某所に、我輩の所属する会社が出力センターを出店することになった(我輩は現在出向中だが、これは出向元の会社の話)。
聞けば、そこの店長は我輩と顔馴染みの社員のようだった。
そこで会社帰りにそこへ寄ってみたところ、確かに店長はその男であり、しばらく雑談した。
その時に話が出たのだが、「この店舗の紹介を社内誌に載せるということで写真を撮ろうとしているが、その写真を撮ってくれないか」という依頼だった。
店長は我輩が写真をやっていることは知っている。いやむしろ、「我輩と言えば写真というイメージしか無い」とのこと。そこまで言われて断ることは出来ぬ。
次の日、我輩はデジタルカメラ「Canon EOS-D30」と28-80mmズームレンズを持参した。
店内には店長以下4名おり、カウンターに集まったところを撮影した。幸いにも天井が白く、ストロボバウンスが可能だった。アクセント光として弱いストロボ光をダイレクト照射して陰起こしとキャッチライトを入れた。
その結果、自然な雰囲気とメリハリのある良い写真が撮れた。
店内の様子の写真は、外が見える角度で撮る際に、定常光(外)とストロボ光(室内)のバランスが取れるよう調整した。
これもまた、なかなか良い具合に撮れた。
さて、店舗外観写真については、ズームの広角側28mmでは画面内に収まり切れなかった。よく考えればAPSサイズのデジタルカメラであるから35mmカメラの画角よりも少し狭いのであるが、まあどちらにせよ完全に画面には入り切れない状態。
かと言って後ろに下がると、道の両側にズラリと並んで停まっている路上駐車の車がジャマして店舗入り口が隠れてしまう。
そこで、
雑文463「SFX(特殊映像効果)」でも実施したように、分割写真を撮って一つに合成することを考えた。
しかしながら、若干見上げるアングルのため、各写真が遠近感のために歪み、それぞれの継ぎ目がかなりズレてくるものと予想した。実際、雑文463ではその点に最大の苦労があった。
今回は、なるべくオーバーラップするところを増やして多くのカットを使って合成しようと考えた。そうすれば、1枚1枚の継ぎ目補正も軽微となり作業が容易になるであろう。
実際の撮影では、10数枚のカットを撮影。その時点では巧く合成出来るか分からないのが不安だったが、早速持ち帰り画像合成を試みた。
合成作業はかなり大変であった。
前回は単純な絵柄の4枚の写真を合成しただけだったのだが、今回はビルが建ち並ぶ中での店舗写真である。縦横の線が傾いたり歪んだりしているとかなり目立つため、変なところで妥協が出来ない。
しかも10数枚の画像をレイヤーで重ね合わせていると、パソコンの処理スピードが低下して効率が上がらない(その時はメインパソコンが使えず事務用のノートパソコンで行なっていた)。
それでも結果的には、何とかシロウトを誤魔化せるまでに調整することが出来た。
それら集合写真、店内写真、そして店舗外観合成写真をメール添付で送ったところ、「すごいすごい!」との返事。「写真撮影もプロだし、合成テクも凄いよ!」とのことだった。
その評価はホッとしたと同時に、嬉しくもあった。
しかしよく考えれば、もしこれがプロの仕事だとしたら、これほどまでに喜ばれた仕事だろうかと考えた。
プロと言われるのは、仕事をしてその対価を受ける者たちのことを指す。それは、ここで我輩が言うまでも無いこと。
では、その評価は?
我輩が感ずるに、プロというのは、仕事が出来て当たり前ということである。出来なければ、それは失点となる。つまり、プロの評価は"減点方式"と言えよう。
一方、アマチュアに対する評価は、上手く行くと評価される。いわば"加点方式"と言える。
加点と減点では、評価をそのまま比較するのは公平ではない。
もしプロとアマを比べることがあれば、その点を留意する必要があろうかと思う。
カッコつけプロカメラマンやコンセプトの無いCG/DTPプロの嫌いな我輩でも、評価方法の違いによる不公平さはプロに同情申し上げる。