フィルム(銀塩)画像とデジタル画像の画質劣化の違いは、フィルムのほうは徐々に変退色するのに対し、デジタル画像の場合はある日突然読めなくなるということだ。
そうなると、現時点では長期保存はフィルムに頼らざるを得ないことになるが、それでもフィルムが変退色するのを手をこまねいて見ているわけにもいかぬ。
そこで、「我輩の人生において利用する範囲」という限定で、フィルム画像の電子化を行いつつある。
しかし、ただ闇雲にスキャンするのは我輩の性に合わない。我輩なりのスキャン画像のガイドラインを決める必要がある。これを基にして作業を行うことによって、その場その場の迷いある判断を無くすのである。
これはあくまで我輩なりのガイドラインだが、以下の理由に基づいて決定された。
まず、要求する条件は以下の通り。
- 長辺を統一する
- フォトCDとの併用を前提とする
- フィルム上の情報を出来る限り全て取り込む
- 普遍性の高い画像フォーマットを選択する(圧縮無し)
- 保存はCD-Rとする
「長辺の統一」については、「フォトCDとの併用」を念頭に入れて考える必要がある。そうなると必然的にフォトCDの最大サイズ「2048×3072ドット(16BASE)」が上限となる。
ただし、既に電子化された画像に斜め補正(回転処理)を施すと、周囲の画像を断ち切る必要がある。そのため、ある程度の余裕が必要か。
今までの作業上、長辺を2700ドットとしておけば問題無いだろう。そして短辺は「なりゆき」とした。しかし、一応基本としては「2700×1850ドット」を決めることにする。これが電子データの「元」という位置付けとなる。
写真画像の「元」としてはサイズが小さめかも知れないが、これでも高感度フィルムを使用すると粒子が確認できるくらいであるから、まあ十分だろうと思う。
我輩のフィルムスキャナーは、比較的小さなサイズを取るとスキャン方向にスジ状のノイズが乗ってしまう。しかし不思議なことに、大きなサイズではそれが消える。そのため、なるべく大きく取ってソフト上で縮小するクセがついた。
3900dpiくらいでスキャンすると、長辺が5500ドットくらいになり、それを長辺2700ドットに縮小すると約1/2に縮小されることになる。少なくとも2ドット使って1ドットを生成したいので、1/2よりも縮小率が小さくならないように(わずかな縮小にならないように)している。
実際の使用では、この「元」を縮小処理して利用するわけだが、画像縮小は最終段階で行う。説明の必要は無いと思うが、画像の回転、拡縮、色調整などは画像の情報量を削っていくことになるため、十分大きな情報量のうちにこれらの調整を行い、縮小結果で最大限の情報量を持てるようにするためだ。
一方、「元」に加え、画像表示用として縦辺(長辺、短辺関わらず)を768ドットに縮小したものを格納している。これは、パソコンディスプレイのXGA(1024×768ドット)で全画面表示させることを前提としており、色や濃度を確認するためとした。このファイルがあれば、いちいち大きな元画像を開く必要が無い。
「普遍性の高い画像フォーマット」というのを見極めるのは非常に難しいが、現時点では「ビットマップ(BMP)」か「ティフ(TIF)」というところか。しかしティフはいくつかバージョンがあるためビットマップに決めた。単純なフォーマットのため、比較的永く利用出来ると思われる。
圧縮する場合は可逆圧縮でなければならないが、やはりエラーが恐いので圧縮は前提としない。
カラー写真の場合は、当然フルカラーでの記録となるが、モノクロ写真でもパレットを持たせぬようフルカラー保存とする。
これによって得られた画像ファイルでは、1画像当たりの容量はおよそ17MB。これが36枚あったとすると612MBとなり、フィルム1本分をCD-R1枚に収めることでキリが良い。
多少余った容量には画像一覧ソフトなどをコピーしておいたりする。
繰り返すが、これはあくまで我輩の場合である。
他に合理的な決め方があるかも知れぬが、「1度決めたら変えない」というのが安心感に繋がる。そういう意味では、ガイドラインの内容よりも、ガイドラインの存在そのものに意味があると言える。