2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
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 FM10
 FE10
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カメラ雑文

[092] 2000年 7月21日(金)
「逃げ遅れたレンズ」

大学時代、つまらない講義に出ると、外の気持ちのいい天気のことが気になって仕方がなかった。それは我輩だけではなく、他の多くの学生も、また同じ心境である。
講師が黒板に向かっている間に、忍者のように抜け出る者、多数。講師が振り向くと、誰か座っていたハズの席に人影は無い。しかし、講義は淀み無く進められて行く。
講義をマジメに聴いているように見える学生も、実は講師の行動を観察し、抜け出すチャンスをうかがっているに過ぎなかった・・・。

ニコンのマニュアルフォーカスレンズのラインナップはかなり縮小されている。同じ焦点距離のレンズが複数あれば、安いほうから消えてゆく。それも、ちょっとヨソ見している間に、こっそりと消える。まるで、大学時代の講義の時を想い出す。

我輩が欲しかったレンズはいくつかある。
「フィッシュアイ16mmF2.8S」は、欲しくても生産終了になってしまったレンズのうちの1つ。これは魚眼レンズで、広い範囲の景色をドアスコープで覗くがごとく撮影できる。定価10万円だったが、他の魚眼レンズに比べれば最も安いレンズであった。

もし、雲量測定などの学術調査に使用するのであれば、130万円近い「フィッシュアイ6mmF2.8S」などはそれほど大した金額ではない。しかし個人で買うのは不可能だ。年中、魚眼レンズで撮るならともかく、一般人が使うとすれば魚眼レズの稼働率はかなり低いだろう。そんなものに、とても130万円など出せぬ。

しかし、稼働率は低くても、やはり魚眼レンズは押さえておきたいレンズである。そうなると、10万円の「フィッシュアイ16mmF2.8S」は、手の届く貴重な魚眼レンズだったのだ。
しかし・・・、たかが10万円、されど10万円。すぐに用意出来るようなら苦労はしない。他に必要なものもある。一時期、支出の大部分をパソコンへの投資に割かれていたことがあり、いつ使うか分からぬ魚眼レンズの優先順位はかなり低かった。そして、振り向いた時にはもう、そのレンズは姿を消していた。姿を消すと分かっていたなら、もっと優先順位を上げていたろうに。残念なことだ・・・。

ところで今回、その貴重なレンズを新品で購入したという方を、インターネット上のカメラ関係の掲示板で見つけた。我輩は自分の目を疑ったが、その掲示板にはレンズ購入の経緯が書かれてある。そしてなんと、在庫があともう1箱あるという。

逃げ遅れたレンズを、ついに見つけた。

我輩は早速、その情報を書き込んだ方に問い合わせ、店を教えて頂いた。その方は、我輩の問い合わせに親身に答えてくれ、通販専用の電話番号なども教えて頂いた。
そしてめでたく、昨日の午後、そのレンズを手にすることに成功した。定価10万円に対し、7万円プラス消費税。
情報を頂いた方には、本当に「感謝」という気持ちしか無い。

今回、既に資金は底を尽き、一文無し状態。しかし、ここで逃しては、もう2度と新品でお目に掛かることなど無いだろう。そう考え、我輩は借金によってこのレンズを購入した。後悔しないための価値判断である。

しかし、逃げ遅れたレンズというものは、どこかにあるものだな。もし、全ての「フィッシュアイ16mmF2.8S」が目くばせをして一斉に消えていたらと思うとゾッとする。

掲示板、情報提供者、そしてレンズ、これらの出会いすべてに感謝し、合掌したい。
〜合掌中〜


下の写真が、今回のレンズ外観と、そのレンズで撮った写真だ。写真がモノクロなのは、カラーでは費用も掛かり、上野のヨドバシカメラまで出なければならず、自家処理できるモノクロにしたからだ。