[151] 2000年 9月29日(金)
「冒険野郎マクガイバー」
「冒険野郎マクガイバー」という洋物番組がある。昔は深夜放送でやってたが今はCS番組でやってたりする。
簡単に言うと、この主人公マクガイバーは、悪い奴らをこらしめるために素手で立ち向かうナイスガイだ。
彼は、相手がどんなに悪い奴らだとしても、正当防衛であったとしても、絶対に殺したりはしない。そして、マクガイバーの偉大なところは、「不可能を可能に変える」というところである。いくら素手で立ち向かうとは言っても、もちろん何も使わないわけではない。マクガイバーは、その場で手に入るものを利用して、何でも作って事件を解決してしまう。
ある時は、大型送風機とカーテンを使ってパラグライダーを作ったり、またある時は、化学肥料や鉄サビを使って爆薬を作ったり、またまたある時は、チョコレートの化学反応を利用して硫酸の漏れ出るタンクのヒビを塞いだり。
ちょっとまあ、出来すぎた感のあるストーリーかも知れないが、マクガイバーのキャラクターで上手くまとめているところがいい。そして毎回観ていると、どんなに絶体絶命でも、マクガイバーならばなんとか切り抜けると思わせるのだ。さすがは冒険野郎と言うだけのことはある。
マクガイバーが利用する材料は、そこら辺にある、何でもないものばかりだ。そう考えると、不可能というものは絶対的なものではなく、本当は相対的なものなのかも知れない。「他のヤツには出来ないがマクガイバーならやれる」。つまり、方法が分からないだけだと。
この番組は我輩のお気に入りなのだが、よく考えると我輩の中学時代の体験にタブる。
もっとも、我輩が手近なものを材料にして工夫するというのは、単に金が無かったり、恐い物知らずということが主な動機である。しかし、本来の目的でない使い方をするというのは、想像力を刺激して気分が高ぶる。
家には「コニカC35EF」というカメラがあった。別名「ピッカリコニカ」というヤツ。
ある時、夜空に向けシャッターを開きっぱなしにすると、星の日周運動が写ると知り、さっそく実行に移した。
祖父のキヤノネットは別のフィルムが入っていたので使えず、ピッカリコニカを使わざるを得なかったのだが、これは「バルブ」撮影が出来ない。しかし、ウラブタを開けると、レンズシャッターがムキ出しになっているのが見える。そこで、そのシャッターを指で押し開き、セロハンテープで固定した。まるで、まばたきできないようにまぶたをセロハンテープで留めているような感じだ。
実際の撮影では、レンズキャップを外して露光を行った。フィルム送りは問題ない。シャッターボタンを押してもカチッと音はするがシャッターは動かないのだ。普通ならば「壊れるかも知れないな」などと思うのだろうが、そんなことは壊れてから心配すればいい。その時の我輩は「今、星夜写真を撮る」ということに集中していたのだ。
またある時など、5円玉を画面いっぱいに大きく写そうとしたが、接写リングなど持っていないので、やむなくカメラとレンズを外して、光軸がズレないように手に持ったレンズを調節しながら写真を撮ったりした。名付けて「手写リング」。レンズを持った手で光を遮るのがコツだった。
思い出せば、まだまだ貧乏くさいテクニックはあったと思うが、あの頃はとにかく、「手持ちの限られた機材でどうやって撮るか」ということばかりを考えていた。なんとか工夫すれば必ず出来るハズだと思っていた。その気持ちがマクガイバーとダブる。
今なら接写リングをポンと買ってしまうところだが、金で解決するのは想像力の刺激を少なくしていることが多い。
あの頃は、恵まれていなかったが・・・、楽しかったなあ。
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