キヤノンAシリーズのカメラは、シャッターが油切れで鳴くことが多い。むしろ鳴かないものを探すのが難しいくらいだ。
我輩が中古で手に入れた「AE-1P」については、購入時には鳴かなかったのだが、その後1年以内で鳴き出した。
「まあ、撮影には支障はなかろう」と気にしなかったが、先日モータードライブを装着してシャッターを切っていると、どうも連写音が遅いのに気付いた。
ファインダーを覗いて見ると、シャッターを切った瞬間のブラックアウト状態が長いようだ。マウント部を見てみると、ミラーの動きが鈍いのが判る。いったん上がったミラーが、まるでスローモーションのように降りてくるのだ。当然シャッターは終始鳴いている。
モータードライブの巻き上げ速度は以前と変わらずだが、ミラーが降りてくるのを待つ時間があるため、実質的には秒間2コマ程度でしかない。
「こりゃー、支障が無いなどとは言えないなぁ。」
修理に出そうかとも考えたが、稼働率が低いカメラであるから、修理代を出すのが惜しい。
油が切れたのだから、油をさせばなんとかなろう。部品の交換など必要なければ、自分で修理出来るかも知れない。まあ、外観もボロいし、壊れたとしても惜しくはない。
早速ドライバーを取り、片っ端からネジを外していった。
まずは、トップカバーが外れた。やはりカバーはプラスチック製。
次にミラーボックスを分離しようとするが、配線が絡んでいるので完全に離れない。
矢印で示したところが、原因と思われるミラー関係の歯車。
指でレバーを操作すると、矢印の歯車が高速回転し、擦れてキーキーと音を出す。ここにシャッターオイルをしみこませたキムワイプ(テッシュ)を当て、何度か回転させる。そうすると、たちまち音がしなくなった。成功だ。
シャッターの鳴きが止まり、連写速度も本来の性能を取り戻した。
・・・とまあ、簡単そうに言うが、実は本当に面倒なのが、ミラーボックスの取付だった。これはかなり手を焼いたが、結局、レバーの動きなどの仕組みを理解して初めて正常に組み込むことが出来た。
メカの動きを丹念に追って行き、あるべき位置を推測するということは、かなりの忍耐力が必要かと思う。実を言うと、我輩は何度もあきらめかけた。もしAE-1Pのリペアマニュアルがあれば、こんな苦労は無かったかも知れないのだが。
以前はシャッターを切るたびにイヤな音がしていたのだが、今はとてもいい音だ。もしかしたら稼働率が低かったのは、このシャッターの音のせいだったかも知れない。無意識にシャッターの鳴きを避けていたのだろうか。
ダメ元で分解したAE-1P、九死に一生を得たカメラであるから、そのうちまた使ってやろうかと思う。