[234] 2001年02月26日(月)
「気になるカメラの登場」
我輩はよく、カメラを銃に例えたりする。そこにはいくつもの共通点があり興味深い。
SMG(サブ・マシンガン)は、ピストル実包を使うマシンガンである。ワン・トリガーで連続して銃弾を発射出来るため、殺傷能力が極めて高い。
その効果を分析すると、「ヘタな鉄砲数撃ちゃ当たる」的なものがある。もちろん、本当にヘタな人間に使わせても効果は薄い。だがピンポイントの的に当てるには、発射数が多いほど当たる確率が高くなる(目視しながら弾道を修正出来るという効果もあるが、最近はピストルでもレーザーサイトがその代わりを果たしている)。
ピストル実包を使う銃身の短いSMGでは、命中率はピストルと大差無い。それをカバーするために弾をバラまく。狙撃銃のような「一発必中」の使い方ではなく、「どれかが当たればいい」のだ。
さて、今月の「写真工業」の記事、「Nikon FM3A」や「Nikon D1X」などが新製品情報として載っていた。特に「Nikon FM3A」のシャッター制御部やシャッターユニット、巻上げ機構には見入ってしまった。
それ故、後のページにあった「FUJI KLASSE(クラッセ)」に気付くのは3日後になってしまった。
このカメラの第一印象は「まるでデジタルカメラ」。「恐らく200万画素程度の安物であろう」とスペックを見ると「135サイズ」とある。ここで初めてフィルムを使うカメラだと知った。
あらためて見ると、一般コンパクトカメラと高級コンパクトカメラの中間的な印象を受ける。
一般コンパクトカメラのような安っぽさは無く、高級コンパクトカメラのようなクラシカルな雰囲気も無い。
しかしその機能に自動段階露出(AEB)が付いていると知った時、興味が「Nikon FM3A」から「FUJI KLASSE」へ移ってしまった。
リバーサルフィルムというのは、適正露出の許容量としてのラチチュードが大変狭い。もし写真的に言うならば、ラチチュードの幅はゼロと言える。
もちろん被写体によっても変わるだろうが、少しでも露出量が違えば写真の表現が変わるのだ。「ラチチュード」として捉えている許容量は、他でもない、撮影者自身の許容量に他ならぬ。
このような難しいリバーサルフィルムを使うには、細かく露出をコントロール出来るカメラが必要であり、そのためにはAFの距離情報と連動した高度な分割測光や、自分で思い通りの露出設定が可能なマニュアル露出モードを備えたカメラが必要だった。つまり、従来のコンパクトカメラでは不可能だったのだ。
ところが、この「FUJI KLASSE」の違うところは、自動段階露出が付いているという点だ。
冒頭のSMGに例えるならば、これはまさしくカメラ界のSMGと言える。一眼レフタイプではないため、TTLでの測光ではない。つまり、露出の命中率はそれほどではない(正確に言うなら、狙った所を測光出来ない)。しかし自動段階露出によって、命中率をカバーしている。
ピンポイントの露出値を得るために、従来の高級コンパクトカメラは、精度を上げたり露出補正を受け入れたりして狙撃銃を目指してきた。それでも、的を外してしまえば何の意味も無い。仮にそれが適正露出だったとしても、自分のイメージに合う露出であるとも限らない。
しかし、「FUJI KLASSE」は最初からSMGを目指し、自動段階露出によって、ある程度の幅を受け入れた。我輩はそのコンセプトに、自分がそのカメラを使うイメージを見たような気がする。
値段の問題など、他に考える要素は多く、最終的な判断はまだ時間が掛かるだろうと思われる。ただ、同じような兵器ばかりが多くあるよりも、違う性格の兵器が1つあると、作戦範囲が飛躍的に広がるのは確かなのだ。
久しぶりに、気になるカメラが現れた。
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