し、洞爺湖へ到達。
今夜の宿泊地となる洞爺湖駐車場を確認した後、その近くにある「金比羅火口災害遺構物」を見学に行った。ここは2000年に有珠山の麓から噴火した金比羅火口からの熱泥流が襲った場所で、アパートなどが埋まったり橋が流されてきたりしたという。そしてその様子が今でもそのまま保存されているのである。
ここは散策路になっており、平日のせいか我輩の他には誰も見学者はいなかった。

<金比羅火口災害遺構物>
金比羅火口災害遺構物
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 13:54

次はその隣にある施設「洞爺湖ビジターセンター」とその中にある有料コーナー「火山科学館」へ行ってみた。
そこでは、有珠山の噴火予知に関するエピソードや、噴火被害の資料展示などがあり興味深い。今は平穏な山であるのに、ひとたび活動するとこのような状態になるのかと改めて驚いた。そして、そのような火山と本当に近い場所で日常生活を送っている住民たちがいるということにもまた驚かされる。

<洞爺湖ビジターセンター>
洞爺湖ビジターセンター
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 15:23

さて今度は、このような被害をもたらした火口について興味があったため、クルマで道を少し登って金比羅火口を見ることにした。
料金所で1,000円を払ってかなり急な坂の未舗装道路を登り詰めると、金比羅火口が一望出来る展望台に行き着く。
そこには、まるで「蔵王のお釜」を思わせる火口湖が2つあった。しかしそのうち1つは半分が山肌の陰に隠れて見えないのが残念。

<金比羅火口>
金比羅火口
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 15:36

ここで中判撮影もしたのだが、レンズを換えようと車内の荷物を探った際、先ほどから感じていた車内の妙なニオイの原因が判明した。それは、前日のフェリーで風呂に入った際に使ったタオルだった。
どうやら、風呂に備え付けのボディシャンプーの香料がタオルに染み付き、ビニール袋に入った生乾きのタオルから妙なニオイが発散されていたのである。
そこで、少し風が強いことを利用してこの場でクルマのドアにタオルを引っ掛けて乾かしてみた。時間的には完全に乾かすことは出来なかったが、それでも少しはマシになったように思う。

金比羅火口の次は、そこから近い西山火口群と呼ばれる被災地域を見ることにした。
ここは先ほどの「金比羅火口災害遺構物」と同様に、噴火被害の状況をそのまま保存している地区で、建物の被害だけでなく、地面の隆起による道路が破壊された様子が見られる。

<西山火口噴火による被害>
西山火口噴火による被害
西山火口噴火による被害
西山火口噴火による被害
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 16:00-16:21

西山火口群見学を終えたのは17時過ぎ。そろそろ夕食と風呂、そして宿泊のことを考えねばならぬ。

宿泊地は洞爺湖駐車場を考えているが、参考として近隣の道の駅「あぷた」へ行ってみた。
ところがここは思っていたよりもこぢんまりとしており、通りに面していながら寂しい雰囲気。最初は4台ほどクルマが停まっていたが、間もなく2台ほどに減ってしまった。そのうち1台には誰かが乗っているようだ。初めての車中泊をしようという我輩にとって、このようなクルマの少なさは落ち着かない。やはり洞爺湖駐車場にするか。

<道の駅「あぷた」>
道の駅「あぷた」
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/27 18:29

途中のコンビニエンスストアで弁当を買って食べ、豊浦町の温泉銭湯「しおさい」で一風呂浴びた。やはり疲れをリセットするには風呂が一番。
そして身体が暖かいうちに洞爺湖駐車場の方へ移動した。ここなら広い駐車場に10数台ほどクルマが停まっており、自分自身の存在感も薄れるようで気が楽。

早速パジャマに着替え、トイレの洗面所で歯磨きをし、クルマに戻って布団に入る。自宅そのままの寝具のため、とてもリラックス出来る。首元が寒いので、ハーフサイズの毛布を防空頭巾のようにして被った。
カーテン吊りも意外に圧迫感は無い。酸欠になるのを防ぐためにも、後部座席の窓をバイザーで隠れている範囲で少し開けておいた。もちろん、ドアロックすることも忘れない。

こうして、我輩の初めての車中泊の夜は更けていった。