[640] 2008年12月09日(火)
「革命を応援してくれ」
我々、写真を趣味としている者は恵まれている。
もし仮に、一般消費者向けカメラとしては35万画素のコンパクトデジカメしか無くなってしまったら、どうする?
一眼レフは業務用として、最低でも100万円、交換レンズも50万円を下らない。しかもそのサイズはひとかかえもあるような物しか無いという世界。こんな世の中だったとしても、写真を趣味として続ける自信はあるか?
ビデオの世界では、これがまさに現実だった。
ビデオ機材というのは、家庭用と業務用とに極端に二極化しており、ハイアマチュア向けの中間的な機材は存在しない。見せ掛けだけの値段が少し高いものもあるが、趣味心を満たすようなものは無い。
スチルカメラに例えるならば、趣味人でもコンパクトカメラしか買えないという状況。
信じられるか?
このような状況の中、ビデオカメラを趣味とするには機材を突き詰めるという方向性は難しく、どうしても被写体へ向かうしか無くなってくる。中には盗撮に目覚める者も出てくる。
「私の趣味はビデオ撮影です。」
「私の趣味は写真撮影です。」
世間的には、やはり前者のほうが怪しく聞こえる。
そんな中、フルハイビジョン撮影可能なデジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark II」が登場した。
これは革命的であった。
「革命的」とは、ただ単に言葉の表現を大きくするための修飾語ではない。
家庭用ビデオに縛り付けられたビデオ趣味の中に救世主が現れたという意味で、まさに革命が起こったと言っても良い。
「EOS 5D Mark II」の登場で、様々な交換レンズにより表現力が高まり趣味として面白くなってくる。レンズ交換という快感を覚えた者たちは、次々にレンズを買い漁り、それぞれの効果を楽しむことだろう(スチルカメラの分野ではこれを"レンズ沼"と呼んでいる)。
我輩は今、ビデオの趣味人として「EOS 5D Mark II」を見ている。
漠然と頭に描いていた理想のビデオカメラが、突然スチルの分野から現れたのだ。「まだ洗練されていない」とか「撮影しづらい」という話が出たりするが、革命直後はそんなものだろう。
生活は貧しくとも、自由を手に入れたのだ。出来なかったことが出来るようになった。まずはそれだけでも大きい。
スチルカメラの国では、当たり前のように自由を謳歌している。
そんな国から見れば、ビデオカメラの分野での革命など今さらな感じもすることだろう。そして、「EOS 5D Mark II」にビデオ撮影機能など余計だと思っている者もいるだろう。
頼むからそういう考えはやめてくれ。
自由をやっと手にしつつあるビデオの世界が再び暗黒の時代へと逆戻りしないためにも、「EOS 5D Mark II」のビデオ撮影機能を、スチルカメラの分野からも応援してもらいたいと心から願う。
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