[209] 2001年01月18日(木)
「我輩の写真」
以前、街で声を掛けて写真を撮らせてもらったことについて書いたが、過去に1度、我輩自身が声を掛けられて写真を撮られたことがあった・・・。
アルバイトというと、どんなイメージがあるだろう?
我輩は学生時代にいくつかアルバイトをやった。
「和菓子屋の製造現場」、「コンサートホールの補助員」、「デパートの販売員」、そして「警備員」。
警備員のアルバイトは地元の北九州でやったのだが、そこではいくつかの現場を担当させられた。片側一車線の交通整理や、土木作業現場のダンプの誘導、深夜の見張り、夏祭りの警備。
今考えると、肉体派ではない我輩がよくやったものだと感心する。あの頃は体力も有り余っていたのかも知れない。
我輩の所属した警備会社というのは、その制服がヘルメットを着用した警官に似ていた。そのため、祭りの警備では警官と間違われたりもした。
北九州の夏祭りとは言っても、各地方の祭りが集結して「わっしょい百万夏祭り」と呼ばれるイベントと化している。小倉の市庁舎周辺の4車線道路を封鎖し、ハンパじゃない人間が溢れかえるのだ。
そんな祭りの警備の中、我輩は1人の青年に声を掛けられた。
「あのー、写真撮っていいですか?」
青年とは言っても、当時の我輩も学生だったので、同じ年代だったかも知れない。
我輩は突然にそんなことを言われたので何だろうと思ったが、深く考えもせずに了承した。
青年がカメラを構えた。
その瞬間、我輩は反射的にピースサインを出した。
青年は少し苦笑いしたような気がした
ピースサイン・・・あの頃は学生だったから仕方無いだろう?
青年は、働く人間の姿を撮りたかったのだろうか。もしかしたら警官と間違えたということも考えられる。
我輩のピースサインが青年の意図に合ったかどうかは別として、彼は我輩に向けて確かにカメラのシャッターを切った。
その写真が今もあるのかは分からないが、写真などそんなに簡単に棄てるとも思えない。もしネガフィルムであれば、その1コマだけ棄てることもないだろうからな。
我輩の写真、この世のどこかにあると思うと何となく不思議な気分になる。一体どんなふうに写っているのか。
見たいような、見たくないような・・・。
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