以前、化粧方法を変えると見違えるような美人に変身するというような企画をテレビでやっているのを観た。一般人(女性)に対し、プロのメイクが化粧のコツを伝授していた。
それによると、顔の形を良く見せるために髪型を変えたり、眉毛の描き方やアイシャドーの入れ方を工夫すると印象がかなり変わるという。確かに、使用前・使用後のようなハッキリとした違いをそこに見た。
まるで別人。
しかし、このような化粧を伝授されても、普段の顔とのギャップが大きくなれば悲劇かも知れない。無化粧状態(いわゆるスッピン)を見せられないほどの変身となれば、特に男女間のトラブルを生みそうな気もする。(参考:
雑文047)
新しい化粧によって近付いた男であれば、外見を重視する(いわゆるメンクイ)という可能性は高い。しかし、もし素顔を知らずに結婚したならば、その後の結婚生活は想像するのも恐ろしい。
男は、「気合を入れて化粧すれば美人なんだよな」と自分に言い聞かせるだろうが、いかんせん、結婚後は化粧をしない顔に接する時間のほうが多い。
男は、美人顔の恩恵に与かるのは結婚前だけだったと思い知る・・・。
最近、パソコンから出力された年賀状が多くなった。
我輩も過去にパソコンプリンター出力で年賀状を作成したことがあった。しかし、クオリティに満足出来なかったということと、出力コストがかなり高い(マイクロドライ形式のプリンターなのでインクリボンが4本必要)ということで、それきりやめた。
一昔前、年賀状と言えばプリントゴッコで作られたものが多かった。だが、プリントゴッコは階調が表現しにくいため、写真向きではなくイラスト向きである。網点によって写真の表現も不可能ではないが、クオリティとしてキレイとは言い難い。
一方パソコンの場合、レイアウトが容易で何度もやり直しが出来る。写真出力に関しても、プリンターの性能向上に伴い問題は無くなってきた。
街の電器屋で見かけるプリンターの出力例を手に取ると、驚くほどキレイな画質に目を見張る。もちろん、「インクジェットであるから絶対どこか不自然なところがあるはずだ」などとアラを探せば、プリンタヘッドの走査線のようなものや、インクのドットが見えてくる。だが、そのように"鑑定"するような目で見なければ普通のプリント写真と出来栄えは変わらなくなったと言えよう。
ただし現実として、実際に受け取る年賀状にそのような素晴らしい画質のプリント出力は見当たらない。せっかくパソコンで加工したというのになぜこのようになるのだろう。
想像するに、いくら店頭のプリンターの性能が向上したとしても、個人ユーザーがそれを直ちに導入出来るとは限らないということか。いくら値段が安くとも、既に1台プリンターがあれば導入など考えまい。
例えば、去年エアコンを購入した者ならば、今年新製品が出たとしても買い換えない。そもそも、買いたい時に初めてカタログや店頭で機種を吟味するのであって、買いたいと思わないならば新機種が出ても気付きもしない。買おうとする時はあれほど研究したのに、買ってしまった後はどうでも良いことである。
とは言うものの、新型プリンターを導入した者も1人や2人いても良さそうだ。今新たにプリンターを買う者もいるであろうし、買い替えの時期の者もいて不思議ではない。それならば、1枚くらいはキレイなプリント出力の年賀状もあるはず。だが現実には、写真画質のプリント出力は無い。
単純に、プリンターだけの問題ではないということか。
現在、個人向けカラープリンターのほとんどがインクジェット方式を採用している。
液体のカラーインクを小さな飛沫にして用紙に吹き付ける。吹き付けるための方法に各社の工夫があるが、やっていることは皆同じ。
そういうわけで、年賀ハガキも最近は「インクジェット専用」というものも発売されるようになった。ハガキを買う時には必ず、普通のハガキなのか、それともインクジェット用なのかということを訊かれる。
なるほど、今年来た年賀状を見ると、パソコン出力のものはほとんどが「インクジェット専用」となっていた。
文具店などで売られている汎用インクジェット用紙を買うと、表面が艶消しになっているのに気付く。これはシリカコートによって吸湿性を高め、インク濡れによる汚れやニジミを防ぐ役割がある。
この用紙を使えばベタ塗りイラストならばコントラストのあるメリハリの効いたプリントアウト出来るものの、写真のような階調表現では堅さやザラつきが目に付く。
「インクジェット専用年賀ハガキ」も、結局はそのような汎用用紙と同じである。
電器店店頭で見かけたキレイなプリンター出力例では、それぞれのプリンターに特化した「専用光沢紙」を使って性能を目一杯引き出してプリントされているのだ。用紙が全く違う。
結局、「インクジェット専用年賀ハガキ」というのは「インクジェットプリンターでクオリティ高く出力出来る」というものではなく、「インクジェットプリンターを使ってもインク濡れを防ぎ汚くならない」という意味しかない。
ところが「専用」という言葉が目に入ると、まるで専用光沢紙に準ずる用紙であるかのような錯覚を生んでしまうこともあろう。
少なくとも「インクジェット専用年賀ハガキ」が発売され続ける限り、パソコン出力の年賀状の写真クオリティはこれ以上向上することは無い。
インクジェットプリンターの性能がどれほど向上しようが、その性能を全て吸い取ってしまうのがインクジェット専用ハガキ。
こういった現状を前にすると、「やはり次もプリントゴッコで続けて行こう」と思ってしまう。
無理に写真を使い「元の画像はキレイだったんだろうな」などと勘ぐられるような出力物よりも、プリントゴッコの味を活かしたイラスト年賀状を作るのが最善と判断した。
しかも最近は、プリントゴッコの年賀状はどんどんパソコンプリントに移行しているのため、かえって新鮮味が出てきた。下絵の作成はパソコンを使うものの、プリント作業にはパソコンを使いたくない。
・・・それにしても、プリンタメーカーも、特別な紙を使うことよりも普通紙でキレイにプリント出来る製品の開発にもう少し力を注いで欲しい。どれもこれも、「その気になれば良い色が出ますよ」というものばかり。
それはあたかも、化粧の上手い女と結婚してしまったメンクイ男のような心境か。実際に使うとなれば、そうそう専用光沢紙で印刷する機会など無いのが現実。
それを後で気付くのは悲劇かもな。