[074] 2000年 7月 3日(月)
「結婚写真」
結婚式の写真というのは難しい。少なくとも、我輩にとっては。
まず、教会での撮影は許可されない場合があるらしい。我輩の結婚式の時はダメだと言われた(東中野・日本閣)。まあ、式場というのは1回きりのお付き合いなので、禁止令は無視し、ウチの家族や友人には「ビシバシ撮りまくれ」と指示した。撮ってしまえばこっちのものだ。
しかし、撮影禁止とは言いながらも、式場側からもカメラマンが派遣されてきた。F4とブラケットに接続したストロボを使って撮っている。目障りなコイツこそ何者だ? 頭に来たので、「写真など頼んだ覚えはない」と言ったが、「いいんです、いいんです。」と撮り続ける。とりあえず、その時は自分たちのことで忙しく、放っておいた。
披露宴では、各テーブルに「撮りっきりコニカ」を10本ずつ置き、自由に撮ってもらった。あとで現像代が大変だったが、式場カメラマンの料金よりも十分に安い。
撮影しやすいように、外からの光が十分入ってくるレストラン形式にしておいて正解だった。これなら、ライトアップされたり、変な演出効果が無くて良い。皆と考えた企画も爆笑連続で、形式にとらわれず、楽しい写真が多く残った。
後日、結婚式場から、例のナゾの男が撮影したとみられる写真のコンタクトプリント(ベタ焼き)が送られてきた。「この写真が欲しくば、4万円を振り込め」とのことだ。形式的で、なんともヘタくそな写真だ。金を払うような写真とは思えぬ。我輩の結婚式は、内容こそが大事なのだ。写りが良ければそれでいいと思うな、内容を写せ。
以前、当時同じ職場だった女性に、結婚式で写真を撮ってくれと頼まれたことがあった。我輩の一眼レフで撮って欲しいと言う。
彼女のイメージは分からないが、察するところ、美しい結婚式写真を残したかったのだろう。そうでなければ、「一眼レフで」などとは指定しないはずだ。しかし、こういうのは失敗が許されぬ。「失敗こそ写真の面白さだ」と思っている我輩には荷が重い。ましてやライティングや撮影位置の限定された場では、我輩の能力を十分に発揮することは出来ない。事前にテスト撮影できれば何とか自信も持てようが、ぶっつけ本番というのはキツイ。
式場のライティングの様子を瞬時に読みとり、それを生かしながら自分のストロボを上手くコントロールしなければならない。そうでなければ、誰が写しても同じになり、我輩が撮る必然性もない。
それから、場の雰囲気を読んだり、淀みなく進められる式の中でうまく立ち回るという、別な能力も重要だ。それらは、我輩の一番苦手とするところである。式の邪魔になってもいけない。気を取られることが多すぎ、我輩なら撮影どころの話ではない。
結局、カメラマン役は丁重にお断りしたが、頼まれ事を断るのが苦手な我輩の辞退に、彼女は我輩の心中を察してくれたようだった。
もし、キレイな写真を残したいなら、式場のライティングなどを知り尽くした業者カメラマンを頼むのが良い。
もし、式の内容を残したいのなら、その場の出席者の視線で撮るのが良い。我輩では、そのどちらにもなれそうもないのだ。許せ。
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