[522] 2005年02月02日(水)
「例え話」
15年近く昔のことだったと思うが、Windows 3.0の発売開始についてのNHKのニュース特番を見た。
当時、パソコンはメーカー各社それぞれに独自のアーキテクチャを持っており、ソフトウェアの互換性は無かった。それゆえ、NECのPC98シリーズのように、ハードウェアのシェアが大きければ大きいほどアプリケーションソフトの市場も大きく、そして不便が少なかった。逆に言うと、シェアの小さなパソコンを買ってしまうと、アプリケーションソフトの数が少なく全く使い物にならないこともあった。
そんな時、Window 3.0が発売された。
ニュース特番では、「各メーカーのパソコンのアーキテクチャの違いをWindowsが吸収し、そのWindows上で実行されるアプリケーションソフトは共通のものが使える」ということを解説していた。
これにより、特定のハードウェアに囚われる必要も無くなり、NEC1社独占状態のパソコン市場が大きく変化するだろうということだった。
我輩がこの番組を見た時には、まだパソコンに習熟しておらず、また我輩個人の所有するパソコンも無かったため、番組が解説している内容について頭では理解はしたものの、「なるほど」と実感するまでには至らなかった。
番組では図を使って解説していたのだが、分かりやすい例えを出さず観念的な説明に終始していた。
「例え」というのは、一般に広く知られた知識を上手く利用して説明する手法である。全く新しい概念を一から説明するよりも、既知の似たようなケースを当てはめて少し修正すれば理解が早い。
しかし一般に広く知られた知識から利用出来る例えも限られており、説明が難しいケースもある。
Windows 3.0の件も、当時は今ほどパソコンが普及しておらず、今までに無かったような新しい概念を説明するための適切な例えはなかなか無かった。
ただし、説明する相手の知識が量れるのであれば、特殊な例え話も有効である。相手の知識の範囲内で適切な例えがあるならば、趣味の分野の話であっても良かろう。
もし当時のニュース特番で、カメラや写真をやっている者向けの説明があるとしたら、我輩は次の例えで瞬時に理解したに違いない。
「Windows 3.0とは、例えるとタムロンのアダプトールのようなものです。」
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