[222] 2001年02月05日(月)
「AFを使う者の心得」
仕事に於いて、納期を守れないというのは致命的である。
業務上、自分の担当範囲でないものや、自分の容量に余るものは、別の部署や外注業者に頼むことになる。納期に余裕の無い業務では、とにかく手分けしてやったほうがいい。
しかしごくまれに、納期直前になって「やっぱりウチでは出来ません」などと言ってくる場合がある。そんな時は大変だ。時間を浪費した分、状況は確実に深刻になっている。もっと早く分かっていれば、無理をしてでも自分でやったものを・・・。
「AF(自動焦点)」というのは、結構異質な自動化だと思う。
というのも、他の自動制御「自動露出」、「自動巻上げ」、「自動巻戻し」、「自動感度設定」などは、どの場面でも機能する。自動露出では失敗もあるが、それでもその傾向を理解して露出補正すれば済む。
それらは決して仕事を投げ出したりはしない。それなりの結果は出してくれるのだ。
しかしAFというのは、出来る時と出来ない時がある。
AFで撮影しようとしても、コントラストが低かったり、網戸越しやガラス越しだったり、動きの速いものについては、AFが途中で諦めてしまうことがある。
そんな時は、目一杯ピントを外したかと思うと、ファインダー内に非情な赤いバツ印が点滅する。
それはまるで、「やっぱり出来ませんでした」と言われているようだ。
そういう場合は手動(MF)に切り替えねばならぬが、ギリギリになってそんなことを言われても困るというもの。そんなことなら、最初から手動でやったほうが良かった。
結局、通常よりも上級テクニックを要求される状態に追い込まれることになる。
「AFには苦手なものをやらせるべきではない」という意見もあろう。しかし、この「苦手なもの」というのがまた微妙で難しい。
似たようなシチュエーションであっても、前回は上手く行ったのに、今回はダメだったということがある。例えば、走る自動車でも動体予測フォーカスによってピントが合うというカメラでも、人の歩く速さ程度でシャッターが切れなかった時もあった。光量や使用レンズなど、カメラから見れば決定的に違う要素があるのかも知れないが、それを人間が汲み取るのは、なかなか難しい。
AFの性能が向上し、今までは任せられなかったことでもAFで行える範囲が増えた。しかし、やはり使い方やシチュエーションによっては、意外なところで仕事を放り出す。
なんとかしようと努力しているのは分かるのだが、その努力に時間を掛けすぎて、結局は時間を浪費し状況を悪くする。
まあ、滅多にそんなことは無いのかも知れないが、得てして大事な時にまれなことが起こりうる。これは、「マーフィーの法則」の大原則である。
ギリギリの状況に追い込まれた中で仕事を戻された時、そこで自分の力量が問われることになる。諦めて済むようなものならいいが、もしそうでなかったとしたらどうする・・・?
結局は逆説的な結論が出る。
AFを本気で使おうとする者は、MF派以上にMF操作に長けていなければならぬ。
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