[467] 2004年01月25日(日)
「大撮影会2(スタジオ編)」
(前回からの続き)
野外撮影終了後、我輩はその場に留まってフィルムや機材の整理をした。そして顔を上げると誰もいなかった。
「さて、飯でも食おうか。」
ハンディGPSを取り出し、事前に調べてあったスタジオを目指すことにした。その近くに中華料理のチェーン店「バーミヤン」があるはず。
全く知らない街でも、GPSが示す地図を辿れば必ず最短で目的地へ行き着く。スタジオの前を通り過ぎ、バーミヤンに到着。
スタジオに近いため、モデルやスタジオ関係者が昼食を摂っていたりしているかと思ったが、店内は広いため目が届かなかった。
隣の席では親子連れがおり、父親がAF一眼レフカメラで何枚も子供の写真を撮っていた。
我輩は若鶏の南蛮揚げとライスセットを注文し、それを食べながら次の計画を考えた。次の撮影まで1時間も時間があるためゆっくりしよう。普通の食事処では長時間は居づらいため、このような広いファミリーレストラン形式の店は都合が良い。
食事後スタジオに行くと、開始時間5分前であったが既に撮影者の大部分は集まっていた。居場所が無いので隅の方へ行ってカバンとオーバーコートを置いた。
スタジオの部では、モデルが2人ずつ交代で現れる。そのため、25人前後の撮影者はその2人に集中することになる。当然ながら午前中の野外撮影のようにゆったりと撮影出来るわけではない。少なくとも10人前後の他の撮影者と場所を調整しながら撮影することになる。互いに気を使う感じだ。
それにしても、H嬢はなかなかこちらへ目線をくれない。目線が来て1枚撮影した後に続けて2枚目を撮ろうとすると、もう別の撮影者のほうを向いている。
「・・・?」
大抵の場合、1人の撮影者には数カット撮影させている様子。前回のスタジオ撮影でもそうだった。そのため、連続撮影可能なモータードライブは必須だった。目線が来れば、そこで数枚撮る。モデルは目線をそのままにして数パターンでポーズをとるのだ。
ところが今回、我輩だけには目線の来る時間が非常に短い。その様子が他の撮影者に対するものと全く違っていたためビックリした。
ふと、午前中に言われた「目線はそっちでいいんですか?」という言葉が甦った。そして、その言葉に続く意味をあらためて考えてみた・・・。
「目線はそっちでいいんですか? ダメなんですよね? 外したほうがいいんでしたよね?」
我輩はてっきり、単純にどちらかを訊いているものと思っていた。
「目線はそっちでいいですか? それとも外したほうがいいですか?」と。
確かに、目線ばかりの写真では変化が無いばかりかH嬢の魅力を出し切ったことにはならない。本人も「斜め45度の表情が気に入っている」と言った。
そうは言っても、逆にそういう写真ばかりだとまた困る。しかも、単純に他の撮影者のほうを向いている状態が"目線を外した"ということにはならない。目線を落としたり、遠くを見たりする雰囲気が無ければ、わざわざ目線を外す意味が無い。他の撮影者を注視している場合、モデルの眼に"気"が入るため、出来上がった写真としては「このモデルは何を見ているのだろうか」と目線の先が気になるような写真になってしまう。我輩としては、目線が外れてもモデルそのものに気持ちが向くような写真としたいのだ。
その部が終了直前、H嬢に瞬間的に接近して撮影した。
その時、「目線はこのままでいいですか?」と訊かれた。我輩は「ええ、そのままで。」と答えた。
そして撮影後「注文あれば言って下さいね。」と言われた。
少なくとも、嫌われていたわけではなかったようだ。
スタジオ撮影は18時過ぎまで行われる予定。
外光を採り入れられるスタジオのため、最初のうちは明るいがそのうち段々と暗くなってくる。そしてスタジオ用ライトだけが照明源となる。冬の光は短い。
15時を過ぎると露出計では1/30秒となってきた。かと言って80mmF2.8では多人数では距離が遠くアップには使えず、逆に全体を写すには距離が近い。遠ざかろうとするとモデルが他の撮影者の陰に隠れてしまう。
「困った、このままでは撮影不可能。」
高い金を払っての参加であるから、ここで撮影を止めることは出来ない。
仕方無いため、これ以降はE100Gを+1増感することにした。特性は未確認だが、+1なら何とかなろう。
次の部では、レースクィーンのコスチュームになる予定である。しかし例の関西系アシスタントが現れてこう言った。
「えーと、ちょと手違いがありまして、衣装が届いてませんでした。次のコスチュームは変更して私服ということでスンマセン。」
なに、同じ写真を撮らされるのか・・・と思ったが、そうではなく先ほどとは別の服だった。まあ、良しとしよう。
最後の撮影では、モデルは皆チャイナ服で登場し、H嬢もピンクのチャイナ服姿だった。髪を二つに結っていたため愛嬌があってなかなか似合っている。スカしたモデルではなかなか出せない雰囲気で良い。
目線が来た時にすかさず、シャカリキになって爆音モードラを連射(「連写」ではない)し続けたため、だんだん目線をくれることが多くなった。Nikon F3+MD4クラスの静音カメラでは、このような芸当は出来まい。
前回のスタジオ撮影ではモデルの交代が前半後半と2つに分かれてH嬢は各部ともに後半の登場だった。しかし今回は前半の登場となっていた。当然、H嬢の最後の撮影が終わっても、次のモデル2人の撮影が残っていた。
見ると、我輩のフィルムバックが中途半端に数枚残っている。良い機会であるからと、残りのフィルムで他のモデルも撮ってみた。
翌日、現像したフィルムをチェックすると、やはりH嬢の写真はブレが多かった。しかし他のモデルを写したものはブレが少ない。H嬢はブレ易いのだろうか・・・?
また、やはり野外での撮影は最初がブレており、それ以外はまずまずの出来。スタジオ撮影では増感が主だったが、思ったほど粒子が粗れておらず、逆に記録を付けておかなければどれが増感したものかという区別が出来なくなりそうだ。もっとも、標準現像にて比較した場合、E100GはRDP3よりも粒状性が良くないため、増感しても目立たないということかも知れぬ・・・。
結果的に、全カット372枚のうち採用カットは66枚という結果となった。66判で撮影したのであるから、ちょうどキリが良い(コンピュータで言えば128とか256、あるいは1024という数字がキリが良いのと同じような感覚かとも思ったが、ちょっと違うか)。
採用率を計算すると18パーセント。220フィルム1本あたり4枚程度。納得したわけではないが、まあ向上したという意味では良かろう。少しは気が晴れた。
だが、気に入ったカットでブレやピンボケがあったのはショックである。こういう悔しさが「次こそは!」という気持ちを起こすことになる。
とは言っても、今度はもう少し昼が長くなる季節にしようか。これ以上努力してももう限界まできているように思う。RHP3など感度400のフィルムは使いたくないため、次に参加しても採用率が上がりそうも無い。まだ先の話ではあるが、夏の明るい時期に撮ってみたいもの。
まあどちらにせよ、参加費とフィルム代・現像代捻出のためには、少し間を置かねばならないのは事実である。
※今回の写真も、撮影会を特定されると雑文の内容ゆえ苦情が来る恐れもあり、写真掲載サイトへのリンクは当サイトからは当面行わない。
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