[208] 2001年01月17日(水)
「復活の日」
昔観た映画で、「復活の日」というものがあった。角川映画だったろうか。
我輩の頭の中ではかなり風化した記憶なのだが、確か、戦争か大異変か何かで、たった数人の人間だけが南極基地で生き延びるという映画だったような気がする。
太陽を背に、杖に寄りかかりながら歩く姿が目に焼き付いている。
ところで生物種というのは、ある個体数を下回ると絶滅の危険に晒される。例えオスとメスが2匹が生き残っていたとしても、個体間の多様性が生まれなければ生物は先細りすることは避けられない。2匹がどんなに子供を生もうとも、同じ親から生まれた子供ばかりでは、繁殖のしようが無いのだ。
「復活の日」で生き残ったわずかな人間は、いずれにしても種としては消え行く運命にある・・・。
さて先日、我輩は主力機F3/Tでヘナチョコを何枚か撮ったりしたのだが、撮影後ふと気付くと、露出ロックボタンが少し飛び出ていた。
「はて、こんなに出てたか・・・?」
我輩はその露出ロックボタンを爪で弾いてみた。すると、それは勢い良くカメラから発射され、コロリと床へ転がった。
我輩は自分の目を疑ったが、何度やりなおしても、そのボタンは勢い良く飛び出してしまうんだ。
これはもしかしたら、敵に襲われた時に発射する「緊急発射ボタン」かも知れない。
ボタンをよく見たが、何かが折れたような跡は認められなかった。これは元々どうやって固定されていたのだろう? 穴のほうを見ても、接点があるだけでよく見えない。
我輩はこのボタンを気に入っていた。
他のF3のものとは違い、ボタン表面のアールが緩く手触りが好きだった。だから何とかして元に戻したいのだが、これは指を離すと飛び出てきてしまう。
「F3リペアマニュアル」で調べてみたが、なぜか露出ロックボタンの取り付けについての記述は無い。
しかし撮影そのものが不可能となるような故障ではないのはさすがだ。
もちろん、これはヒイキ目には違いないが、絞り機構が故障するようなどこかのメーカーとは違う。
とはいっても、接点剥き出しの状態で使い続けるのも良くない。これはサービスセンター行きか。
一番近いニコンのサービスセンターは銀座であるが、自分の勤務時間が終わった後に行っても、ニコンのほうも終わっている。仕方ないので、仕事で外出する時を狙って持ち込むしかない。
そうなると、いつ外出となるか予測出来ないということもあり、F3/Tは常時職場に置いておかねばならぬ。
これからしばらくは、F3/Tが使えなくなる。メインが一時いなくなるのは、脱皮したてのカニのようで、何となく心細い。
そんな時、タナカカメラのサイトでF3HPが在庫ありというのを知った。
以前、我輩は「これ以上カメラを増やさない」と心に決めた。だからこそ、F3は買えない。
・・・いや待てよ、カメラが増えなければいいんだろう? ということは、何かをリストラすればいい。
そこで、稼働率の低い「FAゴールド」が頭に浮かんだ。
数日後、「FAゴールド」はYahoo!オークションにて11万円にて落札された。半年前の購入価格が13万円だったのであるから、ひと月当たり3千円と少しのリース料という感じか。まあまあだな。
今回の購入は、F3/Tの代わりという訳ではない。他にもカメラがあるから、撮影という面では問題無い。しかし、F3という種を存続させるためには、ある一定の個体数が必要だと感じた。
まあ、理屈をこねてはいるが、正直なところ「あともう1台あったほうが安心する」という強迫観念に囚われたに過ぎない。
いかにも貧乏性の我輩らしい。
今回、露出ロックボタンのような小さな部品であっても、それが無ければシマらないと感じた。
時が経ち、メーカーでも部品が無くなれば、この程度でも「補修部品が無いため修理不可能」とされるだろう。
基本のF3さえ1台余分にあったなら、そのパーツは全てのF3シリーズに流用出来ることになる。
我輩は、カメラ1台分の予備パーツを手に入れた。
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