[198] 2001年01月02日(月)
「警戒範囲」
人間には、一人一人の警戒範囲があると聞いたことがある。それは半径1〜2メートルほどの範囲内であり、満員電車でもない限りその範囲内に入ることは、相手の警戒心を起こさせることとなる。
街角のスナップ写真というのは、通行人が写り込んでいることがある。通行人が風景の一部として写るならともかく、明らかに人物にレンズを向け、その警戒範囲内でシャッターを押していると思わせる写真を雑誌などで目にすることがある。
そういう場合、その人間の了解を得ていないことがほとんどだと思われる。少なくとも、撮影前の了解は得ていない。
もし自分が了解無しに撮られたりしたら、いい気分ではない。同じように、それら写真に写っている人間の表情はカタい。
街角スナップとはそういうものなのだと言われれば、確かにそういうものかも知れない。写真を撮る先生方は、スナップの独自の理論を持っていらっしゃるようだが、人間を相手にするならば、マナーを守ったらどうかと思う。
我輩などは、池袋を歩いていたらいきなりテレビカメラを向けられ、下らないナゾナゾを問い掛けられたことがあった。ナゾナゾの内容などはどうでもいいが、いきなりテレビカメラで人を撮るのは許されることではない。
我輩はソイツらに名刺を要求したが「持っていない」などとウソをつく。結局、その映像を使わないように約束させたが、我輩としては実に不愉快だ。どうせあんなものは下らないバラエティ番組用で、一般人をコケにするために使われる。
・・・話はズレたが、得られた写真がいかに良い作品であったとしても、それが相手の意志を無視したものであれば評価は考え直されるべきだと思う。
スナップ撮影の記事には、そういうマナーについて書いたものは1つも無い。
そんなことを言うと、「そうか?もしオレなら別に撮られても気にしないぜ」とか、「声を掛けたりなどしたら、自然な雰囲気が出ないじゃないか」などと気の抜けたことを言うかも知れないが、そんなのは別にどうでもいいんだ。自分がどう考えるかというよりも、相手がどう考えるかということのほうが重要だ。そんなことも分からない人間が写真を撮っていいはずがない。
少なくとも、行きずりの人間に対して警戒範囲内でシャッターを押してはならない。いくら良い写真が欲しくとも、他人を利用する限りにおいては、マナーが不可欠となる。
人を無断で撮るなら距離を置かねばならぬ。いくら写真界の大先生が「スナップでは人物に接近しろ」などと言っても、そんな規則を一般人に押し付けていいわけはないだろう?
スナップの大先生よ、人の気分を害してまで撮らなければならない理由をぜひ、ご説明願いたいものだ。
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