印象というものは、結構単純化されている。
例えば人物について。
その人の名前を聞くと、最初に浮かんでくるビジョンがある。
郷ひろみは「まゆ毛」、明石家さんまは「前歯」、森進一は「渋い声」、黒柳徹子は「タマネギ頭」・・・。
身近な人物でも、最初に「目」が思い浮かんだり、「歩き方」が思い浮かんだり、「鼻毛」が思い浮かんだりと、それぞれに印象付けられたビジョンがあるのが分かるだろう。
モノマネというのは、そのような部分を強調して表現する。
元々、人間というのは情報を選択的に取り込むため、印象付けられた部分さえ似せれば良い。逆にそこだけ強調してモノマネするものだから、妙にハマり笑ってしまうのだ。
モノマネの上手い人というのは、万人の認める共通認識を上手く押さえている。
さて、カメラにも印象というものがある。
一眼レフの黎明期には、トンガリ頭のペンタ部が印象が悪く、両肩を高くしてペンタ部の高さを相対的に低く見せようと努力が為された。
一部で有名な「フォカ・フレックス」は、性能を下げてまでトンガリ頭を隠した。
今ではその印象も変わり、それは一眼レフらしさの象徴とされている。
非常に大きな括りで言うと、一眼レフカメラの印象とは、良くも悪くも「ペンタ部の出っ張り」と言えよう。つまりそれが、カメラをあまり知らない一般人にとっての印象だ。
「どのカメラも同じように見える」というのは、その印象に留まっているからで、例えば、「どの外人も同じように見える」というのと変わりない。「青い目」をして「金髪」であるということで認識が終了してしまうからだ。
カメラのことを少しは知っている我々は、それ以上に認識を進めることが出来る。
ここでは、各カメラに対する我輩の印象をまとめてみた。
カメラ名を聞けば、最初に頭に浮かぶビジョンである。それは道具であるから、使う立場や出会いによってビジョンが変わってくることは当然のこと。
「自分ならば、このカメラはこの部分だなぁ」などと思いながら見て欲しい。
−カメラ名−
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−我輩の印象−
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「OLYMPUS OM-1」
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セルフタイマー
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「OLYMPUS OM-4」
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シャッターボタン
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「Canon nF-1」
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表面仕上げ
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「Canon 旧F-1」
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ペンタ部デザイン
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「Canon A-1」
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グリップ
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「Canon AE-1P」
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PROGRAMの緑の文字
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「Nikon F2」
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厚いマウント
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「Nikon F3」
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ペンタ部デザイン
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「Nikon EM」
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キン肉マンのような額のマーク
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「Nikomat EL」
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電池
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「Nikon FA」
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ペンタ部の採光窓
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「Nikon FM(FM2)」
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額の狭さ
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「Nikon FE(FE2)」
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シャッターダイヤルの緑のAマーク
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「Nikon FG」
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Nikonプレート止めビス
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「Nikon FM10/FE10」
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ゴム張りボディ
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「PENTAX LX」
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ストラップ取付金具
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「PENTAX MX」
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大口(おおぐち)マウント
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「MINOLTA MF系」
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シャッターボタン
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以上、とりあえず思い付く範囲内で挙げたが、他にも色々あるかと思う。
こういうことを自分でまとめてみると、自分の好きなカメラについての傾向が分かったりするかも知れない。
無意識の領域を文字化するのは難しいが、やはりクリエーターとしてのカメラマンには必要なことだと思うぞ。