[184] 2000年11月26日(日)
「名前」
人の名前というのは、親が付ける。
本人の好き嫌いなどは聞けないから、親の願いや夢を託されたりする。最近ではマンガの主人公から名付けることが多いと聞く。
昔ならば、最初に生まれると「太郎」、次が「次郎」、3番目が「三郎」、4番目が「四郎」、5番目が「五郎」・・・・という番号制もあった。
カメラの場合もそれに似ている。
カメラ本人に好き嫌いを聞くことは出来ないから、メーカーが名付けることになる。「キヤノンF−1」は、一眼レフの頂点という希望を込めて「フレックスNo.1」というのが語源らしい。一方、ニコンの「F」〜「F5」は「太郎次郎」のノリか。
しかしそれも時代と共に変わってきた。
少し前、「サムライ」というハーフサイズカメラが登場した。初めて聞いた時、何が「サムライ」なのかは分からなかった。慣れると違和感なく受け入れられるだろうが、「サムライ」とか「ショーグン」、「ニンジャ」、「ハラキリ」などというエキゾチックな語感は、どちらかというと外国人好みだと思う(そういえばバイクの名前が含まれているな)。
それにしても「サムライ」などという単語は、受け取る側のイメージを強烈に固定するような気がする。もしあれが「SA-M1」などという名称だったら、もっと違うユーザが得られたと思う。なぜなら、少なくとも当時は「サムライ」という名前のカメラを使う自分の姿をイメージすることが難しかったからだ。だから名前だけでシロウト向けだと判断してしまう者もいるだろう。我輩などは、今頃になってサムライの中古が気になったりする。当時はそのネーミングに惑わされ、マジメにスペックなど見なかったからな。
まあ、そういうのは逆に、新しい購買層を開拓するという意図があるのだろうが・・・。
それから「EOS-1」という名称にはかなり違和感を持った。まるでアニメロボットのヒーローの名前のよう。
当時はEOSのプロスペック機がどのような名前になるのかということで雑誌などで話題になっていた。しかし、いざ登場した時には拍子抜けした。「イオス・ワン」とは・・・。
時間と共に皆は慣れたかも知れないが、我輩はいまだに「イオス・ワン」という語感には引っかかりを感ずる。しかもデザインが当時の最先端のままで止まっている。
そうこうしているうち、ついに「EOS-Kiss」が出た。あまりのネーミングにぶっ飛んだ。
カメラに「キス(いわゆる「チュー」)」などと名前を付けて、誰が使うんだと思った。外国ならば、家族の関係でキスは日常的挨拶であろう。しかし「EOS-Kiss」というネーミングは日本仕様だけだ。日本の家庭用カメラに「キス」はどうかと思う。
けれども、CMなどで慣れたのか、誰もが気にせず使っている。
・・・しかし、何度見ても「イオス・キス」という言葉は恥ずかしいなぁ。分かってるのか?「キス」だぞ「キス」。英語圏の人が見たら、「接吻」と書いてあるんだぞ。
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「ヘイ、ミスター。キミのカメラって、なんて名前だっけ?」
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「マイ・カメラ・イズ・キス。」
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「What?! キス?! Youはカメラにニックネームなんて付けてんの? アブないヤツだね! どうせならアレキサンダーとかにしなよ。」
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かたやミノルタも負けてない。「α-Sweet」だと。確か、「スィート」って「甘い」とか「愛しい人」っていう意味じゃなかったか?
全くどいつもこいつも・・・マジメにやれよな。
聞き慣れているからということが判断を鈍らせているのなら、同じコンセプトで名前を付けてやろうと思う。
・「EOS-Pink」
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(読み:イオス・ピンク)
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・「EOS-Lovely」
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(読み:イオス・ラブリー)
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・「EOS-Adult」
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(読み:イオス・アダルト)
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・「α-angel」
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(読み:アルファー・エンジェル)
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・「α-Touch」
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(読み:アルファー・タッチ)
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・「α-heart」
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(読み:アルファー・ハート)
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売れない詩集でよく使われそうな言葉を集めてみた。なかなか雰囲気出てるだろう?
しかし、ミノルタも「登録」や「パノラマ」など日本語表記に力を入れ始めたから、もしかしたら次のカメラ名は日本語で攻めてくるかも知れない。
「αー情熱」
「αー友情」
「αー愛情」
どこかのみやげ屋にぶら下がっていたら似合うだろうな。
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