[242] 2001年03月13日(火)
「普通のデジタルカメラを作らんか」
今朝、電車の中吊り広告でフジフィルムの新デジタルカメラが載っていた。
600万画素だと言うが、相変わらずの価値観で気が萎える。
例えば、大容量メモリとか、超寿命バッテリー(長寿命というレベルではない「超」という意味)、レンズ交換、シンクロ接点装備、ケーブルレリーズ取付可、プレビュー機能・・・など、基本的な性能を向上させたらどうなんだろうと思う。
価格が12万を越える設定であり、CCDが600万画素であることを考えると、これはコンパクトカメラユーザーが対象ではないことが明らかだ。だから、先に述べた不満点が正当化されるというもの。
もしこれが5万円台のビギナークラスならば文句は言うまい。だが、デジタルカメラというのは勘違いした値段設定をしているものがほとんどだ。機能と比べると値段が高すぎる。
恐らく、消費者として見れば、「デジタルだから」ということで不満を持つことなく金を出すのだろう。だが、冷静に「カメラ」という見方でそれを見ると、とてもじゃないが12万円も出す価値は無い。
確かに、他に選択肢が無いのも事実だ。600万画素のデジタルカメラは業務用しか見あたらない。「もっと安く」と思っても、現時点では、12万円というものは安いほうになる。
デジタルカメラは、値段によって解像度が決められてしまうので理不尽だ。これがもしフィルムならば、解像度ごとの値段の違いはほとんど無い。
しかも、デジタルカメラは時代が変わると陳腐化するため、一定期間内に投入コストに見合う仕事をやり切らねばならぬ。モタモタしているとすぐに後継機が登場し、現在の機種に不満を持つこととなる。
もし、我慢出来ず買い換えたとするなら、1枚当たりのコストはどれくらいになるだろうか?
(購入価格+維持費)/撮影枚数=(?)
デジタルカメラの撮影枚数は多そうだが、メモリやバッテリー、撮影シーンの壁があり、購入前の思惑とは裏腹に、思ったほど撮れないこともある。
だが、同じ計算を銀塩カメラでやるとどうなるだろう。
もし、壊れるまで自分のカメラを使い続けるならば、撮影枚数は膨大な数にのぼる。維持費はかさむだろうが、そのぶん撮影枚数も増えることになる。
デジタルカメラでは、そもそも「壊れるまで使う」などという発想が無い(壊れやすいにも関わらず)。
CCDの性能はまだ途上段階で、完成されたものではないというのは理解できる。だから陳腐化もする。しかし、少なくともオーソドックスな形態であれば、こまごまとした改良などで買い変えなくても済む。我輩などは、シンクロ接点があるというだけでデジタルカメラを買い換えた苦い経験がある。
市場にある一般向けデジタルカメラは、コンパクトタイプのものしか存在しない。これでは選択肢が全く無いにも等しい。
多少、性能が低くなってもいいから、普通の一眼レフタイプのカメラにCCDを組み込んだだけというような万能カメラを10万円以内で作らんか。シンクロ接点やレンズ交換など、ごく基本的な機能は小出しにせず最初からすべて盛り込め。
これさえあれば、魚眼レンズ写真でも、望遠レンズ写真でも、顕微鏡写真でも、天体写真でも、ピンホール写真でも、思い付くものはとりあえず何でも撮れるようになる。
「技術的な問題がある」と言われそうだが、そんなことは何とでもなる。600万画素のCCDを作るには努力を惜しまないくせに、基本的な機能を入れるにはどうも腰が重いようだ。
何を回りくどいことをやってジラしている?一体、いつになったらそんな普通のカメラを作ってくれるんだ?
|