[652] 2009年02月13日(金)
「今どき縦位置レリーズボタンとは」
我輩は大学時代、カメラを縦位置にホールドする時の無理な体勢を改善するため、「Canon EOS630」のグリップを改造して縦位置レリーズボタンを増設したこともある。何しろ、当時は縦位置撮影が大半を占めていたので、縦位置レリーズボタンの有り無しの違いは大きかった。
縦位置レリーズボタンを増設したEOS630用グリップ |
|
しかしそれは、たまたまEOS630がリモート端子付きグリップが脱着出来る構造だったために可能な改造であり(改造失敗時の損失がグリップ部品のみにとどまることも好都合であった)、それ以降のグリップ固定構造となったAFカメラでは改造も考えられなくなってしまった。
それでもしばらくすると、縦位置グリップや増設ブースーターなどというアクセサリが使えるカメラが登場してきた。
しかしこれらはカメラ下部に大きなグリップを装着することになり、カメラのサイズが著しく大きくなる。まさに、一昔前のモータードライブのような状態。たった1つのレリーズボタンを加えるだけのためにこのような大きなサイズになるというのも不条理を感ずるが、グリップが無ければ撮れない初心者に対する配慮であろう(昔のカメラにはグリップなど無く、初心者であろうとそういうカメラを使ったものだが・・・)。
このようなアクセサリは、横位置で撮る際には何も役に立たぬいわゆる"死加重"である。力業で解決するものでありスマートとはとても言い難い。
デジタル一眼レフカメラが主流になった今でも、この縦位置レリーズボタン付きの別売りグリップが存在する。
しかしデジタルカメラは画像を電子的に取り扱うのであるから、縦位置横位置の切り替えをスイッチ一つで出来ないかと思う。
レンズを通る光は、円形のイメージサークルを投影する。そこに長方形のCMOSなどの撮像素子を置いているわけだが、その撮像素子を90度回転させることが出来れば、縦位置撮影が姿勢を変えずに行える。「MAMIYA RB67」や「MAMIYA RZ67」のレボルビングのようなものと理解すればいい。
いやレボルビングでは可動部が増えて故障や切替えタイムラグの原因となるため、むしろ正方形の撮像素子を使って電子的に縦横の切替が出来ると効率が良かろう。
こういった方式はマウントの開口部も正方形になるため、ミラーも大型にする必要があり、ある程度のサイズアップは不可避となる。中判一眼レフカメラに当てはめて例えると、645判と66判のカメラサイズの差が参考になるかも知れない。
しかし、同じ姿勢で構えたままスイッチ一つで縦横が切り替わるのは非常に便利かと思う。三脚に固定した状態や、クリップオンストロボをペンタシューに装着している場合などは重宝するだろう。
また、利用価値があるかどうかは分からないが、やろうと思えば同一カットで縦横同時記録も可能となる。
たださすがに正方形フレームでの撮影は、レンズによってはイメージサークルがギリギリのため四つ角がケラれて実用外となる。それでも、イメージサークルに余裕のあるレンズであれば自己責任で正方形フレームを使わせるという方法でも良いかも知れない。
青い円がイメージサークルとすると正方形フレームだと四つ角がケラれる |
|
どうせ縦位置グリップで図体が大きくなるのならば、このような機能を盛り込んで大きくしたほうが良いのではないかと思うし、それこそデジタル的であろうかと思う。特に、取り外しの利かぬ「Canon EOS-1」系や「Nikon D一桁」などの無駄なデカさを容認するくらいならば、このような意味のあるサイズアップのほうがデジタルカメラの特性を活かすことに繋がろう。
デジタルの時代ならば、カメラを物理的に横に倒す使い方を過去のものにしてくれ。
|