[370] 2002年09月06日(金)
中判魚眼レンズへの道(2)「探索」
前回の雑文にて、ゼンザブロニカの対角線魚眼レンズの入手が絶望的と分かり、力が抜けて前のめりにバッタリと倒れ込んだ。
うつろな目で見える映像が、円形に歪んで見えるようだった。
「・・・クソ、これがゼンザブロニカの限界か。もはやハッセルブラッドに乗り換えるほか無いのか。」
我輩は起き上がり、インターネットで「マップカメラ」のオンラインショッピングにてハッセルブラッド用魚眼レンズの価格を調べてみた。その瞬間、また視野が円形になるような気がした。
「ろ、65万円?!売る気あんのか?」
この値段では、カメラボディなど一式合わせれば100万円を大きく越えるだろう。中には簡単に買える者もいるのだろうが、我輩はそちらの世界の人間ではない。単なるヒラのサラリーマンである。
まあ、もしこのレンズが全周魚眼ならば奴隷となる覚悟で買ってしまうかも知れないが、これは対角線魚眼である。そこまでの情熱も湧かない。
中判用全周魚眼は、我輩の知る限りコーワシックス用の交換レンズしか知らない。もしこれが手に入るならば、物欲の炎が激しく燃え上がったことだろう。
しかし、コーワシックス用の全周魚眼レンズなど、ゼンザブロニカ以上の幻の存在。とうの昔に生産を終えたカメラの特殊レンズなど、手に入れようと期待するほうがどうかしている。
それでも諦めきれずにインターネット上を検索していると、一つのレンズに行き当たった。
ウクライナ製魚眼レンズ「ARSAT 30mm F3.5」という対角線魚眼レンズ。価格は2万円台と破格であった。インターネット上での評判もなかなか良い。
問題は、そのレンズを装着出来るボディがペンタコン6やキエフ88などしか無い。これらのカメラは個体差が激しく、コマ同士が重なり合うというトラブルもよく聞く。レンズに問題無くともカメラボディに問題があれば無意味である。
そんなことを悩んでいると、ヤフーのオークションに出品されていたウクライナ製魚眼レンズは落札されてしまった。それ以降、このレンズの出品は無い。
こうなれば、いつ巡り会えるか分からぬレンズを求めるよりも、新品で手に入るレンズを買うことにするか。
そのためには、66サイズではなく67サイズにする以外に無い。67サイズであれば、マミヤやペンタックスが選べる。魚眼レンズも対角線ながらラインナップに入っている。67で撮り、66でトリミングすることにしよう。
だが、いざ買おうと考えるとどうにも気が引けた。
魚眼専用のためだけに巨大なカメラを携行するのか? 一般レンズを使うためにゼンザブロニカも必要となれば、それだけでボディが2台必要となる。66ならばともかく、67サイズのカメラはとにかくデカイ。
いっそのことシステムをまるごと66から67へと移行したほうが1台のボディで済むので効率が良いのではないか?
・・・計画がどんどん大きくなってゆく。
完全に行き詰まり、再びインターネットで検索を始めた。色々な単語で検索を繰り返し、色々な情報に目を通した。
その中で、興味深いものがあった。
「アストロカメラ」と呼ばれる天体写真専用のカメラである。
これは、35mm判の対角線魚眼レンズを利用し、中判フィルムのサイズによって全周魚眼として使おうというものである。35mm判のフィルムではトリミング効果により対角線魚眼になっているが、イメージサークルに映される映像は全周魚眼そのもの。
もしかしたらこのアストロカメラ、一般撮影でも使えるかも知れない。
ところがやはりウマイ話は無いもので、それらのアストロカメラにはシャッターが付いていないことが判った。星夜写真は数分間もの露光を与えることが一般的であるため、わざわざ無用なシャッターを組み込んでコストを上げる意味も無い。
その中でただ一社、シャッター組み込みのアストロカメラを発売しているのを見付けたが、何と、レンズマウントはオリンパスOM用。OMレンズなど、もはや在庫販売状態。魚眼レンズなどは早々に消えている。
もはやこれまでか。
ここまで考えてどうにもならないとは、悔しさよりもむしろ悲しさを強く感ずる。
正方形の画面一杯に広がる円形写真。それを楽しむことはもはや不可能なのか・・・。
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