[288] 2001年08月04日(土)
「昔の敵は今日の友」
我輩は、少年時代に漫画家になりたいと漠然と思っていた時期があった。目標は藤子不二雄。もし我輩に才能と根性があれば、手塚治虫を目標とした藤子不二雄のように、藤子不二雄を目標とした漫画家の我輩が存在したかも知れぬ。
成人した今では、我輩はほとんど漫画を読まなくなったが、それでも気に入った漫画や興味深い漫画は読んだりする。昔の漫画でも、復刻版として書店に並んでいたりするので、思わず買ってしまうこともある。
我輩の読む漫画としては、「ドラえもん(藤子不二雄)」、「ブラックジャック(手塚治虫)」、「ゲームセンターあらし(すがやみつる)」、「北斗の拳(武論尊/原哲夫)」、「ドラゴンボール(鳥山明)」、「カメレオン(加勢あつし)」といったところ。
何がその漫画を「面白い」と思わせるのか。
自分の気に入った漫画を並べてみると、いくつかの共通点があるように思える。
その共通点の中でハッキリと分かっているのは、「以前敵同士だった相手が更に強大な敵を前にして手を組み共に闘う」というパターン。最初は仕方なく手を組んだものの、いつしか友情が芽生えてくるのである。その友情は、新たな敵が強大であれば強大であるほど強くなるようだ。
ここでは、「ゲームセンターあらし」、「北斗の拳」、「ドラゴンボール」、「カメレオン」がそのパターンに該当する。
さて、このような構図はカメラの分野にも見られる。では、ちょっと昔を思い出してみよう・・・。
昔は「キヤノン派」「ニコン派」などという単位で陣形が分かれていた。
メーカーそのものも、数字の順列やマウントの回転方向などが全て逆の造りになっており、対立関係をそこからも感じたものだ。
しかし、AFという新しい勢力が台頭してくると、「MF派対AF派」というものになった。もはやキヤノンであろうが、ニコンであろうが、MFならば等しく同志である。共に手を取り合い、陣形を固めた。
特に、AF化されてマウントが変更されたキヤノンでは、AFとMFの間にハッキリとした境界線が引かれている。同じ民族でありながら軍事境界線で分断された南北朝鮮のように。
さらにここ数年を見てみると、新しい脅威が急速に立ち上がってきた。デジタルカメラがそれである。
最初の頃はまだビデオカメラ用のCCDを流用した程度のものでしかなかったデジタルカメラであったが、今では印刷原稿にも耐えるクオリティを持つものさえ現れている。
そうなると、もはやAF派だのMF派だのと言っていられなくなってきた。「銀塩カメラ対デジタルカメラ」というところまで戦況が変化している。ここはひとまず手を組むしかない。
「銀塩不要論」を唱える者すら現れ、その極端な主張に対し、AF派もMF派も共通の敵をそこに見たのである。今、新たなる闘いが始まろうとしているのだ。
もし将来、銀塩カメラとデジタルカメラが手を結ぶ時が来るとするならば、一体どんな強大な敵が現れるだろう? その芽は目立たないながらもすでに現れているのかも知れない。
「昔の敵は今日の友」。ケンカできるのも今のうち。
|